COLUMN
2026.06.05|整骨院マーケットレポート
シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第9回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。
千葉県と聞くと「東京のベッドタウン」というイメージが先に立つ。たしかに千葉市・船橋市・松戸市・柏市といった東京隣接エリアは、東京への通勤者が大量に居住する都市型市場だ。
しかし千葉県の面積は全国28位(5,157km²)と意外に広く、東側・南側には農業・漁業地帯と観光地が広がる。銚子・香取・匝瑳・南房総——これらのエリアは高齢化率が35〜40%に達し、競合密度が全国平均の半分以下という「整骨院の空白地帯」に近い市場が残っている。
千葉は「東京通勤者のベッドタウン」と「農業・漁業地帯の地方市場」がひとつの県内に共存する、日本でも特異な二重構造を持つ。
この二重構造を理解した院が、千葉で正しいポジションを取れる。
| 指標 | 数値 | 備考 |
|------|------|------|
| 総人口 | 約628万人 | 全国6位 |
| 高齢者人口(65歳以上) | 約175万人 | 高齢化率27.9% |
| 生産年齢人口(15〜64歳) | 約390万人 | 構成比62.1% |
| 年少人口(0〜14歳) | 約63万人 | 構成比10.0% |
高齢化率27.9%は全国平均(28.6%)をわずかに下回る。東京近郊の若い通勤者が県北西部に集まる一方、房総半島・銚子方面では高齢化が急速に進んでいる。
主要都市別人口:
市 | 人口 | 特性
千葉市 | 約98万人 | 県庁所在地・政令市・千葉駅中心
船橋市 | 約64万人 | 東京隣接・ベッドタウン・商業集積
市川市 | 約49万人 | 東京隣接・高所得・文化都市
松戸市 | 約50万人 | 東京通勤・ファミリー層
柏市 | 約44万人 | 東京通勤・商業×農業境界線
浦安市 | 約17万人 | ディズニーリゾート・高所得
習志野市 | 約17万人 | 自衛隊・大学・若い人口
成田市 | 約13万人 | 成田空港・外国人・物流
銚子市 | 約6万人 | 漁業・高齢化率40%超
南房総市 | 約2万人 | 観光・農業・高齢化最進行
千葉の生産年齢人口約390万人を分解すると、3つの異質なセグメントが浮かぶ。
①東京通勤者(北西部・総武線・常磐線・京葉線沿線)
千葉市・船橋・市川・松戸・柏から東京に通勤する会社員は推計80万人超。JR総武線・常磐線・京葉線が東京との動線をつくる。帰宅動線上の整骨院需要が厚く、「夜間対応・駅近・短時間施術」が刺さる市場だ。
②成田・物流・航空関連従事者(成田市・香取市周辺)
成田空港は国内最大の国際空港で、周辺には物流倉庫・航空関連企業が集積する。長時間立ち仕事・重量物取り扱いが多い物流従事者、交代勤務でコンディションが乱れやすい航空関連職員の需要がある。外国人労働者(航空・物流・農業実習生)も一定数おり、多言語対応院には特需がある。
③農業・漁業従事者(銚子・九十九里・香取・匝瑳・南房総)
千葉県は農業産出額全国上位(落花生・ネギ・ニンジン等)。銚子は全国有数の漁港であり、農漁業に従事する40〜65歳の現役世代が多い。身体負荷の高い職種ゆえ、腰痛・膝痛・肩こりの需要は慢性的に存在する。
指標 | 数値
施術所数(R4確定値) | 2,240院
推計年間市場規模 | 約2,688〜3,226億円
全国合計施術所数50,919院のうち千葉県は2,240院。人口規模(全国6位)に対して施術所数が相対的に少なく、「需要に対して供給が薄い」エリアが県内に点在していることを示している。
📌 第1章の急所
千葉は「東京通勤者(北西部)」「成田・物流従事者(中部)」「農漁業従事者(東部・南部)」の3セグメントが全く異なる需要をもつ。「千葉だからこの戦略」という一律思考は通じない。どのエリアのどの客層を取るかを先に決める。
指標 | 千葉県 | 全国平均
施術所数(R4確定値) | 2,240院 | 50,919院
競合密度 | 約35.7院/10万人 | 約40.7院/10万人
人口 | 約628万人(全国6位) | —
全国平均(40.7院)を約12%下回る35.7院/10万人。東京(50院超)・大阪(69院)と比べると競合が薄く、神奈川(31院)・愛知(31院)と同水準かやや高い。
「全体的に競合が少なめ」ではあるが、重要なのはエリア間の格差だ。
エリア | 推計競合密度 | 特性
千葉市中心部(中央区・稲毛区) | 45〜60院/10万人 | 商業×通勤集積
船橋市・市川市・浦安市 | 45〜55院/10万人 | 東京隣接高密度
松戸市・柏市・流山市 | 40〜50院/10万人 | 通勤ベッドタウン
習志野市・八千代市 | 35〜45院/10万人 | 中程度競合
成田市・印西市 | 25〜35院/10万人 | 発展中・空白あり
銚子市・旭市・匝瑳市 | 15〜25院/10万人 | 低競合・高齢化
九十九里・山武市 | 15〜20院/10万人 | 低競合・農業
南房総市・館山市 | 10〜18院/10万人 | 極低競合・観光×高齢化
県東部・南部の房総エリアは競合密度が全国最低水準に近い。
全国平均より競合が少ない市場では「先にポジションを取った院が長期間そのポジションを維持できる」という構造がある。
特に千葉の場合、東京隣接エリアは競合が高まっているが、成田・銚子・房総エリアはまだ「専門院としてのポジション」が空いている状態だ。今から動く院にとって、千葉東部・南部には長期にわたる優位性を構築できる余地がある。
📌 第2章の急所
千葉の競合密度は全国平均より低い35.7院。ただし「低い」のは東部・南部のエリアに引っ張られた平均値。東京隣接の船橋・市川・松戸は競合が密集している。エリアを選べば「競合ほぼゼロ」の市場が県内に残っている。
千葉市は人口約98万人を擁する政令指定都市。千葉駅・幕張・蘇我・稲毛海岸などの商業・オフィスエリアが点在する。
幕張エリア(ビジネス×IT×イベント)
幕張新都心は日本IBM・コナミ・富士通等の本社・大規模拠点が集積するオフィスタウン。幕張メッセでの大規模展示会・イベントも頻繁に開催される。
ITワーカー・ビジネスパーソンの肩こり・腰痛需要が厚く、「駅から近い・完全予約制・短時間で結果が出る」院が刺さる市場だ。
千葉駅周辺(ターミナル型)
JR総武線・外房線・内房線・京成線の結節点。東京への通勤者が乗り換えに使うターミナルで、帰宅動線上の院は夕方〜夜間の需要を取り込める。
東京隣接・高所得層の集積
東京都との県境に接するこのエリアは、東京への通勤者の中でも所得水準が高いファミリーが多い。浦安市は東京ディズニーリゾートのお膝元で、全国でも高水準の世帯年収を誇る。
市川市は「文化的消費意識が高い都市」として知られ、整骨院の高単価自費化に最も向いた千葉のエリアの一つだ。
競合密度は高いが、「完全自費・高品質・スタイリッシュ」な院のポジションはまだ空いているエリアが多い。
浦安市の独自需要
東京ディズニーリゾートで働くキャストスタッフ(長時間立ち仕事)の需要は特筆すべきだ。パレード・アトラクション・飲食サービスに従事するスタッフは腰・膝・足のトラブルが多く、仕事終わりや休日に整骨院を利用する層がある。
東京通勤×子育てファミリー
常磐線・武蔵野線沿線の松戸・柏・流山は、東京への通勤利便性と子育て環境の両立を求めるファミリー層が増加中。特に流山市は「都内へのアクセスが良い子育て環境」として全国的に注目を集め、若いファミリーの移住が急増している。
産後骨盤矯正・子どものスポーツ障害・共働き夫婦両方が通える院の設計が、このエリアでは強く求められる。
空港×物流×新興住宅の成長市場
成田市は成田空港を抱える国際都市。物流企業・航空関連企業が集積し、外国人労働者(航空・物流)も多い。
印西市はIT企業のデータセンター集積地として急成長中で、人口が増加している数少ない千葉県内エリアの一つだ。
両市とも競合密度は低めで、「成長市場に早期参入した院」が有利なポジションを取れる。
戦略的急所——漁業×農業×高齢化の低競合市場
銚子市(高齢化率40%超・漁業基盤)、旭市・匝瑳市・山武市(農業地帯)は千葉県内で最も整骨院が少ないエリアだ。競合密度は推計15〜25院/10万人と、全国でも最低水準に近い。
農業(落花生・ニンジン・ネギ)と漁業(銚子漁港・外川漁港)に従事する40〜70代は身体への負荷が非常に高い。腰痛・膝痛・肩こりを抱えながら「通える整骨院がない」という状況が続いている地域も存在する。
「銚子・九十九里の農漁業従事者専門院」は全国的にも珍しいポジションで、一度認知されれば地域コミュニティの口コミで圧倒的なシェアを取れる。
南房総の観光地は都市圏からの週末旅行者・移住者が増加している。競合密度は10〜18院/10万人と千葉県内最低水準。
高齢化率が高く(南房総市は40%超)、農業・漁業・観光業従事者の需要が混在する。観光客向けの「旅の疲れケア」と地域住民向けの「慢性疾患管理」を両立できる院が求められている。
📌 第3章の急所
千葉の「戦略的急所」は2か所。①東京隣接(浦安・市川)の高所得自費エリア、②銚子・九十九里・房総の低競合農漁業エリア。この2か所に特化した院が千葉市場で最も再現性の高い「勝ち」を作れる。
指標 | 数値
高齢者人口 | 約175万人
高齢化率 | 約27.9%(全国平均並み)
前期高齢者(65〜74歳) | 約85万人
後期高齢者(75歳以上) | 約90万人
高齢者人口175万人は絶対数として大きいが、エリア差が極端だ。北西部(船橋・市川・浦安)は高齢化率が20%台前半の若い地域。一方、銚子・南房総は40%超の「超高齢化」が進行している。
銚子市・南房総市・館山市など房総エリアの高齢者は、農業・漁業で長年身体を使ってきた世代だ。慢性腰痛・変形性膝関節症・肩峰下インピンジメントが重なる患者が多く、整骨院への依存度が高い。
一方でこのエリアは「整骨院に通える距離に院がない」という問題がある。自動車が運転できる70代前半までは通院できるが、後期高齢者になると通院困難になるケースが増える。
訪問施術・送迎サービスの価値が高いエリア
房総・銚子エリアでは「送迎サービス付き整骨院」や「訪問施術(医療保険外)」という付加価値が他のエリアより強く評価される。院として提供できれば、競合との差別化に直結する。
船橋・松戸・柏の高齢者は、東京近郊という生活環境もあり比較的健康意識が高い。ゴルフ・テニス・ウォーキングを楽しむ前期高齢者の「スポーツ障害+コンディショニング」需要は、自費施術の高単価化にも対応できる層だ。
📌 第4章の急所
房総・銚子の高齢者は競合が少ない市場での安定需要。「送迎サービス」「訪問相談」を加えると差別化効果が高い。北西部の高齢者はアクティブ系が多く、スポーツ障害+コンディショニングの自費需要が取れる。
千葉の最大の現役世代需要層。千葉市・船橋・市川・松戸・柏から東京に通う会社員は推計80万人超。
特徴:
平日の東京勤務で疲弊した身体を「帰宅途中に整えたい」
土日にまとめて通院するパターンも一定数ある
「夜遅くまで対応・当日予約可・駅近」の3条件が刺さる
神奈川の通勤者と同じ需要構造だが、千葉は「東京での勤務後に総武線・常磐線で帰る途中」という動線設計が重要。千葉・船橋・津田沼・市川などの主要駅周辺は帰宅動線上の施術需要が集中しやすい。
成田空港・成田市周辺には航空関連・物流・倉庫業の従事者が集積する。
需要の特徴:
重量物の取り扱いによる腰痛・手首疾患
交代勤務・深夜業務によるコンディション低下
外国人労働者(多言語対応が有効)
成田エリアで「物流・航空従事者向け」と打ち出す院は、現状ほぼ存在しない。「英語・中国語対応可・深夜帯施術」という差別化は、成田周辺での独自ポジションになりやすい。
千葉の農漁業現役世代(40〜65歳)の需要は根強い。落花生・ネギ・ニンジン農家と、銚子漁港・九十九里のいわし漁業従事者は身体への負荷が極めて高い。
「農漁業の腰痛」は治療動機が明確で、一度信頼した院への継続率が高い。農家や漁師の口コミは集落・漁師仲間のネットワークで広がりやすく、1人が来院すると10人がついてくるケースがある。
流山市は近年「子育てしやすい街」として全国的に認知度が急上昇し、首都圏からの若いファミリーの転入が続いている。
30〜40代の共働き夫婦・子育て中の母親・スポーツ少年団の子どもたち——この層は:
産後骨盤矯正(ターゲット:産後3か月〜1年の母親)
子どもの野球肘・サッカー膝(ターゲット:スポーツ少年団)
共働き夫婦の肩こり・腰痛(ターゲット:デスクワーカー)
という複合需要を持つ。流山市での産後×スポーツ障害特化院は、人口増加トレンドに乗れる成長市場だ。
エリア | 安定層 | 成長層
船橋・市川・浦安 | アクティブ高齢者 | 高所得通勤者・スポーツ
千葉市・幕張 | — | ITワーカー・ビジネス
松戸・柏・流山 | 高齢者 | 通勤者・子育て世代
成田・印西 | — | 物流・航空従事者
銚子・九十九里 | 農漁業高齢者 | 農漁業現役世代
房総 | 高齢者 | 観光客・移住者
📌 第5章の急所
千葉の現役世代需要の最大市場は「東京通勤者80万人(帰宅動線)」。ただし成田・物流従事者や銚子・九十九里の農漁業従事者という、全国的にも珍しいニッチ需要が千葉独自の隙間市場を生んでいる。
タイプ | 比率(体感) | 特徴
①保険中心・地域固定型 | 約45% | 北西部から房総まで幅広く分布
②通勤者向け駅近広告型 | 約25% | 千葉・船橋・松戸・柏の主要駅周辺
③産後・スポーツ特化型 | 約15% | 流山・松戸・柏のファミリーエリア
④高単価完全自費型 | 約10% | 市川・浦安・幕張周辺
⑤地域密着型(農村・漁村) | 約5% | 銚子・房総の少数の古参院
軸①:帰宅動線設計(千葉・船橋・市川・松戸・柏の主要駅周辺)
「夜21時まで・当日予約可・駅徒歩3分以内」の三拍子。東京から帰宅する通勤者を「帰り道で寄れる」設計で取り込む。この軸は神奈川と同じだが、千葉の通勤者は「帰宅ルートが一方向(東京から千葉方向)」という特性があり、乗降駅を特定した立地設計が有効だ。
軸②:農漁業特化(銚子・九十九里・香取)
「銚子漁師の腰を守る整骨院」「落花生農家の膝痛専門院」——このポジションは千葉県内で競合がほぼ存在しない。農漁業従事者への特化は全国的に見ても珍しく、一度ポジションを取れば長期間維持できる。
軸③:流山×産後×子育て特化
全国的に注目される子育て都市・流山市でのファミリー特化院。産後骨盤矯正×子どものスポーツ障害×共働き夫婦の疲労管理という「家族単位の通院設計」が刺さる市場だ。
📌 第6章の急所
千葉の差別化3軸は「帰宅動線(北西部)」「農漁業特化(東部)」「子育てファミリー(流山等)」。3軸は地理的に重ならないため、エリアに合った1軸だけ取り組めばいい。全部やろうとしなくていい。
千葉でも基本の順番は変わらない。
① Googleマップ(MEO)最適化:全エリア共通・費用ほぼ0円
② 口コミ紹介設計:全エリア共通・費用0円
③ SNS(Instagram/LINE):北西部・流山向き
④ 地域コミュニティ参加(JA・漁協・自治会):銚子・九十九里・房総向き
⑤ 帰宅動線設計(夜間対応明記):北西部の主要駅周辺向き
⑥ ポスティング:競合密度が低い農村・漁村エリアで有効
通勤者の整骨院選びの行動を再現する。
「電車で帰宅中→スマホでGoogleマップ→『整骨院 船橋 夜遅い』で検索→口コミと写真を確認→LINEで当日予約→退勤ついでに寄る」
このフローで選ばれるために必要なのは:
Googleマップ評価4.3以上・口コミ30件超
プロフィールに「夜21時まで対応」「当日予約可」を明記
駅から徒歩3分以内の立地
LINE予約・ホットペッパー等の「その場で予約できる導線」
夜間対応と当日予約の「利便性」は千葉の通勤者には最重要要素だ。「良い施術をしているのに夜が早い院」は通勤者に選ばれない。
農漁業エリアでのデジタル集客はほとんど機能しない。SNSを使わない層が多く、Googleマップも「見ない」層が一定数いる。
効果があるのは「人が人を連れてくる口コミ」だ。
農漁業エリアでの実践的な集客手順:
① 地元の農協(JA千葉・JA銚子・JA九十九里)に挨拶し、施設情報を掲示してもらう
② 銚子市・旭市・匝瑳市の商工会の会合に参加して顔を売る
③ 地域のスーパー・農産物直売所に院のチラシを設置してもらう
④ 地域の老人クラブ・農業女性グループへの「腰痛予防講座(無料)」を申し込む
費用はほぼかからない。効果は3〜6か月で口コミが広がり始める。一人の農家が来院して「良くなった」と言えば、同じ集落から3〜5名が続いて来院するパターンが起きやすい。
流山・柏の子育てファミリー層はInstagram・ママコミュニティアプリ(ママリ・たまひよ)での情報収集が多い。
実践的アプローチ:
① Instagramで「産後の骨盤ケア×流山ライフ」「子どものスポーツ障害予防」コンテンツを発信(#流山 #柏 #産後ケア タグを活用)
② 地域のベビー・キッズイベント(流山アウトドアビレッジ等)への出展
③ 地元の産婦人科・小児科との連携(紹介関係の構築)
④ 幼稚園・保育園の保護者会での「産後の身体ケア講座(無料)」提案
📌 第7章の急所
北西部(通勤者向け)はGoogleマップ×夜間対応が決め手。東部(農漁業向け)はJA・漁協・地域コミュニティへの参加が決め手。流山・柏(子育て向け)はInstagram×産後×スポーツ障害がセット。エリア別にチャネルを変える。
対象エリア:船橋市・市川市・習志野市(主要駅徒歩3分以内)
主要ターゲット:30〜50代の東京通勤者(デスクワーカー)
コンセプト
「東京からの帰り道にある、夜21時まで開いている整骨院」。
集客設計
① Googleマップに「夜21時まで対応・当日予約可・駅徒歩2分」を明記
② LINE公式アカウントで当日の空き枠をリアルタイム発信する
③ 帰宅通勤者に刺さる「仕事帰りの30分コース(4,500円)」を作る
④ 施術後に口コミ依頼カード(QRコード付き)を渡し、月3〜5件の口コミ獲得を継続する
目標数値(6か月後)
月間新患:20〜30名
月間売上:80〜120万円(自費比率50%以上)
対象エリア:浦安市・市川市(南部)
主要ターゲット:35〜55歳の高所得ファミリー・ディズニースタッフ
コンセプト
「浦安で一番丁寧な整骨院。完全予約制・完全自費」。
集客設計
① 初回体験2,000円という低ハードル入口から完全自費へ誘導する
② 「ディズニーキャストスタッフ向けアフターケア」メニューを作りSNSで発信する
③ 浦安・市川の産婦人科との連携(産後骨盤矯正の紹介)
④ 地域の高級スポーツジム・ヨガスタジオとの紹介協定
目標数値(12か月後)
平均単価:8,000〜12,000円
月間売上:80〜130万円(完全自費)
対象エリア:流山市(流山おおたかの森・流山セントラルパーク周辺)
主要ターゲット:産後3か月〜1年の母親・スポーツ少年団の子どもとその親
コンセプト
「流山の子育て家族を、丸ごとケアする整骨院。産後骨盤から子どものスポーツ障害まで」。
集客設計
① Instagram「#流山ママ」「#流山子育て」タグでコンテンツを月4〜6本投稿する
② 流山市内の産婦人科・助産院との紹介協定を結ぶ
③ 流山おおたかの森ショッピングセンター周辺で「産後骨盤セミナー(無料)」を定期開催する
④ サッカー・野球少年団への「スポーツ障害予防講座(無料)」を年2〜3回提供する
流山市の人口は増加トレンドが続いており、「今からポジションを取る」価値が高い。
対象エリア:銚子市・旭市・匝瑳市・山武市・九十九里町
主要ターゲット:40〜70代の農業従事者・漁業従事者
コンセプト
「千葉の農家・漁師の腰と膝を守る、農漁業専門整骨院」。
集客設計
① JA銚子・JA九十九里への「農業腰痛予防セミナー無料実施」提案
② 銚子漁港・外川漁港周辺での「漁師の身体ケア出張相談(月1回)」
③ 地域農業まつり・産直市場への出展参加
④ 銚子市・旭市の商工会への加入と定期参加
このポジションは千葉県内でほぼ競合が存在しない。農漁業コミュニティの口コミは強力で、年単位の安定集客が見込める。
対象エリア:成田市・富里市・芝山町
主要ターゲット:30〜55歳の物流・航空・倉庫業従事者(日本人・外国人)
コンセプト
「成田空港で働く人の身体を守る。日英対応の整骨院」。
集客設計
① 成田市周辺の物流倉庫・航空関連企業への法人BtoBアプローチ(安全衛生セミナー提案)
② Googleマップの施設説明を日英2言語で整備する
③ 外国人向け情報サイト(Japan Guide・TimeOut Tokyo等)への掲載
④ 成田市の国際交流協会・外国人支援団体との連携
成田エリアはインバウンドの玄関口でもあり、日本語が話せない外国人旅行者の「空港到着後の身体ケア」需要も潜在的に存在する。
📌 第8章の急所
千葉の5パターンに共通するのは「エリアの特性に根ざしたコンセプト」。帰宅動線(北西部)・高所得自費(浦安)・子育て(流山)・農漁業(銚子・九十九里)・物流航空(成田)——それぞれの「その地域でしかない需要」を掴んだ院が長期的に選ばれる。
千葉は「東京のベッドタウン」と「地方市場」が同居する二重構造を持つ。北西部の通勤者需要は競合が多いが需要も厚い。東部・南部の農漁業地帯は競合が少なく、「地域唯一に近い院」を作れる可能性がある。今から動けば、千葉の空白市場にポジションを確立できる時間的猶予がある。
今週(費用0円)
自院周辺の競合院をGoogleマップで全件確認し、口コミ数・評価を比較する
Googleビジネスプロフィールに「夜間対応時間」「当日予約の可否」を明記する
月間患者を「通勤者・農漁業・ファミリー・高齢者」で分類する
今月(費用3,000〜10,000円)
口コミ依頼カードを作成し施術後に全患者に渡す習慣をつける
銚子・九十九里エリアなら近隣のJA・農協に「腰痛予防セミナー提案」の連絡を入れる
流山・柏エリアなら産婦人科・小児科への紹介あいさつ訪問を1件実施する
Instagramのプロフィールに「何の専門院か」を一言で明記する
3か月(月3〜8万円以内)
Googleマップ口コミ月3〜5件ペースの獲得を継続する
自費メニューを1つ作り、初診患者全員に体験を提案する
月次の売上・新患数・継続率を記録し始める
千葉は全国6位の人口を持ちながら、「農漁業特化」「物流航空特化」「子育てファミリー特化(流山)」という専門院がほとんど存在しない。
これらのポジションは「今動けば取れる空席」だ。2〜3年後に競合院がこれらのポジションを認識し参入し始める前に、先に「その地域でその患者のための院」を作ることが千葉攻略の最速ルートだ。
千葉県の整骨院市場を整理する。
市場の基本スペック
施術所数:2,240院(R4確定値)
競合密度:約35.7院/10万人(全国平均40.7院を下回る)
総人口:約628万人(全国6位)
全国合計施術所数:50,919院(R4)
千葉市場の攻略3原則
「東京の延長」思考を捨てる:千葉は北西部(通勤者)・東部(農漁業)・南部(房総)で全く別の市場
空白ポジションを今取る:農漁業特化・流山子育て特化・成田物流特化は現在ほぼ無競合
エリアのチャネルを使う:北西部はGoogleマップ×夜間対応、東部・南部はJA・漁協・地域コミュニティ参加
次回は第10回・埼玉県の整骨院マーケット分析をお届けします。
著者プロフィール:宮澤 駿
ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長
大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。
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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。