COLUMN
2026.06.27|整骨院マーケットレポート
シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第22回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。
熊本県の競合密度は約26.9院/10万人。全国平均(40.7院)の約66%。全国でも最低水準の低競合市場だ。
しかし今の熊本は単なる「競合が少ない県」ではない。「全国最低水準の低競合市場に、半導体ブームが巨大な需要を注入し続けている」——このシリーズで分析してきた47都道府県の中で、最もダイナミックに変化している市場だ。
その最大の要因がTSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出だ。
2024年2月、菊陽町に「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)」が開所した。世界最先端の半導体製造拠点の熊本誘致は、製造業・建設業・サービス業に連鎖する経済効果を県北エリア全体に波及させている。製造業の求人急増に伴い県外・海外からの労働者が熊本市北部エリア(菊陽町・合志市・大津町)に集中し始め、台湾人技術者・家族の移住も加速している。
競合密度が全国最低水準のまま、患者数が増え続けるエリア——菊陽町・合志市は今、整骨院にとって全国で最もレアな市場になっている。
一方で熊本の農業需要も巨大だ。八代市はトマト全国1位・い草全国1位という「ダブル1位」の農業都市だ。トマト農家のハウス内での中腰作業・い草農家の刈り取り・乾燥作業による腰痛・肩こりは慢性的だが、農業従事者の「院に来ない文化」が需要を封じ込めている。
阿蘇の「あか牛(褐毛和種)」農家も見逃せない。世界最大のカルデラを持つ阿蘇の草原で牛を管理する農家は、草刈り・牛の管理・飼料配給の重労働で慢性的な腰痛を抱えている。
2016年の熊本地震の復興建設業は2030年代まで需要が続く見通しだ。TSMC第2工場建設(予定)も含め、建設業従事者の腰痛需要は長期で安定している。
熊本は「今が最もチャンスが大きい都道府県の一つ」だ。この市場を読んだ院が2030年代の熊本を制する。
| 指標 | 数値 | 備考 |
|------|------|------|
| 総人口 | 約175万人 | 全国23位(TSMC効果で一部エリア増加中)|
| 高齢者人口(65歳以上) | 約55万人 | 高齢化率約31% |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 約100万人 | 構成比約57% |
| 年少人口(0〜14歳) | 約20万人 | 構成比約11% |
熊本県全体の人口は緩やかに減少しているが、TSMC効果で菊陽町・合志市・大津町などの熊本市北部エリアが急成長している。これらのエリアは人口増加・住宅開発・商業施設出店が加速中だ。
主要都市別人口:
| 市町村 | 人口 | 特性 |
|--------|------|------|
| 熊本市 | 約74万人 | 政令指定都市・5区・熊本城・製造業・商業 |
| 八代市 | 約12万人 | トマト全国1位・い草全国1位・製紙・港湾 |
| 天草市 | 約8万人 | 離島漁業・世界遺産・観光・農業 |
| 菊陽町 | 約4.5万人 | TSMC(JASM)・半導体・急成長エリア |
| 合志市 | 約6.5万人 | 半導体・自動車部品・住宅地・成長エリア |
| 大津町 | 約3.8万人 | 本田技研(大津工場)・製造業・成長エリア |
| 玉名市 | 約7万人 | 農業(梨・デコポン)・温泉 |
| 菊池市 | 約5万人 | 農業(米・野菜)・製造業・温泉 |
| 阿蘇市 | 約2.5万人 | あか牛・観光(阿蘇山)・農業 |
| 南阿蘇村 | 約1万人 | 観光・農業・震災復興中 |
| 山鹿市 | 約5万人 | 灯籠まつり・農業・温泉 |
①半導体・製造業従事者(菊陽町・合志市・大津町・熊本市北区)
TSMC(JASM)・ソニーセミコンダクタ・ルネサスエレクトロニクス・三菱電機・本田技研が集積する熊本市北部エリアは、2024年以降に製造業従事者が急増している。クリーンルーム作業員・半導体製造オペレーター・設備保全担当者の腰痛・肩こり需要が急増中だ。
特筆すべきは台湾人技術者・家族の移住だ。JASMには多数の台湾人技術者が赴任しており、家族(配偶者・子ども)も熊本市北部に居住している。台湾語・繁体字中国語対応の整骨院は菊陽町・合志市で全国でも極めて希少な差別化になる。
②農業従事者(八代市・宇城市・玉名市・山鹿市)
熊本は農業産出額全国上位の農業大県だ。
| 農産物 | 全国順位 | 主要産地 |
|--------|---------|---------|
| トマト | 全国1位 | 八代市・熊本市南部 |
| い草 | 全国1位(全国シェア約99%)| 八代市・八代郡 |
| スイカ | 全国上位 | 熊本市周辺・玉名市 |
| デコポン | 全国1位 | 宇城市・天草市 |
| 晩白柚 | 全国生産 | 八代市(世界最大の柑橘類)|
| いちご | 全国上位 | 熊本市南部・山鹿市 |
| あか牛(褐毛和種)| 熊本特産 | 阿蘇市・南阿蘇村・菊池市 |
| 馬肉(馬刺し)| 全国1位の消費量 | 熊本市・阿蘇エリア |
農業従事者の腰痛・肩こりは全農業種に共通しているが、い草・トマトのハウス農業は特に中腰作業が多く発生率が高い。
③建設業従事者(熊本市・阿蘇エリア・TSMC関連工事)
2016年の熊本地震からの復旧・復興工事が続いており、建設業従事者の需要は長期で安定している。さらに菊陽町のJASM工場(TSMC第2工場予定含む)・関連インフラ整備(道路・住宅・商業施設)の建設工事が2030年代まで続く見通しだ。
④漁業従事者(天草市・不知火海・有明海)
天草諸島の漁業(タコ・タイ・カサゴ・アワビ)と有明海の漁業(有明海ノリ・ムツゴロウ・タコ)が基盤だ。離島・沿岸漁業の従事者の腰痛・肩痛需要がある。
| 指標 | 数値 |
|------|------|
| 施術所数(R4確定値) | 470院 |
| 推計年間市場規模 | 約564〜677億円 |
📌 第1章の急所
菊陽町の人口は2020年から急速に増加しており、2025〜2030年にかけてさらに増加が見込まれる。TSMC効果で流入する製造業従事者・建設業従事者の平均年齢は20〜40代と若く、スポーツ障害・急性外傷・産後骨盤ケアの需要も高い。「菊陽町で最初に口コミ100件を取った院」が、この急成長市場を10年以上にわたって独占できる。
| 指標 | 熊本県 | 全国平均 |
|------|--------|----------|
| 施術所数(R4確定値) | 470院 | 50,919院 |
| 競合密度 | 約26.9院/10万人 | 約40.7院/10万人 |
| 人口 | 約175万人(全国23位) | — |
全国平均の66%という低密度は、このシリーズでも最低水準グループに入る。熊本市でも全国平均をかなり下回る競合密度であり、農業・漁業・山間エリアは全国最低水準に近い。
| エリア | 推計競合密度 | 特性 |
|--------|-------------|------|
| 熊本市中央区 | 35〜50院/10万人 | 政令市中枢。全国平均以下 |
| 熊本市東区・北区(住宅地)| 25〜38院/10万人 | 住宅地。低〜中競合 |
| 菊陽町・合志市・大津町 | 15〜28院/10万人 | TSMC成長エリア。超低競合×急増需要 |
| 八代市 | 20〜32院/10万人 | 農業(トマト・い草)×製紙。低競合 |
| 玉名市・山鹿市 | 15〜25院/10万人 | 農業×温泉。低競合 |
| 阿蘇市・南阿蘇村 | 5〜15院/10万人 | あか牛×観光×震災復興。最低水準 |
| 天草市 | 5〜15院/10万人 | 離島漁業×観光。最低水準 |
| 球磨郡(人吉・球磨村)| 5〜15院/10万人 | 農業×温泉×2020年豪雨復興。最低水準 |
📌 第2章の急所
菊陽町・合志市・大津町の競合密度15〜28院/10万人は全国平均の半分以下だ。この3エリアで「製造業×半導体従事者専門」の整骨院を今開業すれば、人口増加と低競合の両方の恩恵を同時に享受できる。この「低競合×急増需要」の組み合わせは通常は存在しない。TSMCが作った例外的な市場だ。
熊本市(人口約74万人)は政令指定都市5区(中央・東・西・南・北区)で構成される。九州第三の政令市として熊本の医療・商業・行政の中枢だ。
| 区 | 人口(万人)| 特徴 | 競合の傾向 |
|----|-----------|------|-----------|
| 中央区 | 約18 | 熊本城・商業中心・行政 | 全国平均前後〜やや高め |
| 東区 | 約17 | 住宅地・製造業 | 中競合 |
| 北区 | 約12 | 菊陽町・合志市隣接・農業 | 低競合。TSMC波及エリア |
| 南区 | 約15 | 農業(トマト・い草近接)・住宅 | 低中競合 |
| 西区 | 約12 | 住宅・有明海近接 | 低中競合 |
菊陽町(人口約4.5万人)はJASM(TSMC熊本工場)の立地自治体だ。
| 急成長の要因 | 内容 |
|------------|------|
| JASM(TSMC熊本工場)第1期開所 | 2024年2月。従業員数1,700人以上(目標)|
| TSMC第2工場建設予定 | さらに数千人規模の雇用創出見込み |
| ソニーセミコンダクタ熊本工場 | 菊陽・大津に複数工場 |
| 関連サプライヤー進出 | 周辺自治体に半導体材料・装置メーカーが続々 |
| 住宅開発急増 | 県外・海外からの移住者向けマンション・戸建て建設ラッシュ |
台湾人技術者・家族の熊本移住:
JASMには台湾本社からの技術者が数百人規模で赴任しており、家族を伴う移住も増加している。台湾人コミュニティが菊陽町・合志市・熊本市中央区(インターナショナルスクール周辺)に形成されつつある。
📌 第3章の急所
菊陽町・合志市の新興住宅地は20〜40代の若いファミリー層が急増している。整骨院需要の中でも「産後骨盤ケア・子どものスポーツ障害・働き世代の腰痛」という若い層特有の需要が高い。熊本市中央区・東区でよく見られる「高齢者向け慢性疾患対応」の設計ではなく、「若いファミリー層向け」の設計がこのエリアでは正解だ。
半導体製造工場(クリーンルーム環境)の作業は一般的な製造業と異なる身体負担を持つ。
| 職種 | 主な身体負担 | 発生しやすい障害 |
|------|------------|----------------|
| クリーンルームオペレーター | 長時間の立ち仕事・防護服着用・制限された動作 | 腰痛・足底筋膜炎・肩こり |
| 設備保全担当 | 精密機器の搬入・据え付け・重機搬送 | 腰痛・肩こり・手首障害 |
| 品質管理担当 | 顕微鏡・精密検査での前傾姿勢・眼精疲労 | 頸肩腕症候群・腰痛 |
| 建設・設備工事 | TSMC工場建設・関連インフラ工事 | 腰痛・膝痛・転落リスク |
クリーンルームは防護服(バニースーツ)を着用しての作業のため、通常より体の動きが制限される。長時間の立ち仕事による足底への負担・腰椎への圧迫が特有の障害として現れる。
なぜ台湾語・繁体字対応が差別化になるか
台湾では「復健(フホーチエン)」(リハビリ)・「中医(チョンイー)」(中医学)・「整骨院」に相当する「整骨(チェンコウ)」という概念が存在する。台湾人は体のケアへの意識が高く、整骨院という施術形式へのハードルは他の外国人より低い。
しかし言語の壁(日本語が分からない)が来院を阻んでいる。繁体字中国語の問診票・院内表示があるだけで台湾人の来院障壁が大幅に下がる。
台湾人向け整骨院設計:
繁体字中国語問診票(哪裏不舒服?痛了多久?)
InstagramとFacebookへの繁体字中国語投稿
Google Business Profileの中国語(繁体字)説明文・投稿
台湾人コミュニティのLINEグループ・Facebook グループへの案内
台湾のLINEグループ活用:
台湾人はLINEを多用する(台湾でもLINEが最大のメッセージアプリだ)。菊陽町・合志市の台湾人コミュニティのLINEグループに院の情報が流れれば、口コミが台湾人コミュニティ内で一気に広がる。
📌 第4章の急所
台湾人技術者の家族(特に配偶者)は熊本で日本語学習中のことが多く、孤立感・ストレスからの腰痛・肩こりが出やすい。「整骨院での施術中の繁体字中国語でのコミュニケーション」は単なる施術以上の「心理的な安心感」を提供できる。台湾人患者にとって「台湾語で話せる院」は整骨院を超えた「コミュニティの居場所」になりえる。これが台湾人口コミの驚異的な速さの背景だ。
八代市は「トマト全国1位・い草全国1位」というダブル1位を誇る農業都市だ。
トマト農業(全国1位):
ビニールハウス内での栽培が中心。ハウスの温度管理・施肥・誘引(茎をひも等で誘導する作業)・収穫が主な作業だ。
ハウス内は高温・多湿(夏は40℃超)
中腰での長時間の誘引・収穫作業
大量の収穫物の搬出(重量物の反復運搬)
い草農業(全国シェア約99%):
い草の刈り取り・乾燥・加工(畳表製造)が主な工程だ。
刈り取り機のオペレーション(振動・前傾姿勢)
乾燥・束ね作業(前傾・中腰での繰り返し動作)
畳表織り(長時間の同一姿勢・手首・肩の酷使)
い草農業の農繁期は5〜7月(刈り取りシーズン)に集中する。
①「トマト・い草農家専門」の明確な訴求
八代市のGoogleビジネスプロフィール・HPに「トマト農家・い草農家の腰痛・肩こりに特化した施術」という記載を入れる。「自分のための院だ」という認識が農家の来院障壁を下げる。
②農閑期(8〜11月)に集中した集客投下
い草は7月まで・トマトは冬春作(11月〜翌6月)という農業カレンダーに合わせて、農閑期突入直後にLINE・チラシを投下する。「今年も農作業お疲れ様でした。腰のリセットはいまのうちに」という訴求が農家の来院タイミングと合致する。
③JA熊本果実連・JA熊本よつば(八代地区)との連携
農協の部会・安全研修での腰痛予防セミナー登壇が最速の接触経路だ。JA職員経由の紹介患者は信頼度が高く継続率も高い。
📌 第5章の急所
い草農業の従事者は「畳表織り」という作業で手首・肘の慢性障害(手根管症候群・上腕骨外側上顆炎)が多い。整骨院が「い草農家の手首専門メニュー」を持っている院は八代市内でほぼ存在しない。「い草農家の手首を診る院」というポジションは八代市でしか使えない差別化だ。
阿蘇の草原(世界最大のカルデラ)で放牧されるあか牛(熊本県の特産品ブランド和牛)は熊本の農業の誇りだ。
あか牛農家の作業と身体負担:
草刈り:広大な牧場の草刈り。草刈り機の振動・腰への負担
牛の管理・治療:牛体の保定・給餌・健康チェックでの重労働
糞尿処理:牛舎の清掃・糞尿搬出の重量物作業
出荷作業:大型トラックへの積み込み
これらを毎日繰り返す阿蘇の畜産農家は腰・膝・肩の慢性障害を抱えている。しかし阿蘇エリアの競合密度は5〜15院/10万人と全国最低水準——ほぼ整骨院が存在しない世界だ。
阿蘇(阿蘇市・南阿蘇村・小国町)は年間100万人以上が訪れる全国有数の観光地だ。
旅館・ホテルスタッフ:黒川温泉・杖立温泉・阿蘇温泉の旅館従業員の腰痛需要
外国人観光客:台湾・韓国・中国からの観光客(英語・中国語対応が差別化になる)
アウトドア活動:ハイキング・乗馬・サイクリング利用者のスポーツ障害
2016年熊本地震(特に阿蘇・南阿蘇エリアが甚大な被害)と2020年7月豪雨(球磨村・人吉市が特に深刻)からの復旧・復興工事が続いている。建設業従事者の腰痛・肩痛需要は2030年代まで安定して続く見通しだ。
📌 第6章の急所
黒川温泉(小国町)は「全国で最も成功した温泉地再生モデル」として有名な全国屈指のブランド温泉地だ。温泉旅館スタッフの腰痛需要に加え、九州全域・全国から訪れる宿泊客の「温泉×整骨院」という組み合わせ需要が存在する。黒川温泉周辺の整骨院は競合がほぼゼロで、「温泉旅館との連携(宿泊客への整骨院紹介)」が成立すれば全国からの集客が実現する。
天草市(天草諸島)は熊本県の離島漁業の中心地だ。
| 魚種 | 特性 |
|------|------|
| タコ | 天草灘の素潜り・延縄漁 |
| タイ(真鯛・チダイ)| 天草の定置網・一本釣り |
| アワビ・ウニ | 素潜り漁業の重労働 |
| カサゴ・メバル | 岩礁の刺し網漁業 |
| 天草大陶磁器展覧会 | 観光×陶芸(陶磁器産地・天草陶石)|
天草の漁業従事者は船上・素潜りの重労働で腰・肩・膝の慢性障害を抱えているが、離島の性質上、整骨院へのアクセスが困難だ。天草市本土部(本渡地区)の整骨院が「天草の漁師の体を診る院」として認知されれば、離島から本土に出てきた際の来院を取り込める。
熊本地震(2016年)・7月豪雨(2020年)・TSMC関連工事の三重の建設需要が熊本の建設業従事者を支えている。
| 需要源 | 工事期間(見込み)| 主要エリア |
|--------|----------------|-----------|
| 熊本地震復旧・復興 | 〜2030年代 | 阿蘇・南阿蘇・熊本市・宇土 |
| 7月豪雨復旧・復興 | 〜2030年代 | 球磨村・人吉市・芦北町 |
| TSMC関連工事 | 2030年代まで | 菊陽町・合志市・大津町 |
| 九州新幹線延伸工事 | 継続 | 熊本市〜長崎方面 |
建設業従事者の腰痛・膝痛・肩痛は全国共通の需要だが、熊本は「複数の大型工事が長期で重なる」という特殊な状況だ。
📌 第7章の急所
球磨村・人吉市は2020年7月豪雨で甚大な被害を受け、今も復旧・復興工事が続いている。このエリアは競合密度が5〜15院/10万人という超低競合市場だ。人吉市周辺に「建設業従事者専門・復興工事作業員の腰痛ケア」を掲げた院を開業すれば、長期的な建設需要を背景に安定した集患が見込める。行政の移住支援制度(人吉市・球磨村は移住支援が充実)の活用も選択肢だ。
| エリア | 地域1位に必要な口コミ数(推計)| 優先度 |
|--------|-------------------------------|------|
| 熊本市中央区 | 120〜200件 | 競合が集中 |
| 熊本市東区・北区 | 80〜130件 | 中期目標 |
| 菊陽町・合志市 | 40〜80件 | 今すぐ取れる |
| 八代市 | 50〜90件 | 短期で達成可能 |
| 阿蘇市・南阿蘇村 | 10〜25件 | 即独占可能 |
| 天草市 | 10〜25件 | 即独占可能 |
| 人吉市・球磨村 | 10〜20件 | 即独占可能 |
| 月 | 配信テーマ |
|----|-----------|
| 5〜7月 | 「い草刈り取りシーズン。腰が限界になる前にご来院を(八代農家向け)」|
| 7〜9月 | 「復興工事の夏。建設業の方の腰痛は当日OK」|
| 10月末 | 「農作業シーズン終了。トマト農家の腰リセットはいまのうちに」|
| 12〜2月 | 「TSMC関連工事の繁忙期。深夜明け・シフト明けの腰痛はすぐ来院を」|
FacebookとInstagramへの繁体字中国語投稿(每週1〜2回)
台湾人コミュニティのLINEグループへの案内(「有台灣人在整骨院嗎?」という内容で認知を広げる)
Google Business Profileの中国語(繁体字)説明文
JA熊本よつば(八代地区)への農業腰痛セミナー提案
熊本県建設業協会・熊本県建設労働組合への「建設業腰痛ケアプログラム」提案
天草市漁業協同組合への「漁業従事者腰痛予防セミナー」提案
📌 第8章の急所
熊本の集客で最も投資対効果が高いのは「菊陽・合志のMEO先行整備」と「繁体字中国語SNS発信」の2つだ。いずれも今すぐ始められ、競合がほぼいない状態で先行優位を確保できる。この2つを同時に始めた院が、TSMC効果の恩恵を最も大きく受ける院になる。
ターゲット:菊陽町・合志市・大津町のJASM・ソニーセミコンダクタ・製造業従事者(20〜40代)+台湾人技術者・家族
武器:MEO口コミ先行集積×繁体字中国語問診票×「半導体従事者専門」訴求×産後骨盤(ファミリー層)
月商目標:180〜250万円(2026〜2030年にかけて増加見込み)
注意点:競合の参入が今後急増する。早ければ早いほど先行優位が大きくなる
ターゲット:八代市のトマト農家・い草農家・い草畳表職人(40〜60代)
武器:「農業専門」訴求×農閑期集中集客×JA連携×「い草農家の手首専門」メニュー
月商目標:130〜170万円
注意点:農繁期(5〜7月・11〜6月)は農家の来院が減る。建設業・製紙(日本製紙八代工場)の製造業従事者で農繁期をカバーする設計が必要
ターゲット:熊本市北区の30〜40代住民(菊陽・合志からの転入ファミリー含む)+製造業従事者
武器:MEO口コミ集積×産後骨盤コース×スポーツ障害対応×担当制
月商目標:190〜240万円
注意点:北区は菊陽・合志の成長エリアへの「ベッドタウン」的な役割も持つ。若いファミリー層の需要設計が熊本市内では最もROIが高い
ターゲット:阿蘇市・小国町のあか牛農家(40〜60代)+黒川温泉旅館スタッフ+観光客
武器:「あか牛農家の腰専門」訴求×黒川温泉旅館との連携(宿泊客紹介)×MEO即独占
月商目標:100〜140万円(観光ピーク期は150万円超)
注意点:阿蘇エリアは人口が少ないため患者数の上限が低い。温泉旅館との連携による観光客需要を重要な収益柱として設計する
ターゲット:天草市(本渡地区)の漁業従事者・離島からの来島患者
武器:「天草の漁師・漁業従事者専門」訴求×漁協連携×MEO即独占
月商目標:90〜120万円
注意点:天草は人口が少なく減少傾向が続いている。「離島から本土に来た時に行く院」としての認知と、観光業(天草五橋・世界遺産巡礼)従事者需要の取り込みが長期安定の鍵
📌 第9章の急所
パターン①(菊陽・合志・TSMC特化)は2025〜2030年にかけて熊本で最も成長する市場だ。TSMC第2工場の稼働・関連サプライヤーの進出が続く間、このエリアの製造業従事者数は増え続ける。今開業してMEOと繁体字SNSで先行した院は、競合が増える2027〜2028年に「すでに地域一番院のポジションを確立した院」として参入障壁を持てる。半導体ブームの波に最初に乗った院が熊本北部を制する。
熊本の整骨院市場を一言で表すなら、「全国最低水準の競合密度に、半導体ブームが需要の爆発を起こしている——今最も変化の速い都道府県だ」。
TSMC(菊陽町)・トマト農家(八代市)・あか牛農家(阿蘇)・復興建設業(阿蘇・球磨)・天草漁業——これらは全て熊本固有の需要源だ。しかも竸合密度27院という全国最低水準の市場でこれらの需要が眠っている。
熊本で勝つための3原則
① 菊陽・合志のMEOを今すぐ整備する
半導体ブームで急増する患者需要に競合の参入が追いつく前に、菊陽町・合志市でMEO口コミを積み上げた院が長期間の地域一番院になれる。このチャンスは2027〜2028年あたりに競合参入で縮小し始める可能性が高い。今が最後のブルーオーシャンだ。
② 台湾人技術者・家族を「最初に取りに行く院」になる
繁体字中国語の問診票・SNS発信は今日から始められる。この投資をしている整骨院は熊本に現時点でほぼ存在しない。「台湾人コミュニティで有名な院」になれれば、台湾人の口コミ速度(LINEグループで一夜にして10人来院)という他言語では得られない集患効果を手にできる。
③ 農業・漁業・建設業の「産業名を冠した訴求」を今すぐ入れる
「い草農家の手首専門」「トマト農家の腰専門」「あか牛農家の腰専門」「復興建設業の腰専門」——これらのキャッチコピーは今の熊本の整骨院のどこも使っていない。最初に使った院が「自分のための院」として産業従事者の来院動機を作れる。
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著者プロフィール:宮澤 駿
ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長
大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。
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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。