COLUMN
2026.07.06|整骨院マーケットレポート
シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第28回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。
福島県の競合密度は約39.9院/10万人。全国平均(40.7院)とほぼ同水準。数字だけ見れば「平均的な市場」に見える。
だがこの見方は間違いだ。福島は「3つの県」でできている。
奥羽山脈と阿武隈高地が県を縦に3分割し、会津・中通り・浜通りという3地方は気候も産業も生活圏も完全に分かれている。会津の人は郡山に「出かける」とは言うが、いわきへ日常的に移動することはない。この3地方を別々の市場として設計しない限り、福島の出店戦略は機能しない。
3地方それぞれに固有需要がある。
浜通り(いわき・相馬・双葉郡)には復興・廃炉関連の建設業需要がある。福島第一原発の廃炉作業・除染・防潮堤・復興インフラ工事に、今も数千人規模の作業員が従事している。宿舎生活の作業員・重機オペレーター・とび工の腰痛は慢性化しているが、「作業員のための院」を明確に掲げる院はほぼない。
中通り(福島市・郡山市)には果樹×商業都市の二重需要がある。福島盆地は桃(あかつき)の全国2位産地で、梨・りんご・ぶどうの果樹リレーが続く。郡山市は「経済県都」と呼ばれる東北第2の商業集積都市で、都市型のデスクワーカー・サービス業需要が厚い。
会津(会津若松・喜多方)には職人×観光×豪雪需要がある。会津塗・会津木綿・赤べこの伝統工芸職人、鶴ヶ城・大内宿の観光業従事者、そして日本有数の豪雪地帯としての雪かき腰痛。
さらに福島には「健康課題先進県」という重い背景がある。メタボ該当率・肥満率が全国ワースト上位で、生活習慣に起因する腰痛・膝痛の予備軍が全国で最も厚い県の一つだ。これは整骨院にとって「予防・運動指導型メニュー」の需要が構造的に存在することを意味する。
東北で仙台圏に次ぐ175万人の人口を持ちながら、3地方分立ゆえに「面で取る」プレイヤーが現れていない——これが福島市場の本質だ。
| 指標 | 数値 | 備考 |
|------|------|------|
| 総人口 | 約175万人 | 全国21位・東北2位(減少中)|
| 高齢者人口(65歳以上) | 約58万人 | 高齢化率約33% |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 約97万人 | 構成比約55% |
| 年少人口(0〜14歳) | 約18万人 | 構成比約10% |
主要都市別人口:
| 市町村 | 人口 | 地方 | 特性 |
|--------|------|------|------|
| いわき市 | 約31万人 | 浜通り | 東北有数の面積・小名浜港・ハワイアンズ・復興関連 |
| 郡山市 | 約31万人 | 中通り | 経済県都・商業集積・交通結節点(新幹線×磐越道)|
| 福島市 | 約27万人 | 中通り | 県庁所在地・桃の産地・飯坂温泉・競馬場 |
| 会津若松市 | 約11万人 | 会津 | 鶴ヶ城・会津塗・観光・ICT関連企業誘致 |
| 須賀川市 | 約7.3万人 | 中通り | 農業×工業・郡山都市圏 |
| 白河市 | 約5.8万人 | 中通り | 白河の関・工業団地・ラーメン |
| 南相馬市 | 約5.6万人 | 浜通り | 復興×ロボットテストフィールド・相馬野馬追 |
| 伊達市 | 約5.5万人 | 中通り | あんぽ柿・桃・果樹地帯 |
| 二本松市 | 約5.1万人 | 中通り | 農業×観光(菊人形)|
| 喜多方市 | 約4.3万人 | 会津 | ラーメン・蔵の街・農業 |
| 相馬市 | 約3.2万人 | 浜通り | 松川浦漁港・水産加工 |
①復興・廃炉関連の建設業従事者(双葉郡・南相馬市・いわき市)
福島第一原発の廃炉作業(今後数十年継続する国家事業)・中間貯蔵施設関連・復興インフラ工事に数千人規模の作業員が従事する。防護装備を着けた作業は通常の建設作業より身体負荷が大きく、宿舎生活で身体ケアの手段が乏しい。関連の除染・解体・土木工事従事者を含めると浜通りの建設業人口は全国でも特異な厚みを持つ。
②果樹農家(福島市・伊達市・二本松市の福島盆地)
桃(あかつき・全国2位)・梨・りんご・ぶどう・あんぽ柿(伊達市の特産・干し柿)。山形と同じ「脚立×上向き作業」の首・肩負荷に加え、あんぽ柿の皮むき・吊るし作業(秋冬)という細密反復作業が加わる。
③商業・サービス業・物流従事者(郡山市)
郡山は東北第2の商業都市で、卸売・小売・物流倉庫が集積する。東北自動車道×磐越自動車道の結節点として物流ドライバー・倉庫作業員の腰痛需要が厚い。
④製造業従事者(いわき市・白河市・会津若松市)
いわき市の化学・電子部品、白河市の工業団地(信越化学など)、会津若松市の半導体関連。立ち仕事・重量物搬送の定番需要。
⑤伝統工芸職人・観光業従事者(会津若松市・喜多方市)
会津塗(漆器)・会津木綿・酒蔵(会津は日本酒の全国的銘醸地)。鶴ヶ城・大内宿・東山温泉・芦ノ牧温泉の観光旅館スタッフ需要。
⑥漁業・水産加工従事者(相馬市・いわき市小名浜)
松川浦漁港(相馬市)・小名浜港(いわき市)の沿岸漁業は「常磐もの」ブランドで市場評価が高い。試験操業から本格操業への回復過程で漁業従事者が増加中だ。
| 指標 | 数値 |
|------|------|
| 施術所数(R4確定値) | 699院 |
| 推計年間市場規模 | 約840〜1,010億円 |
📌 第1章の急所
福島は「メタボ該当率全国ワースト上位」の健康課題先進県だ。行政(県民健康調査を長年続けてきた県)も企業も健康づくりへの問題意識が全国で最も高い。つまり「腰痛施術」だけでなく「運動指導・予防プログラム」への行政・企業の受容度が高い。健康経営セミナー・企業向け腰痛予防プログラムの法人提案が、他県より通りやすい土壌がある。
| 指標 | 福島県 | 全国平均 |
|------|--------|----------|
| 施術所数(R4確定値) | 699院 | 50,919院 |
| 競合密度 | 約39.9院/10万人 | 約40.7院/10万人 |
| 人口 | 約175万人(全国21位) | — |
全国平均並み。ただし郡山・福島・いわきの都市部に集中しており、会津・県南・相双(相馬・双葉)は低競合が続く。
| エリア | 推計競合密度 | 特性 |
|--------|-------------|------|
| 郡山市中心部 | 48〜62院/10万人 | 経済県都。県内最激戦 |
| 郡山市郊外 | 35〜48院/10万人 | 住宅地。中競合 |
| 福島市 | 40〜52院/10万人 | 県庁所在地。全国平均前後 |
| いわき市中心部(平・小名浜)| 38〜50院/10万人 | 浜通りの中心。中競合 |
| いわき市郊外 | 25〜38院/10万人 | 広域分散都市。中低競合 |
| 白河市・県南 | 25〜38院/10万人 | 工業団地。中低競合 |
| 須賀川市 | 28〜40院/10万人 | 郡山都市圏。中競合 |
| 会津若松市 | 25〜38院/10万人 | 会津の中心。中低競合 |
| 喜多方市 | 15〜25院/10万人 | 農業×観光。低競合 |
| 南相馬市 | 15〜25院/10万人 | 復興×製造。低競合 |
| 相馬市 | 12〜22院/10万人 | 漁業×水産加工。低競合 |
| 双葉郡(広野・楢葉・富岡・大熊・浪江)| 5〜15院/10万人 | 復興作業員×帰還住民。最低水準 |
| 南会津・奥会津 | 5〜12院/10万人 | 豪雪×過疎。最低水準 |
📌 第2章の急所
双葉郡は「住民票人口」と「実際にそこで働く人口」が大きく乖離する全国唯一のエリアだ。帰還住民は少なくても、廃炉・復興関連の作業員・企業駐在員が平日日中に大量に滞在している。住民基本台帳ベースの商圏分析では見えない「昼間就業人口需要」がここにある。競合密度5〜15院という数字以上に、実質的な需要空白は大きい。
郡山は仙台に次ぐ東北第2の経済都市だ。東北新幹線・東北道・磐越道が交差する交通結節点で、支店経済・卸売・物流が集積する。
| エリア | 特性 | 競合 |
|--------|------|------|
| 郡山駅前・中心市街地 | 商業・オフィス・飲食街 | 県内最激戦 |
| 郡山南部(安積・大槻)| 住宅地×商業施設 | 中競合。ファミリー層 |
| 郡山西部(富田・喜久田)| 新興住宅地×工業団地 | 中競合 |
| 郡山東部・田村方面 | 農業×住宅地 | 低競合 |
軸①「物流・ドライバー特化」
郡山は東北の物流ハブで、トラックドライバー・倉庫作業員が集中する。「ドライバーの腰痛専門・大型駐車場完備・早朝夜間対応」という設計は郡山の立地特性に直結した差別化だ。トラックが停められる駐車場の有無が、この層の来院可否を決める。
軸②「デスクワーカー×自費コンディショニング」
支店経済都市ゆえに転勤族・オフィスワーカーが多い。都市型の自費整体・骨格矯正メニューが郡山では成立しやすい。
軸③「学生スポーツ外傷」
郡山は高校・大学のスポーツ強豪校が多い(陸上・野球・バスケ)。部活動外傷×スポーツ復帰リハビリの学生市場が厚い。
📌 第3章の急所
郡山駅前は競合最激戦だが、夜間対応(21時以降)をしている院は少ない。支店経済都市の営業職・飲食業従事者は「仕事が終わってから行ける院」を探している。「平日22時まで」の一点突破が、激戦区・郡山駅前で後発でも成立する数少ない差別化だ。
福島第一原発の廃炉は今後数十年続く国家事業だ。廃炉作業員・除染関連・解体工事・中間貯蔵施設・復興インフラ工事の従事者が、双葉郡〜いわき市の宿舎・アパートに滞在して働いている。
| 作業 | 身体負担 | 障害 |
|------|---------|------|
| 防護装備での作業 | 装備重量+夏場の暑熱+動作制限 | 腰痛・熱中症・膝痛 |
| 解体・がれき処理 | 重量物搬送・不整地歩行 | 腰痛・捻挫 |
| 重機オペレーション | 長時間の座位・振動 | 腰痛・頸部痛 |
| 配管・溶接(構内工事)| 狭所・中腰・上向き作業 | 腰痛・肩こり・頸肩腕症候群 |
| 土木・防潮堤工事 | 型枠・鉄筋の重labor | 腰痛・腱鞘炎 |
この層の特徴は3つ。①単身赴任・宿舎生活で身体ケアの手段がない、②日給月給制で「身体が資本」の意識が強い、③平日夜と日曜しか動けない。
「作業員の方の腰・膝、日曜営業・夜19時以降OK」という設計を掲げた院が、いわき市北部〜双葉郡ルート上(国道6号沿い)でこの数千人市場を独占できる。元請けゼネコン・協力会社の安全衛生部門への「腰痛予防講話」提案は、法人ルートとして極めて有効だ。建設業の労災予防は元請けの最重要テーマであり、講話の受け入れハードルは低い。
松川浦漁港(相馬)・小名浜港(いわき)の「常磐もの」(ヒラメ・ノドグロ・アンコウ)は市場で高評価のブランド水産物だ。本格操業への回復に伴い漁業・水産加工の従事者が増えている。底引き網の引き揚げ・選別・加工場の立ち仕事という定番の漁業腰痛需要が回復基調にある。
いわき市湯本地区にはスパリゾートハワイアンズ(年間100万人超が来場する東北最大級のレジャー施設)といわき湯本温泉がある。
ハワイアンズ・温泉旅館のスタッフ(清掃・配膳・立ち仕事)の腰痛需要
フラダンサー・ショー出演者という特殊なパフォーマー需要(膝・股関節・腰のダンス障害)——「フラガールの身体を診る院」はいわきでしか成立しない訴求だ
📌 第4章の急所
復興作業員は2〜3年単位で入れ替わる流動人口だ。「一人の患者を長期リピートさせる」通常のLTV設計ではなく、「元請け・協力会社との法人関係を固定化し、作業員が入れ替わっても会社経由で新しい患者が供給され続ける」構造を作ること。個人ではなく法人をリピーターにする——これが浜通り建設業市場の攻略原則だ。
福島盆地は「くだもの王国ふくしま」の中核だ。
| 品目 | 特性 | 身体負荷 |
|------|------|---------|
| 桃(あかつき)| 全国2位の産地。7〜8月収穫 | 脚立×上向き収穫→首・肩 |
| 梨・りんご | 8〜11月の収穫リレー | 上向き作業の継続 |
| ぶどう | 棚下の上向き作業 | 頸椎・肩関節への持続負荷 |
| あんぽ柿(伊達市特産)| 10〜12月:皮むき・吊るし・もみ作業 | 手指の腱鞘炎・座位前傾の首こり・肩こり |
| さくらんぼ・干し柿の出荷調整 | 座位の細密作業 | 頸肩腕症候群 |
福島の果樹は6月のさくらんぼから12月のあんぽ柿まで半年間の「収穫リレー」が続く。山形(さくらんぼ集中型)と違い、需要が長期分散するため「シーズン契約型の定期ケアプラン(月2回×6ヶ月)」という囲い込み設計が福島盆地では成立しやすい。
あんぽ柿の皮むき作業は10〜11月に一家総出で行う伊達市特有の重労働だ。ピーラーでの反復皮むきによる腱鞘炎・手首痛は「あんぽ柿農家の手を診る」という伊達市限定の訴求として使える。
県庁・行政関連のデスクワーカー需要
飯坂温泉(奥州三名湯)・土湯温泉・高湯温泉の旅館スタッフ需要
福島競馬場の開催時期の観光流入
JAふくしま未来(福島市・伊達市・相馬エリアを管轄する大型JA)は果樹農家コミュニティの中枢だ。「果樹農家の首・肩セミナー」+「あんぽ柿シーズン前の手・手首ケア講習」の二本立て提案が、福島盆地の農家への最速接触ルートになる。
📌 第5章の急所
福島の桃農家は7月下旬〜8月の「あかつき」収穫期に収入が集中する。山形のさくらんぼと同じ構造で、収穫明けの8月下旬〜9月上旬が年間最大の集患チャンスだ。「桃の収穫おつかれさまでした」訴求をこの2週間に集中投下すること。さらに10月には伊達市のあんぽ柿シーズンが控えるため、「桃明けケア→あんぽ柿前メンテナンス」という連続来院の導線が作れる。
会津は独立性の高い生活圏だ。会津若松市がその中心で、周辺町村(会津美里・会津坂下・猪苗代)から患者が集まる広域商圏を持つ。
①伝統工芸職人
会津塗(漆器):下地・塗り・蒔絵の座位前傾細密作業→頸肩腕症候群
酒蔵(会津は東北屈指の銘醸地・末廣・榮川など):米袋(30kg)搬送・麹室の中腰作業→蔵人の腰痛。冬季(仕込み期)に負荷が集中する
会津木綿・赤べこ絵付け:座位反復作業
②観光業従事者
鶴ヶ城・大内宿・飯盛山に年間300万人超の観光客。東山温泉・芦ノ牧温泉の旅館スタッフの腰痛需要。
③ICT関連
会津若松市はスマートシティ推進でICT企業のサテライトオフィス誘致に成功しており(会津大学との連携)、地方都市には珍しいITエンジニアのデスクワーク需要が育っている。
喜多方・南会津・奥会津(只見・金山)は日本有数の豪雪地帯だ。12〜3月の雪かき腰痛・屋根の雪下ろしによる急性腰痛・転落外傷が毎年確実に発生する。奥会津の競合密度5〜12院/10万人は全国最低水準で、喜多方市の院が「奥会津から車で来る患者」を受け止める構造になる。
📌 第6章の急所
会津の酒蔵の仕込みは10月〜3月の寒仕込みだ。蔵人(くらびと)の腰痛はこの半年に集中する。会津若松・喜多方には酒蔵が数十蔵あり、「蔵人の腰を診る院」という訴求は会津の地域文化に深く刺さる。酒蔵組合経由での法人アプローチは、職人コミュニティ×観光ブランドの両方への波及効果を持つ。
| エリア | 地域1位に必要な口コミ数(推計)| 優先度 |
|--------|-------------------------------|------|
| 郡山市中心部 | 120〜200件 | 県内最激戦 |
| 福島市 | 90〜150件 | 競合が集中 |
| いわき市(平・小名浜)| 80〜130件 | 中期目標 |
| いわき市郊外 | 50〜80件 | 短期で達成可能 |
| 会津若松市 | 45〜70件 | 短期で達成可能 |
| 白河市・須賀川市 | 40〜65件 | 短期で達成可能 |
| 喜多方市 | 20〜35件 | 即独占可能 |
| 南相馬市 | 18〜30件 | 即独占可能 |
| 相馬市 | 12〜22件 | 即独占可能 |
| 双葉郡 | 5〜15件 | 開院直後から独占 |
| 月 | 配信テーマ |
|----|-----------|
| 12〜3月 | 「雪かき・雪下ろし腰痛の当日対応OK」(会津・中通り)|
| 10〜3月 | 「酒蔵の仕込みシーズン。蔵人の腰の定期ケアを」(会津)|
| 7月上旬 | 「桃の収穫前メンテナンス、今のうちに」(福島盆地)|
| 8月下旬 | 「あかつき収穫おつかれさまでした。首・肩リセット予約受付中」(年間最重要・中通り)|
| 10〜11月 | 「あんぽ柿の皮むき前に手・手首のケアを」(伊達市)|
| 通年 | 「復興工事従事者の方、日曜・夜間対応しています」(浜通り)|
復興・廃炉関連の元請けゼネコン・協力会社の安全衛生部門への「腰痛予防講話」提案(浜通り)
JAふくしま未来への果樹農家セミナー(中通り)
会津酒造組合・観光旅館組合への法人契約提案(会津)
郡山の物流企業・運送会社への「ドライバー腰痛対策プログラム」
健康経営優良法人を目指す県内企業への福利厚生提携(メタボ課題県ゆえに受容度が高い)
📌 第7章の急所
福島県は震災以降、「県民健康調査」を続けてきた歴史から、健康データ・予防への行政の関与が全国で最も深い県だ。市町村の健康増進事業(介護予防教室・健康ポイント事業)への参画は、他県以上に整骨院への門戸が開いている。行政事業への登壇実績は「地域で信頼される院」の証明として、MEO・口コミ以上のブランド効果を持つ。
ターゲット:廃炉・復興関連の建設業従事者(30〜50代男性・単身赴任層)
武器:「復興工事従事者の腰・膝専門」訴求×日曜営業・平日夜19時以降対応×元請け安全衛生部門への法人提案×大型車が停まる駐車場
月商目標:150〜200万円
注意点:個人のLTVではなく法人リレーションを固定化する設計が絶対条件。作業員の入れ替わりを「新規供給」に変える構造を作ること
ターゲット:福島盆地の果樹農家(40〜70代)
武器:「脚立作業の首・肩専門」+「あんぽ柿農家の手・手首ケア」×JAふくしま未来連携×シーズン定期ケアプラン(月2回×6ヶ月)
月商目標:140〜185万円
注意点:8月下旬の桃収穫明け販促が年間最大の勝負。ここで取った患者をあんぽ柿シーズン(10〜12月)まで定期プランで繋ぐ導線が肝
ターゲット:物流ドライバー・倉庫作業員・営業車ドライバー(30〜50代)
武器:大型駐車場×早朝6〜8時・夜間22時までの対応×「ドライバーの腰痛専門」訴求×運送会社への法人契約
月商目標:170〜220万円
注意点:郡山は県内最激戦区。立地(幹線道路沿い×駐車場)が戦略の8割を決める。駅前ではなく国道4号・49号沿いを選ぶこと
ターゲット:会津塗職人・酒蔵の蔵人・観光旅館スタッフ+会津広域の一般患者
武器:「会津の職人と蔵人の身体を診る院」訴求×酒造組合・旅館組合への法人営業×MEO口コミ45〜70件で会津トップ×冬季の雪かき腰痛対応
月商目標:150〜195万円
注意点:会津は独立商圏ゆえに「会津の院」というアイデンティティが強力に機能する。地元紙(福島民報・民友の会津版)露出を最初の1年で取りに行くこと
ターゲット:ハワイアンズ・湯本温泉の従業員+ダンサー・パフォーマー+いわき市南部住民
武器:「フラガール・ダンサーの膝・股関節ケア」という全国唯一の訴求×施設・旅館への法人契約×MEO口コミ50〜80件
月商目標:135〜175万円
注意点:パフォーマー単体は人数が限られる。象徴=フラガール、収益=施設スタッフ法人+地域住民という役割分担設計を明確にすること
📌 第8章の急所
福島で多店舗展開を狙うなら「郡山→福島→いわき→会津若松」の順で4院を置くのが定石だ。3地方それぞれの中核都市を押さえれば、県全体175万人をカバーする「福島の整骨院グループ」というポジションが取れる。3地方分立ゆえに全県ブランドを持つ競合が存在しない——これは多店舗プレイヤーにとって、東北で仙台圏の次に大きい空白だ。
福島の整骨院市場を一言で表すなら、「浜・中・会津の3市場がそれぞれ別の固有需要を持ちながら、どの市場にも『面で取る』プレイヤーがいない、東北最大級の空白県」だ。
浜通りの復興作業員、福島盆地の桃農家、会津の蔵人、郡山のドライバー——これらは全て「発生源が明確で、法人ルートで束ねられる需要」だ。個人集患に頼らず法人・組合・JA経由で患者供給の仕組みを作れる点が、福島市場の最大の特徴だ。
福島で勝つための3原則
① 3地方を絶対に混ぜない
浜通り・中通り・会津は別の県として商圏設計する。「福島県向け」の汎用戦略は3地方のどこにも刺さらない。エリアの固有名詞(廃炉工事・あかつき・蔵人)を使った訴求だけが機能する。
② 個人ではなく法人をリピーターにする
復興元請け・JA・酒造組合・運送会社——福島は法人ルートの太さが全国屈指だ。法人との関係を固定化すれば、人が入れ替わっても患者供給が続く構造が作れる。
③ 健康課題先進県の「予防需要」を取りに行く
メタボ全国ワースト上位という課題は、裏返せば予防・運動指導プログラムへの行政・企業の受容度が全国最高水準ということだ。施術で治す院から「福島の健康課題に取り組む院」へ——この立ち位置が行政連携・法人契約・採用のすべてを有利にする。
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著者プロフィール:宮澤 駿
ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長
大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。
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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。