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COLUMN

【47都道府県 整骨院マーケットレポート⑩】埼玉県の整骨院市場分析/全国平均どおりの競合密度41院——「普通の市場」でどう突き抜けるか

2026.06.07|整骨院マーケットレポート

シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第10回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。


はじめに:埼玉は「普通」が一番難しい

埼玉県の競合密度は約41.3院/10万人。全国平均の40.7院とほぼ同じだ。

「普通」に見えるこの数字は、実は戦略設計が最も難しい状況を示している。

競合密度が高すぎる大阪(69院)なら「徹底した差別化しかない」と誰でも気づく。競合密度が低すぎる渥美半島(10〜20院)なら「地域唯一院を目指せばいい」と方針が立つ。

しかし「全国平均と同じ」という状況では、「差別化すべきか・していなくても何とかなるか」という判断が曖昧になりやすい。「まだ何とかなっているから変えない」という思考が院の成長を止める。

加えて埼玉には独特の構造問題がある。東京への通勤者が全国最多水準(推計120万人超)に達しており、症状の重い患者や専門院を求める患者が「東京の院に行く」という選択をしやすい。埼玉の院は「隣の東京に患者を流出させない専門性」を持てるかどうかが問われる市場だ。

「普通の市場」で突き抜けるための地図を、このレポートで示す。


第1章:埼玉県の人口構造と市場規模

1-1. 基本人口データ

 指標 | 数値 | 備考 
 総人口 | 約734万人 | 全国5位 
 高齢者人口(65歳以上) | 約196万人 | 高齢化率26.7% 
 生産年齢人口(15〜64歳) | 約460万人 | 構成比62.7% 
 年少人口(0〜14歳) | 約78万人 | 構成比10.6% 

高齢化率26.7%は全国平均(28.6%)を下回る。東京への通勤者が多く居住する構造上、生産年齢人口の比率が高く保たれている。現役世代向けの施術需要が整骨院経営の主軸になる市場だ。

主要都市別人口:

 市 | 人口 | 特性 
 さいたま市 | 約135万人 | 政令市・ビジネス・浦和・大宮 
 川口市 | 約60万人 | 東京隣接・鋳物工業・多文化 
 越谷市 | 約35万人 | 東武線・ベッドタウン 
 川越市 | 約35万人 | 小江戸観光・西部中核 
 所沢市 | 約34万人 | 西武・航空宇宙・ライオンズ 
 草加市 | 約25万人 | 東京隣接・製造業 
 熊谷市 | 約19万人 | 北部中核・農業・暑さの街 
 深谷市 | 約14万人 | 農業王国・渋沢栄一の故郷 
 秩父市 | 約6万人 | 山間観光・高齢化 

1-2. 生産年齢人口の需要構造

埼玉の生産年齢人口約460万人は日本最大規模の「東京通勤者集団」を含む。この層への戦略設計が埼玉の整骨院経営の核心だ。

①東京通勤者(南部・さいたま市・東武・西武沿線)
推計120万人超の東京通勤者が埼玉に居住する。JR京浜東北線・埼京線・東武東上線・西武池袋線・東武伊勢崎線——多数の路線が東京との動線をつくる。帰宅途中の施術需要は厚く、「夜間対応・駅近・当日予約可」の設計が刺さる。

②製造業従事者(川口・草加・鳩ヶ谷・熊谷)
川口市は「鋳物の街」として全国に知られ、金属加工・製造業の中小企業が密集する。草加市にも製造業が多い。熊谷市には建設業・農業機械関連の工場がある。製造業従事者の腰痛・肩こり・手首疾患需要は安定している。

③農業従事者(深谷・熊谷・行田・鴻巣)
深谷市は「深谷ネギ」で全国的に有名な農業都市。熊谷・行田・鴻巣にも農業地帯が広がる。農業従事者の腰痛需要は年間を通して根強く、競合が少ないエリアも多い。

④スポーツ人口(さいたま・所沢・川越)
浦和レッズ(Jリーグ)・埼玉西武ライオンズ(プロ野球)という二大スポーツチームのホームタウンを抱え、アマチュアスポーツ人口は全国でも有数の規模だ。さいたまクリテリウム(自転車)・さいたま国際マラソン(参加者約1万人)等のイベントもある。

1-3. 市場規模推計

 指標 | 数値 
 施術所数(R4確定値) | 3,030院 
 推計年間市場規模 | 約3,636〜4,363億円 

施術所3,030院は全国でも上位(神奈川2,846院・千葉2,240院を上回る)。埼玉は「全国の中でも整骨院が多い県」だということを認識した上で戦略を立てる必要がある。


📌 第1章の急所
埼玉は東京通勤者120万人超という日本最大規模の「帰宅動線需要」を持つ。一方で熊谷・深谷の農業地帯、川口の製造業、所沢のスポーツ人口という独自需要も存在する。「埼玉=東京通勤者だけ」と見るのは市場の半分しか見ていない。


第2章:施術所数・競合密度の実態

2-1. 埼玉県の競合密度

 指標 | 埼玉県 | 全国平均 
 施術所数(R4確定値) | 3,030院 | 50,919院 
 競合密度 | 約41.3院/10万人 | 約40.7院/10万人 
 人口 | 約734万人(全国5位) | — 

全国平均(40.7院)とほぼ同水準の41.3院/10万人。「普通の競合環境」に見えるが、エリアによって密度差が大きい。

2-2. エリア別競合密度(推計)

 エリア | 推計競合密度 | 特性 
 川口市・草加市(東京隣接南部) | 55〜70院/10万人 | 大阪並みの激戦・多文化 
 さいたま市中心部(浦和・大宮) | 50〜65院/10万人 | 政令市中核・高競合 
 東武東上線沿線(朝霞・志木・新座) | 45〜55院/10万人 | 東京通勤ベッドタウン 
 越谷市・春日部市 | 40〜50院/10万人 | 安定ベッドタウン 
 所沢市・入間市・飯能市 | 35〜45院/10万人 | 西武沿線・スポーツ 
 川越市 | 35〜45院/10万人 | 観光×住宅混在 
 熊谷市・深谷市 | 25〜35院/10万人 | 農業×製造業・中程度 
 行田市・羽生市 | 20〜30院/10万人 | 農業・低競合 
 秩父市・小鹿野町 | 10〜20院/10万人 | 山間・最低競合 

川口・草加エリアは大阪水準の激戦地帯。秩父は全国でも最低水準の低競合地帯。同じ「埼玉」でも競合密度が5〜7倍異なる。

2-3. 「東京への患者流出」という埼玉固有の問題

埼玉で整骨院を経営していると「症状が重くなったら東京の専門院に行く」と言って離患する患者を経験することがある。これは埼玉特有の「東京流出問題」だ。

東京には有名な専門院・カリスマ施術者が多く、「難しい症状は東京の先生に」という患者心理が働きやすい。

これを防ぐ手段は一つだ——「埼玉でこのジャンルといえばここ」という専門性を確立することだ。特定の症状や患者層でのポジションを確立した院は、患者が東京に「わざわざ行く理由」を消せる。


📌 第2章の急所
埼玉の最大の競合は「隣の東京」だ。症状が重い・専門院を求める患者が東京に流出するのを防ぐには「この症状はここに来れば解決できる」という専門性のブランドを地域で作ることが必要。


第3章:エリア別市場分析

3-1. 川口市・草加市エリア(東京隣接南部)

埼玉で最も競合が激しいエリア

東京都荒川区・足立区と隣接する川口市・草加市は、埼玉県内で競合密度が最も高いエリアだ(推計55〜70院/10万人)。大阪並みの激戦区と言っていい。

川口市の独自需要:多文化×鋳物製造業
川口市は外国人居住者数が全国でもトップクラス(中国籍・韓国籍が多い)。多言語対応の整骨院には特需がある。また「鋳物の街」として金属加工・製造業の中小企業が密集しており、工場労働者の腰痛・肩こり・手首疾患需要は根強い。

「川口で外国人患者対応が可能な整骨院」は現状ほとんどない。中国語・韓国語対応ができれば、競合密度が高い中でも独自ポジションを取れる。

草加市:松尾芭蕉×製造業
草加市も製造業が多く(プラスチック・金属加工)、東京隣接のベッドタウン需要と製造業需要が共存する。草加せんべいで知られる「地元らしさ」を活かした地域密着型院の設計も有効だ。

3-2. さいたま市エリア

浦和・大宮・与野の三核構造

さいたま市は浦和・大宮・与野・岩槻などが合併した政令指定都市。区によって特性が全く異なる。

大宮区(ターミナル型)
東日本の新幹線が集まる大宮駅は東京・仙台・新潟・長野へのアクセス拠点。1日乗降客数は約50万人と埼玉最大。ビジネスパーソンの通過・居住が多く、帰宅動線上の整骨院需要が厚い。

浦和区(高所得ファミリー型)
浦和は「教育県・埼玉」を象徴するエリアで、進学校・塾が集中し、教育意識・健康意識の高い高所得ファミリーが多い。産後骨盤矯正・スポーツ障害(浦和レッズのホームでサッカー人口が多い)の需要が厚く、自費化がしやすい。

さいたま新都心(ビジネス型)
政府系機関・大企業オフィスが集積するさいたま新都心は、ビジネスパーソンの施術需要が高い。JR京浜東北線・宇都宮線でのアクセス利便性もあり、帰宅途中の利用が期待できる。

3-3. 所沢・入間・飯能エリア(西武沿線)

スポーツ×自然×ファミリー

西武池袋線・西武新宿線沿線のこのエリアは、都市的利便性と自然環境を両立したファミリー層が多い。

所沢市はベルーナドーム(埼玉西武ライオンズの本拠地)を擁し、野球ファン・アマチュア野球人口が多い。入間市・飯能市は狭山丘陵・奥武蔵の自然に隣接し、ハイキング・トレイルラン人口が増加している。

スポーツコンディショニング特化院が最も機能しやすいエリアの一つだ。

3-4. 熊谷・深谷・行田エリア(北部農業地帯)

戦略的急所①——農業需要×中程度競合

深谷市は深谷ネギ・ブロッコリーの全国有数の産地。熊谷市は農業に加え建設業・製造業も多い。行田市は「足袋の街」として知られ、小規模製造業が点在する。

競合密度は25〜35院/10万人と全国平均を下回り、農業従事者の腰痛需要が慢性的に存在する割に対応する院が少ない。「深谷ネギ農家の腰を守る整骨院」というポジションは、埼玉北部での強力な差別化になる。

特記事項として、熊谷市は夏の最高気温が全国最高水準に達することで知られる(「熊谷の暑さ」は全国区の知名度)。熱中症予防・夏場の農業従事者ケアという季節限定の訴求も有効だ。

3-5. 秩父エリア

戦略的急所②——観光×山間×低競合

秩父市・長瀞・小鹿野町などの秩父エリアは競合密度10〜20院/10万人と埼玉県内最低水準だ。

高齢化が進む山間地域でありながら、近年は「秩父観光」「長瀞ラフティング」「秩父夜祭」など観光客が増加している。都市部からの移住者も増え、「秩父で地域に根ざした院を作りたい」という院主にとって最もポジションが取りやすいエリアだ。

トレイルランニング・ロードバイクの聖地としても知られ、スポーツコンディショニング需要も生まれている。


📌 第3章の急所
埼玉の戦略的急所は「深谷・熊谷の農業腰痛(低競合×農業需要)」と「秩父(最低競合×観光×移住者)」。川口・さいたま市の激戦区で戦う場合は「外国人対応」「スポーツ特化」「高単価完全自費」のどれかで圧倒的な1軸を持つこと。


第4章:高齢者需要の分析

4-1. 埼玉県の高齢者市場

 指標 | 数値 
 高齢者人口 | 約196万人 
 高齢化率 | 約26.7%(全国平均より低い) 
 前期高齢者(65〜74歳) | 約95万人 
 後期高齢者(75歳以上) | 約101万人

高齢化率は全国平均より低いが、絶対数196万人は大きい。特に秩父・北部農業地帯は高齢化が進行しており、高齢者需要が市場の主役になるエリアもある。

4-2. ニュータウン高齢化という問題

埼玉北部(上尾・桶川・北本)や西武線沿線の一部には、1970〜80年代に開発された住宅団地がある。入居当初の「若いファミリー」が同時に高齢化しており、「ニュータウンの高齢化」が進むエリアでは整骨院需要が変化している。

「かつて若いファミリーだったが、今は70代のシニア夫婦だけが住んでいる団地」では、通院手段の確保が課題になる。送迎サービスや訪問相談を組み合わせた院の設計が、このエリアでは差別化として機能する。

4-3. 浦和・大宮の「アクティブシニア」需要

さいたま市の高齢者は比較的健康意識が高く、スポーツ・ウォーキング・ゴルフを楽しむアクティブシニアが多い。スポーツ障害(膝痛・腰痛)とコンディショニングの需要は自費化しやすく、単価を高く設定できる層だ。


📌 第4章の急所
埼玉の高齢者需要は「アクティブシニア(さいたま・浦和:自費化可能)」と「農業・団地高齢者(北部・秩父:安定通院型)」の2タイプ。エリアごとに高齢者の性格が異なるため、同じアプローチは通じない。


第5章:生産年齢人口(現役世代)需要の分析

5-1. 埼玉の現役世代3大ターゲット

ターゲット①:東京通勤者(全県的・路線別に多様)

推計120万人超という日本最多水準の東京通勤者が埼玉に居住する。路線ごとに帰宅拠点(乗降駅)が異なるため、ターゲット駅の選定が重要だ。

路線別の主要帰宅拠点

 路線 | 主要拠点駅 | 特性 
 JR京浜東北線 | 浦和・北浦和・大宮 | ビジネスパーソン集中 
 JR埼京線 | 南浦和・武蔵浦和・大宮 | 通勤者が多い 
 東武東上線 | 成増→池袋方面 | ファミリー層多い 
 西武池袋線 | 所沢・入間・飯能 | スポーツ×自然系 
 東武伊勢崎線 | 草加・越谷・春日部 | ベッドタウン中心 

駅周辺に院を構える場合、その駅の「どんな人が乗り降りするか」まで分析して立地を選ぶ。大宮・浦和はビジネスパーソン、飯能・秩父方面はファミリー・アウトドア系というように、路線・駅ごとに客層が違う。

ターゲット②:川口・草加の製造業従事者+外国人労働者

川口市・草加市は全国有数の「多文化共生都市」だ。川口市の外国人居住者は約3万人(市人口の約5%)。中国籍・韓国籍・ベトナム籍が多く、製造業の現場で働く外国人が多い。

多言語対応院の価値
外国人労働者は「言葉の壁」から医療機関への受診が遅れやすい。中国語・韓国語・ベトナム語での対応ができる整骨院は、川口・草加エリアでほぼ競合がいないポジションだ。Google翻訳の活用と、施術メニュー・料金表の多言語化から始めるだけで大きな差別化になる。

ターゲット③:スポーツ人口(さいたま・所沢・川越)

浦和レッズ・埼玉西武ライオンズという二大プロスポーツチームのホームタウンを持つ埼玉は、アマチュアスポーツ人口が全国有数だ。

特にサッカーは浦和・大宮・越谷を中心に少年団・社会人チームが多い。野球も西武線沿線(所沢・飯能)に草野球チームが多数ある。

「浦和レッズサポーターが通う整骨院」「埼玉スタジアム周辺のスポーツ障害専門院」という地域性×スポーツ特化の打ち出しは、爆発力はないが安定した患者獲得につながる。

5-2. 「高齢者で安定、現役世代で成長」の二層設計

 エリア | 安定層 | 成長層 
 川口・草加 | 地域高齢者 | 製造業・外国人労働者 
 さいたま市 | アクティブシニア | 通勤者・スポーツ 
 所沢・入間 | ファミリー高齢者 | スポーツ人口
 熊谷・深谷 | 農業高齢者 | 農業現役世代 
 秩父 | 山間高齢者 | 移住者・観光客 


📌 第5章の急所
埼玉の現役世代需要で最も「空白」が残っているのは「川口・草加の外国人労働者対応(多言語)」と「深谷・熊谷の農業腰痛特化」。東京通勤者需要は競合が多いが、帰宅動線の設計をしっかり作れば取れる層でもある。


第6章:競合環境と差別化

6-1. 埼玉の競合院タイプ

 タイプ | 比率(体感) | 特徴 
 ①保険中心・地域固定型 | 約45% | 全県に分布・「まだ何とかなっている」院 
 ②通勤者向け駅近広告型 | 約25% | さいたま・川口・越谷の主要駅周辺 
 ③産後・スポーツ特化型 | 約15% | さいたま・所沢・川越のファミリーエリア 
 ④高単価自費転換型 | 約10% | 浦和・大宮・新座周辺 
 ⑤農業・地域密着型 | 約5% | 熊谷・深谷・秩父の少数の古参院 

6-2. 「普通の競合環境」で差別化する3軸

全国平均という「普通の競合環境」では、差別化の緊急性を感じにくい。しかしこれが最大の罠だ。「普通の競合環境」で「普通の院」をやっていると、数年後に気づいたときには取り返せない差がついている。

軸①:東京通勤者への「帰宅動線×夜間対応」設計
大宮・浦和・川口・越谷の主要駅周辺での「夜21時対応・当日予約可」。この設計をしている院は思ったより少ない。「夜が早い院」「予約が取りにくい院」は通勤者に選ばれない。

軸②:外国人対応(川口・草加)
中国語・韓国語・ベトナム語対応。Google翻訳+多言語メニュー表だけでも始められる。「外国人が来やすい院」は川口で強い差別化になる。

軸③:農業・地域特化(深谷・熊谷・秩父)
「深谷ネギ農家の腰痛専門院」「秩父の地域に根ざした整骨院」。競合が少ないエリアで専門性を打ち出せば、地域の口コミで確実に広がる。


📌 第6章の急所
「全国平均の競合密度だから様子見しよう」が一番危険な判断だ。今動いた院と動かなかった院の差は、3〜5年後に逆転不可能な格差になる。差別化の1軸を今月決めて、今月から動き始めることが全て。


第7章:集客チャネルの現実

7-1. 埼玉の集客チャネル優先順位

 チャネル | 優先度 | 対象エリア 
 Googleマップ(MEO) | ★★★★★ | 全エリア共通 
 口コミ紹介設計 | ★★★★★ | 全エリア共通 
 夜間帯予約枠の確保 | ★★★★★ | 通勤者エリア(さいたま・川口・越谷) 
 SNS(Instagram) | ★★★★☆ | ファミリー・スポーツエリア 
 地域コミュニティ参加 | ★★★★☆ | 熊谷・深谷・秩父 
 多言語対応(川口) | ★★★★☆ | 川口・草加(外国人多いエリア)|
 ポスティング | ★★★☆☆ | 秩父・北部低競合エリア 

7-2. 帰宅動線集客の設計(埼玉版)

東京通勤者の帰宅行動を分解すると:

「東京のオフィスを退勤→電車に乗る→埼玉の自宅最寄り駅に着く→改札を出る→帰宅」

整骨院が「この動線に入れる場所」に立地していれば、疲弊した通勤者の「今日もしんどい→帰りに寄ろうか」という行動を取り込める。

埼玉の通勤者集客でやるべき設定

① Googleビジネスプロフィールに「夜21時まで」「当日予約可」を必ず明記する
② ホームページ・LINEで「今日の空き状況」をリアルタイム発信する
③ 「帰宅ついでに30分コース(3,500〜5,000円)」というメニュー名で訴求する
④ 「水曜も休まず営業(定休日なし)」または「週6営業」で、帰宅日がいつでも対応できる体制を作る

週6営業・夜21時対応だけで、競合院の大半から差別化できる。設備投資はゼロだ。

7-3. 川口・草加の多言語集客

川口市での外国人患者獲得に向けた具体的な手順:

① Googleマップの施設説明を日本語・中国語・韓国語で記載する
② 院内に「Chinese OK / 한국어 OK / Vietnamese OK」の貼り紙を設置する
③ 料金表・施術メニューを中国語・韓国語に翻訳してラミネート掲示する(翻訳はDeepLで無料でできる)
④ 川口市の国際交流協会・多文化共生センターに院の情報を登録する

費用:印刷代のみ(3,000〜5,000円)
期待効果:月3〜10名の外国人患者(自費施術・口コミ拡散力が高い)

外国人患者は「良かった」と感じたらSNS(Wechat・Kakao・LINE)でコミュニティ内に即時拡散する文化がある。1人が通院し始めると同国籍のコミュニティから連鎖的に来院するパターンが起きやすい。

7-4. 深谷・秩父の地域密着集客

農業地帯・山間部での集客は「地域の顔として認知されること」に尽きる。

実践手順
① 深谷市・熊谷市の農協(JAくまがやなど)への挨拶と施設情報の掲示依頼
② 地域の祭り・イベント(深谷まつり・秩父夜祭関連)への参加・出展
③ 地域の老人クラブ・農業女性グループへの「腰痛予防講座(無料)」の提案
④ 秩父エリアなら観光協会・温泉旅館との「観光客向け施術紹介」の協定


📌 第7章の急所
埼玉の集客はエリアによって最適チャネルが異なる。通勤者エリアは「夜間対応×MEO」、川口・草加は「多言語対応」、深谷・秩父は「地域コミュニティ参加」。どのエリアでも共通して「MEO強化と口コミ設計」を先にやること。


第8章:埼玉県の勝ちパターン5選

パターン①:大宮・浦和 帰宅動線完全特化型

対象エリア:さいたま市大宮区・浦和区・南区(主要駅徒歩3分以内)
主要ターゲット:30〜50代の東京通勤者(オフィスワーカー)

コンセプト
「大宮・浦和の帰り道にある整骨院。夜21時まで・当日予約OK・30分から」。

集客設計
① Googleマップに「夜21時対応・当日予約可・駅徒歩2分」を全面に出す
② LINE公式アカウントで「今日の空き枠」を毎日18〜20時に発信する
③ 「30分帰宅コース(4,000円)」「45分リセットコース(6,000円)」などの時間別メニューを設定する
④ 施術後に口コミ依頼カードを渡し、3か月でGoogleマップ口コミ30件超を目指す
⑤ 初診患者に「職場同僚への紹介カード」を渡す(1枚につき次回500円引き)

目標数値(6か月後)

  • 月間新患:20〜30名

  • 月間売上:80〜100万円(自費比率60%以上)


パターン②:川口 外国人対応×製造業BtoB型

対象エリア:川口市・草加市
主要ターゲット:外国人労働者(中国籍・韓国籍)・製造業従事者

コンセプト
「川口で働く、すべての人の腰・肩・膝を診る整骨院。中国語・韓国語OK」。

集客設計
① Googleマップ説明文を日・中・韓3言語で記載し、外国語口コミへの返信を徹底する
② 中国語・韓国語の施術メニュー表・料金表を院内掲示する
③ 川口市内の製造業中小企業(鋳物工場・金属加工)に「腰痛予防セミナー無料実施」を提案する
④ WeChat・Kakao等で「川口整骨院」グループへの情報提供を行う

外国人対応と製造業BtoBを組み合わせることで、川口エリア内で他の院がやっていない複合ポジションを確立できる。


パターン③:浦和・さいたま スポーツ×レッズファン特化型

対象エリア:さいたま市(浦和・武蔵浦和・南浦和)・川口市北部
主要ターゲット:20〜45歳のサッカー愛好家・浦和レッズサポーター

コンセプト
「浦和で、サッカーを続けたい人のための整骨院。スポーツ障害・コンディショニング専門」。

集客設計
① Instagram・Xで「サッカー障害(足首・膝・鼠径部)の予防法」コンテンツを発信する
② 浦和・大宮周辺のサッカースクール・少年団のコーチへ「スポーツ障害予防セミナー」を提案する
③ 埼玉スタジアム近辺での「試合後の身体ケアキャンペーン」(試合日限定割引など)
④ 地域サッカーチームのメディカルサポートを受け、選手の信頼を得る


パターン④:深谷・熊谷 農業腰痛特化型

対象エリア:深谷市・熊谷市・行田市・鴻巣市
主要ターゲット:40〜65歳のネギ・ブロッコリー農家・農業女性

コンセプト
「深谷の農家さんの腰と膝を守る。農業腰痛専門の整骨院」。

集客設計
① JAくまがや・JA埼玉中央の事業部への「農業腰痛予防セミナー無料実施」提案
② 深谷まつり・農産物直売所「ふかや花園」等のイベント出展
③ 「深谷ネギ農業の腰痛×整骨院ケア」というテーマでInstagramを発信(農業系タグ活用)
④ 地元農業高校・農業女性グループへの定期的な「身体ケア講座」の提供

深谷・熊谷エリアの農業腰痛需要に特化した院は現状ほぼ存在しない。農村の口コミは強力で、一人が「良くなった」と言えばその集落から数人が来院するパターンが起きやすい。


パターン⑤:現役世代特化 秩父 移住者×観光客×地域唯一院型

対象エリア:秩父市・長瀞町・小鹿野町
主要ターゲット:移住者(30〜50代)・トレイルランナー・観光客

コンセプト
「秩父の自然の中で、身体を整える。地域に根ざした整骨院」。

秩父市は首都圏からの移住先として注目度が上昇中。自然環境・歴史・温泉・祭り(秩父夜祭)が魅力で、東京から約80分というアクセスの良さが移住者を引きつける。

集客設計
① 秩父移住者コミュニティ(SNSグループ・移住者向けイベント)への参加
② 長瀞ラフティング・秩父トレイルランイベントのメディカルサポートとして参加
③ 秩父温泉・旅館との「旅の疲れケア」紹介協定
④ 地域の老人クラブ・自治会への「身体ケア講座(無料)」の定期提供

秩父は競合密度10〜20院/10万人という埼玉最低水準。「秩父でこの院しかない」というポジションを先に確立した院が、長期にわたって地域を独占できる。


📌 第8章の急所
埼玉の5パターンに共通するのは「その地域でしかやっていないこと」を持つこと。帰宅動線(大宮)・外国人対応(川口)・スポーツ(浦和)・農業(深谷)・移住者(秩父)——どれも今の埼玉で「空いているポジション」だ。


第9章:結論——埼玉で持続する院の条件

9-1. 埼玉市場の本質を三行で

埼玉は「全国平均の競合環境」という名の最も油断しやすい市場だ。川口・さいたま市は激戦区だが、深谷・秩父は低競合の空白市場が残っている。「普通の環境で突き抜ける」には、エリアの特性に根ざした1軸の専門性と「攻めの集客設計」が不可欠だ。

9-2. 今日から動けるアクションリスト

今週(費用0円)

  •  自院のGoogleマップに「営業時間(特に夜間対応)」と「予約方法」が正確に記載されているか確認する

  •  競合院の口コミを3件読んで「自院にはない強み」を一つ見つける

  •  月間患者を「通勤者・製造業・農業・スポーツ・高齢者」で分類する

今月(費用3,000〜10,000円)

  •  口コミ依頼カードを作り全施術後患者に渡す習慣をつける

  •  深谷・熊谷エリアなら近隣JAへの「農業腰痛予防セミナー提案」の連絡を1件入れる

  •  川口エリアなら中国語・韓国語の料金表をDeepLで翻訳・印刷して掲示する

  •  「夜21時まで対応」をGoogleビジネスプロフィールに明記(まだなら今すぐ)

3か月(月3〜8万円以内)

  •  Googleマップ口コミを月3〜5件ペースで継続獲得する

  •  自費メニューを1つ作り、初診患者全員に案内・体験を提案する

  •  月次で「新患数・継続率・保険・自費比率」を記録し始める

9-3. 「全国平均」という最大の罠を越えろ

このシリーズを通じて一番言いたいことを埼玉の章で伝える。

全国平均と同じ競合密度の市場でも、「差別化している院」と「していない院」の業績は2〜5倍の差が出る。「平均的な競合環境だから平均的な戦略で良い」という発想は、数年後に経営危機を招く。

埼玉の外国人対応・農業特化・帰宅動線設計——これらは「大きな投資」を必要としない。必要なのは「今日動く決断」だけだ。

決めて、動く。それが埼玉市場で生き残る唯一の条件だ。


まとめ

埼玉県の整骨院市場を整理する。

市場の基本スペック

  • 施術所数:3,030院(R4確定値)

  • 競合密度:約41.3院/10万人(全国平均水準)

  • 総人口:約734万人(全国5位)

埼玉市場の攻略3原則

  1. 「普通」に安心しない:全国平均の競合密度は「すぐ動かなくていい理由」ではない

  2. エリアの特性を活かした1軸を決める:川口は外国人対応、深谷は農業、秩父は移住者×低競合

  3. 東京への患者流出を専門性で防ぐ:「埼玉でこの症状はここ」というブランドが流出を止める


著者プロフィール

著者プロフィール:宮澤 駿
ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。

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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。

宮澤駿

この記事の監修者

宮澤 駿ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

株式会社船井総合研究所で12年間、整骨院・治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わり、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を掲げるピュアグロースにて、2026年ヘルスケア事業本部を立ち上げ。

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