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COLUMN

【47都道府県 整骨院マーケットレポート㉓】大分県の整骨院市場分析/競合密度35院——日本製鉄大分製鉄所×別府APU留学生×湯布院旅館スタッフ×関さば漁師、おんせん県の4重需要を読む

2026.06.29|整骨院マーケットレポート

シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第23回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。


はじめに:「おんせん県」の整骨院市場が持つ、他県にはない4つの武器

大分県の競合密度は約35.3院/10万人。全国平均(40.7院)の約87%。全国平均をやや下回る低競合市場だ。

大分を「おんせん県」と名乗らせる温泉資源(源泉数・湧出量ともに全国1位)は、整骨院にとっても独特の意味を持つ。

一つ目の武器が温泉旅館スタッフの腰痛需要だ。別府・湯布院(由布院)・九重・長湯——大分の温泉地で働く旅館・ホテルスタッフは布団の上げ下ろし・重い食器・食材運搬・立ち仕事による腰痛が慢性化している。全国最大規模の旅館産業が集積する大分は、旅館業従事者の腰痛需要でも全国トップクラスだ。

二つ目が別府APUの留学生需要だ。立命館アジア太平洋大学(APU)は全学生の約半数が80カ国以上からの外国人留学生だ。別府市は事実上「日本のコスモポリタンシティ」の一つで、英語が日常的に飛び交う。英語・多言語対応の整骨院が別府市にはほとんどない——これが最大の穴だ。

三つ目が日本製鉄大分製鉄所の鉄鋼従事者需要だ。世界最大規模クラスの一貫製鉄所として知られる大分製鉄所は高炉・転炉・圧延・加工の全工程を持ち、数千人規模が働いている。製鉄従事者の腰痛・肩こり・振動障害は慢性的だが、「製鉄所従事者専門の院」は大分市内でほぼ存在しない。

四つ目が関さば・関あじ漁師の需要だ。豊後水道(佐伯市・臼杵市・津久見市)の延縄漁業で水揚げされる「関さば・関あじ」は全国最高ブランドの魚だ。この漁業を支える漁師の船上重労働による腰痛は慢性化しているが、「漁師のための院」はこのエリアにない。

大分は「温泉に浸かりながら、整骨院を経営できる県」だ。この4重の固有需要を使いこなした院が大分の繁盛院になる。


第1章:大分県の人口構造と市場規模

1-1. 基本人口データ

| 指標 | 数値 | 備考 |
|------|------|------|
| 総人口 | 約111万人 | 全国33位(緩やかに減少中)|
| 高齢者人口(65歳以上) | 約37万人 | 高齢化率約33% |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 約61万人 | 構成比約55% |
| 年少人口(0〜14歳) | 約13万人 | 構成比約12% |

高齢化率33%は全国平均(29.1%)を大幅に上回る。大分市・別府市は比較的若い人口を維持しているが、日田市・玖珠郡・竹田市などの山間部・農村部は高齢化率40〜50%超のエリアが多い。

主要都市別人口:

| 市町村 | 人口 | 特性 |
|--------|------|------|
| 大分市 | 約47万人 | 県庁所在地・日本製鉄・東ソー・商業 |
| 別府市 | 約11万人 | 温泉全国1位・APU留学生・観光 |
| 中津市 | 約8万人 | 中津城・農業・からあげ発祥・製造業 |
| 日田市 | 約6万人 | 日田杉(林業)・農業・温泉・観光 |
| 佐伯市 | 約6万人 | 漁業(関さば・関あじ)・林業・農業 |
| 臼杵市 | 約4万人 | 漁業(豊後水道)・農業・観光(磨崖仏)|
| 宇佐市 | 約5万人 | 農業(ぶどう・梨)・宇佐神宮 |
| 豊後大野市 | 約3.5万人 | 和牛(豊後牛)・農業・石灰石採掘 |
| 由布市 | 約3.4万人 | 湯布院温泉・由布岳・観光 |
| 玖珠郡(九重町)| 約0.9万人 | 九重夢大吊橋・温泉・農業 |
| 竹田市 | 約2万人 | 岡城・農業(豊後牛)・林業 |

1-2. 生産年齢人口の需要構造

①製造業従事者(大分市・中津市)
日本製鉄大分製鉄所は高炉・転炉・連続鋳造・熱延・冷延・鋼管の全工程を備える世界最大規模クラスの一貫製鉄所だ。製鉄所の高炉作業員・圧延ライン従事者・設備保全担当者は高温・振動・重量物という「腰痛の三重苦」に毎日さらされている。東ソー(化学品)・豊和工業(機械)も大分市の主要製造業だ。

中津市はダイハツ九州(小型車・軽自動車の主力工場)が立地する自動車製造の街だ。組み立てライン従事者の腰痛・肩こり需要が安定している。

②旅館・ホテル従事者(別府市・由布市・九重町・日田市)
大分県は源泉数・湧出量ともに全国1位の「おんせん県」だ。別府(別府八湯)・湯布院(由布院温泉)・九重温泉郷・長湯温泉・天ヶ瀬温泉などに旅館・ホテルが密集している。旅館業従事者の布団作業・食器運搬・立ち仕事による腰痛需要は全国最大規模だ。

③外国人留学生・外国人観光客(別府市・由布市)
別府のAPU(立命館アジア太平洋大学)には80カ国以上から約3,000人の外国人留学生が在籍している。湯布院は台湾・韓国・中国・欧米からの外国人観光客が年間100万人以上訪れる。英語・多言語対応の整骨院需要が潜在的に大きい。

④漁業従事者(佐伯市・臼杵市・津久見市・豊後水道)
豊後水道で漁獲される「関さば・関あじ」は全国最高ブランドの魚だ。延縄漁業・定置網漁業の漁師の重労働による腰痛・肩痛需要がある。

⑤林業従事者(日田市・玖珠郡・佐伯市)
日田杉(全国最高ブランドの杉材)の産地・日田市と玖珠郡の林業従事者はチェーンソー・集材機・搬出作業による腰痛・振動障害(白蝋病)が多い。

1-3. 市場規模推計

| 指標 | 数値 |
|------|------|
| 施術所数(R4確定値) | 392院 |
| 推計年間市場規模 | 約470〜565億円 |


📌 第1章の急所
別府市のAPU留学生は20代前半の若い層だ。スポーツ障害(サッカー・バスケットボール・武道)・急性外傷・慢性疲労による腰痛・肩こりが多い。「学割プラン」「英語で相談OK」「初回施術の体験メニュー」という設計がAPU留学生への最速アプローチだ。APUの学内掲示板・SNSへの英語告知が来院の入り口になる。


第2章:施術所数・競合密度の実態

2-1. 大分県の競合密度

| 指標 | 大分県 | 全国平均 |
|------|--------|----------|
| 施術所数(R4確定値) | 392院 | 50,919院 |
| 競合密度 | 約35.3院/10万人 | 約40.7院/10万人 |
| 人口 | 約111万人(全国33位) | — |

全国平均をやや下回る。大分市・別府市への院の集中により、山間部・漁業地帯・農村部は全国最低水準に近い競合密度が続く。

2-2. エリア別競合密度(推計)

| エリア | 推計競合密度 | 特性 |
|--------|-------------|------|
| 大分市中心部 | 40〜55院/10万人 | 県庁所在地。全国平均前後〜やや高め |
| 大分市住宅地(郊外) | 30〜42院/10万人 | 製鉄所周辺エリア。中低競合 |
| 別府市 | 35〜50院/10万人 | 温泉観光×APU。中競合 |
| 中津市 | 25〜38院/10万人 | 自動車製造(ダイハツ)。低〜中競合 |
| 由布市(湯布院)| 15〜28院/10万人 | 観光温泉地。低競合 |
| 日田市 | 20〜32院/10万人 | 林業×農業×観光。低〜中競合 |
| 宇佐市 | 18〜28院/10万人 | 農業×神社観光。低競合 |
| 佐伯市 | 12〜22院/10万人 | 漁業×林業。低競合 |
| 臼杵市・津久見市 | 10〜20院/10万人 | 漁業×農業。最低水準 |
| 豊後大野市 | 10〜18院/10万人 | 農業(豊後牛)×石灰石。最低水準 |
| 玖珠郡(九重町)| 5〜15院/10万人 | 温泉×農業。最低水準 |
| 竹田市 | 5〜12院/10万人 | 農業×林業×過疎。最低水準 |


📌 第2章の急所
由布市(湯布院)の競合密度は15〜28院/10万人と全国平均の半分以下だ。全国から100万人超の観光客が訪れる有名観光地でこれだけ院が少ない。「湯布院で唯一の英語対応整骨院」という看板は外国人観光客・旅館スタッフの両層に刺さる強力な差別化になる。由布市全体でMEO口コミ30〜50件を達成すれば地域トップを取れる可能性がある。


第3章:大分市の市場地図(日本製鉄×商業)

3-1. 大分市(人口約47万人)

大分市は大分県の政治・経済・商業の中心地だ。日本製鉄大分製鉄所を核とした臨海工業地帯が市の経済基盤を支えている。

| エリア | 特性 | 競合 |
|--------|------|------|
| 大分駅周辺(中央区)| 商業・行政・医療の中枢 | 最も競合が高い |
| 製鉄所周辺(大分市西部)| 日本製鉄従業員の居住エリア | 中低競合。製鉄所需要 |
| 大分市東部(鶴崎・大在)| 住宅地・東ソー工場周辺 | 中競合。化学工業需要 |
| 大分市南部(坂ノ市・佐野)| 住宅地・農業地帯 | 低中競合 |

3-2. 大分市での差別化軸

大分市中心部は全国平均前後の競合密度があり、汎用的な「整骨院」では差別化が難しい。勝ちやすいポジションは以下の2軸だ。

軸①「製鉄所・工業従事者専門」
大分市の製造業(製鉄・化学)に名指しで訴求した院が競合との差別化を作れる。

軸②「大分市南部・郊外の住宅地型」
坂ノ市・佐野などの郊外住宅地はMEO口コミ80〜120件で地域トップが取れる。名古屋・大阪と比較してはるかに低いハードルだ。


📌 第3章の急所
大分市は「国際的な製造業都市」でもある。日本製鉄大分製鉄所には韓国・インド・中国などの外国人研修員・技術者が来日することがある。英語対応の院は大分市でも差別化になりえるが、規模としては別府(APU)の方が優先度が高い。大分市の外国人対応は英語プラス韓国語(大分市内の在日韓国・朝鮮人コミュニティは一定規模がある)が現実的な優先順位だ。


第4章:日本製鉄大分製鉄所の鉄鋼従事者需要

4-1. 大分製鉄所の規模

日本製鉄大分製鉄所(大分市西ノ洲)は日本製鉄の基幹製鉄所の一つだ。

| 特性 | 内容 |
|------|------|
| 生産品目 | 厚板・熱延・冷延・電磁鋼板・鋼管 |
| 工程 | 高炉(製銑)→転炉(製鋼)→連続鋳造→圧延(熱延・冷延)→仕上げ |
| 従業員規模 | 製鉄所本体+関連協力会社で数千人規模 |
| 稼働 | 24時間365日連続操業 |

製鉄所の作業環境と身体負担:

| 作業工程 | 身体負担 | 発生しやすい障害 |
|---------|---------|----------------|
| 高炉・転炉操業 | 高温環境・重い操作機器・立ち仕事 | 腰痛・熱中症・脱水 |
| 圧延ライン | 振動・高温・重量物搬送 | 腰痛・振動障害 |
| 設備保全 | 重機搬入・狭所作業・高所作業 | 腰痛・肩こり・転落リスク |
| 鋼材搬送 | 重量物クレーン操作・鋼材搬送 | 腰痛・頸部障害 |
| 塗装・鉄皮作業 | 前傾・中腰・不安定な姿勢 | 腰痛・頸肩腕症候群 |

4-2. 製鉄所従事者需要の取り方

①「日本製鉄・製鉄所従事者専門」の明確な訴求
大分市の西部エリア(製鉄所周辺)のGoogleビジネスプロフィールに「製鉄所勤務・高温作業・振動障害の腰痛に特化した施術」を掲載する。「自分のための院だ」という認識が来院の決断を最速で生む。

②24時間シフト制に合わせた診療枠設計
製鉄所は24時間操業のシフト制だ。「早朝8時開院・深夜明け対応・LINEで当日予約OK」という設計が製鉄所従事者に最も刺さる。一般的な10〜19時診療では製鉄所のシフト勤務者に届かない。

③日本製鉄の健康保険組合・協力会社組合への法人提案
日本製鉄クラスの大企業は健康保険組合が充実している。組合を通じた「製鉄所従業員腰痛ケアプログラム」の法人提案が直接的な集患ルートになる。


📌 第4章の急所
製鉄所の「振動工具を使う作業員」は振動障害(白蝋病・レイノー現象)のリスクを抱えている。グラインダー・インパクトレンチ・溶接機の振動による手・腕の障害は整骨院が対応できる領域だ。「振動障害の手・手首専門施術」を持つ院は大分市内でほぼ存在しない。製鉄所周辺のエリアでこのポジションを取った院が製鉄所従事者の慢性患者を独占できる。


第5章:別府市のAPU留学生×温泉観光需要

5-1. APU(立命館アジア太平洋大学)の外国人留学生

APUは日本で最も国際化が進んだ大学の一つだ。

| 指標 | 数値 |
|------|------|
| 全学生数 | 約6,000人 |
| 外国人留学生数 | 約3,000人(全体の約50%)|
| 出身国・地域数 | 80カ国以上 |
| 多い出身地域 | アジア(中国・韓国・インドネシア・ベトナム・インド)・欧米・アフリカ |
| 授業言語 | 英語・日本語の両方(バイリンガル大学)|

APU留学生の整骨院ニーズ:

  • スポーツ障害(APUはスポーツが盛ん。サッカー・バスケ・格闘技・ランニング)

  • 慢性的な腰痛・肩こり(長時間の学習・アルバイト)

  • 「日本の整骨院を体験したい」というカルチャー体験ニーズ

  • 保険なしでも比較的安価に受診できる整骨院への関心

5-2. APU留学生向け整骨院設計

①英語対応の徹底

  • 英語問診票("Where does it hurt?" / "Is the pain constant or intermittent?")

  • 院内表示・料金表の英語表記

  • InstagramとFacebookへの英語投稿

②「What is Seikotsuin(整骨院)?」コンテンツ
整骨院という概念がない国の留学生に対して、「Japanese manual therapy clinic — similar to a physio or chiropractor」という英語説明をInstagram・Google Businessに掲載する。

③APU学内への情報展開
APUのキャンパス内掲示板・学内SNS(APUは学内コミュニティが活発)への英語チラシ配布が最速の接触経路だ。APUのスポーツサークルへの「怪我の無料相談会」登場も有効だ。

④別府市の多様な国籍コミュニティへの多言語発信
APU留学生の多い国籍(中国・韓国・インドネシア・ベトナム・インド)に合わせて、インドネシア語・ベトナム語・ヒンディー語のInstagram投稿を追加することで、コミュニティ内の口コミが連鎖する。

5-3. 別府の温泉観光需要

別府市は年間800万人以上の観光客が訪れる大分の観光中心地だ。地獄めぐり・海地獄・鬼石坊主地獄・山地獄など多彩な観光資源を持ち、外国人観光客(台湾・韓国・中国・欧米)の比率も高い。

  • 外国人観光客の急性外傷:観光中の転倒・捻挫・急性腰痛対応の「当日OK・英語OK」院

  • 旅館スタッフの腰痛:別府市内の旅館・ホテル従業員の布団・食器・清掃作業による腰痛


📌 第5章の急所
APU留学生は「友達の口コミで行動する」傾向が特に強い。一人の留学生が「あの院は英語で丁寧に診てくれる」という投稿をInstagramにすると、APUコミュニティ内で一夜にして数十人に広がる。APU留学生を最初の10人取り込んだ院が、SNSの速度でAPU全体に認知される。この「口コミの速度」は日本人コミュニティの数倍速だ。


第6章:湯布院・由布院の旅館スタッフ×外国人観光客

6-1. 湯布院(由布院温泉)の市場特性

由布市の湯布院温泉(由布院温泉)は全国屈指の有名観光地だ。

| 指標 | 数値(推計)|
|------|------------|
| 年間観光客数 | 約400〜450万人(コロナ前)|
| うち外国人観光客 | 約30〜40万人(台湾・韓国・中国・欧米が多い)|
| 旅館・ホテル数 | 約400軒 |
| 旅館業従事者数(推計)| 数千人 |

旅館スタッフの慢性的な身体負担:

  • 布団の上げ下ろし:1日に何十回も布団を敷く・片付ける。腰への集中的な負荷

  • 食事運搬:重い御膳・料理を客室まで運ぶ。腰・肩への負荷

  • 客室清掃:前傾・中腰での清掃。腰・肩の慢性疲労

  • フロント・接客:長時間の立ち仕事。足底筋膜炎・腰痛

湯布院の旅館スタッフは慢性的な腰痛を抱えているが、「観光地なので院が少なく、近くに行けない」という状況だ。由布市の競合密度15〜28院/10万人という低さがこれを示している。

6-2. 湯布院での需要の取り方

①旅館・ホテルへの法人営業
由布市の旅館・ホテル(約400軒)の総務・経営者に「従業員の腰痛予防プログラム」を提案する。月額法人契約(従業員10〜20名・月定額)が安定収益の柱になる。

②外国人観光客向け「英語・繁体字対応」の訴求
Googleビジネスプロフィールの英語・中国語(繁体字)投稿で「湯布院で腰・膝を痛めた外国人観光客へ。当日対応OK・English spoken」という訴求を入れる。湯布院観光中の転倒・急性腰痛の外国人観光客が「YUFUIN chiropractor」で検索した時に上位表示を狙う。


📌 第6章の急所
湯布院の旅館は「繁忙期(GW・夏・秋・年末年始)」と「閑散期(1〜2月・6月)」の差が大きい。旅館スタッフの腰痛は繁忙期後(5月・10月下旬・1月)に急増する。「繁忙期が終わったら整骨院で腰をリセット」という訴求を繁忙期の終わり直後にLINE・SNSで届けることが最も効果的だ。


第7章:関さば漁師×日田杉林業×豊後牛農家

7-1. 関さば・関あじの漁業(佐伯市・臼杵市・津久見市)

豊後水道で漁獲される「関さば・関あじ(または豊後水道のブランド魚)」は全国最高の鮮魚ブランドの一つだ。延縄漁業・一本釣り・定置網漁業の漁師は:

  • 船上での長時間の立ち仕事・波動による体幹への負荷

  • 重い漁具(延縄・網)の引き揚げ・整理による腰・肩の負荷

  • 冷風にさらされる冬季操業による筋肉硬直

佐伯市・臼杵市の競合密度は10〜22院/10万人という全国最低水準に近い。「関さば漁師の腰を診る院」は佐伯市・臼杵市で全国で使えないキャッチコピーだ。

7-2. 日田杉の林業従事者(日田市・玖珠郡)

日田市・玖珠郡は「日田杉」の一大産地だ。全国最高ブランドのスギ材を生産する林業の現場では:

  • チェーンソーによる伐採作業(振動障害・腰痛)

  • 集材機・フォワーダーの操作(振動・前傾姿勢)

  • 丸太の搬出・積み込み(重量物の反復搬送による腰痛)

林業従事者は「自然の中で体を使う仕事」という誇りが強く、整骨院への来院動機のハードルが農業従事者と同様に高い。「林業従事者・山師の体を診る院」というポジション設計が有効だ。

7-3. 豊後牛農家(豊後大野市・竹田市)

大分県の「豊後牛(ぶんごうし)」は九州を代表する和牛ブランドだ。

  • 牛の管理・治療・給餌の重労働

  • 牛舎の清掃・糞尿処理(重量物搬送)

  • 牧草地の草刈り(草刈り機の振動)

豊後大野市・竹田市の競合密度は5〜18院/10万人という超低競合。「豊後牛農家の腰専門」を掲げた院は即座に地域独占に近い状態になれる。


📌 第7章の急所
日田市の林業従事者はチェーンソーを1日8時間以上使う繁忙期がある(伐採シーズン)。長期にわたるチェーンソー作業は白蝋病(振動白指病)のリスクがある。この職業病(振動障害)に対応できる院は日田市内でほぼ存在しない。「林業従事者の振動障害・手首専門」という訴求を持った院が日田市の林業コミュニティ内で絶大な信頼を得られる。


第8章:大分に刺さる集客チャネルの現実

8-1. MEO——湯布院・佐伯・豊後大野は即独占可能

| エリア | 地域1位に必要な口コミ数(推計)| 優先度 |
|--------|-------------------------------|------|
| 大分市中心部 | 100〜180件 | 競合が集中 |
| 大分市郊外・住宅地 | 70〜110件 | 中期目標 |
| 別府市 | 80〜130件 | APU需要×観光 |
| 中津市 | 50〜80件 | 短期で達成可能 |
| 日田市 | 40〜65件 | 短期で達成可能 |
| 由布市(湯布院) | 30〜50件 | 今すぐ取れる |
| 佐伯市 | 20〜35件 | 即独占可能 |
| 豊後大野市 | 10〜22件 | 即独占可能 |
| 竹田市・玖珠郡 | 10〜18件 | 即独占可能 |

8-2. LINE公式アカウント——季節×産業カレンダー連動配信

| 月 | 配信テーマ |
|----|-----------|
| 3〜5月 | 「春の観光シーズン(湯布院・別府)前に旅館スタッフの腰ケアを」|
| 7〜9月 | 「夏の林業繁忙期終了。日田杉の山師の腰・手首のリセットはいまのうちに」|
| 10月末 | 「秋の観光繁忙期明け。湯布院旅館スタッフの腰をリセット」|
| 12〜2月 | 「漁業の冬季繁忙期。関さば漁師の腰・肩は整骨院で定期ケアを」|

8-3. 英語・多言語SNS——別府APU×湯布院外国人観光客

  • InstagramとFacebookへの英語投稿(週2〜3回)

  • APU学内掲示板・SNSへの英語チラシ配布

  • Googleビジネスプロフィールの英語・繁体字中国語(台湾・香港向け)投稿

  • TripAdvisorへの英語登録(外国人観光客向け)

8-4. 旅館・漁協・林業組合への連携アプローチ

  • 別府・湯布院の旅館組合(別府観光旅館協同組合・由布院旅館組合)への法人営業

  • 大分県漁業協同組合連合会(JFおおいた)への「漁業従事者腰痛予防セミナー」

  • 日田市・玖珠郡の林業組合への「林業従事者振動障害・腰痛ケアプログラム」


📌 第8章の急所
大分の集客で最も投資対効果が高い組み合わせは「由布市(湯布院)のMEO先行整備」+「旅館への法人営業」の2つの同時実施だ。旅館との法人契約が成立した瞬間、月に数十人の従業員患者が安定して来院する仕組みができる。由布市の旅館軒数(約400軒)のうち5〜10軒と法人契約できれば月商100〜150万円の安定収益を旅館契約だけで作れる計算だ。


第9章:大分の勝ちパターン5選

パターン①【大分市・製鉄所特化型】シフト勤務×深夜明け対応で製鉄所従事者を取る

  • ターゲット:日本製鉄大分製鉄所・東ソー・豊和工業の製造業従事者(30〜50代男性)

  • 武器:「製鉄所・工業従事者専門」訴求×早朝8時開院×深夜明け対応×振動障害専門メニュー

  • 月商目標:160〜210万円

  • 注意点:24時間シフトに合わせた診療時間設計が前提。標準的な10〜19時では製鉄所のシフト勤務者に届かない

パターン②【別府・APU留学生×観光特化型】英語対応で全国唯一の多国籍整骨院になる

  • ターゲット:APU外国人留学生(約3,000人)+別府温泉の外国人観光客

  • 武器:英語問診票×Instagram英語投稿×APU学内周知×多言語(英語・中国語・インドネシア語)SNS

  • 月商目標:140〜190万円

  • 注意点:留学生の転出(卒業・帰国)サイクルが2〜4年のため、継続的な新患流入の設計が必要。APUの学年暦(4月・9月入学)に合わせた集客周期を設計する

パターン③【由布市・旅館法人×外国人観光客型】湯布院に一院しかない整骨院として旅館を制す

  • ターゲット:湯布院の旅館・ホテル従業員(腰痛・肩こり)+外国人観光客(急性外傷)

  • 武器:旅館組合への法人営業×英語・繁体字対応×MEO即独占×TripAdvisor登録

  • 月商目標:110〜150万円(旅館法人契約が月商の40〜50%を占める安定設計)

  • 注意点:湯布院は人口が少ないため法人収益の確保が安定経営の鍵。旅館5〜10軒との法人契約を最初の3ヶ月の最優先課題にする

パターン④【日田市・林業×農業特化型】日田杉の山師と農家の腰・振動障害を診る

  • ターゲット:日田市・玖珠郡の林業従事者(40〜60代)+農業従事者

  • 武器:「林業従事者の振動障害・手首専門」訴求×林業組合連携×MEO即独占

  • 月商目標:110〜145万円

  • 注意点:林業は伐採シーズン(秋〜冬)と植林シーズン(春)で繁忙期が変わる。農業の農閑期(冬)と重なる時期に来院集中設計を作ることで年間の安定来院が実現する

パターン⑤【佐伯市・漁業地域独占型】豊後水道の漁師専門院として関さばの街を制す

  • ターゲット:佐伯市・臼杵市・津久見市の漁業従事者(延縄・定置網漁師)

  • 武器:「関さば・豊後水道の漁師専門」訴求×漁協連携×早朝8時開院×MEO即独占

  • 月商目標:90〜120万円(低コスト運営×独占市場)

  • 注意点:漁師の就業時間(早朝〜昼前)に合わせた診療時間が必要。早朝8時開院がこのエリアでの最大の差別化だ


📌 第9章の急所
パターン③(湯布院・旅館法人特化)は「旅館5軒との法人契約(各10名・月5,000円×10名×5軒=25万円)+個人患者(月80〜100万円)」という収益設計が成立する数少ないパターンだ。旅館法人契約は個人患者と違って「解約率が低い(一度信頼を得ると長期契約になる)」という特性がある。湯布院で旅館法人×個人患者の二本柱を確立した院は、人口が少ないエリアでも安定した経営が実現できる。


まとめ——大分で整骨院を経営するということ

大分の整骨院市場を一言で表すなら、「おんせん県の資産(温泉・観光・旅館)を整骨院の武器として使える、全国唯一の県」だ。

日本製鉄の製鉄所職人、APUの外国人留学生、湯布院の旅館スタッフ、関さばの漁師——これらは全て「院に来る習慣がない・院への来院経路を知らない」という理由で整骨院を使っていない潜在患者だ。

大分で勝つための3原則

① 「おんせん県の旅館業」を集患の柱にする
大分にしかない旅館産業の規模を活かし、別府・湯布院の旅館スタッフを法人契約で取り込む院が最も安定した収益構造を持てる。「旅館×整骨院の法人連携」は大分でしか成立しない規模のビジネスモデルだ。

② 別府APUの英語対応を今すぐ始める
英語問診票の作成・Instagram英語投稿は今日から始められる低コストの差別化だ。APU留学生の口コミ速度は日本人コミュニティの数倍速。今の別府市で「英語OK」の整骨院はほぼ存在しない。最初に始めた院が別府の多国籍患者層を独占する。

③ 由布市・佐伯市・豊後大野市のMEOを今すぐ取りに行く
競合密度最低水準のこれらのエリアは口コミ10〜50件で地域トップを取れる。人口減少が続く大分県でこのチャンスが長続きする保証はない。今動いた院が「大分の次世代繁盛院」になる。


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著者プロフィール

著者プロフィール:宮澤 駿
ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。

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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。

宮澤駿

この記事の監修者

宮澤 駿ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

株式会社船井総合研究所で12年間、整骨院・治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わり、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を掲げるピュアグロースにて、2026年ヘルスケア事業本部を立ち上げ。

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