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【47都道府県 整骨院マーケットレポート⑦】福岡県の整骨院市場分析/アジア最近接・IT都市・若い人口——九州最大市場で勝つための現実戦略

2026.06.03|整骨院マーケットレポート

シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第7回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。


はじめに:福岡は「二つの顔」を持つ市場だ

福岡県の整骨院市場を語るとき、一つの県名でくくることに無理がある。

福岡市(人口約163万人)は、九州の玄関口であり、アジアへの最短距離を持つIT・スタートアップ都市だ。20〜30代の若い人口が集まり、外国人観光客が急増し、自費施術の高単価化が最も機能しやすい都市の一つだ。

一方、北九州市(人口約93万人)は、かつての鉄鋼・製造業を基盤とした工業都市で、高齢化率が33%を超える。競合密度は低く、地域密着型の安定経営が成立しやすい別の市場だ。

同じ「福岡県」でも、福岡市と北九州市では院の戦略が根本から変わる。

加えて、筑後平野(久留米・柳川・大牟田)の農業地帯、糸島の移住者エリア、筑豊の炭鉱後の地方都市——それぞれが独自の整骨院需要を生んでいる。

このレポートでは「福岡の二つの顔」を軸に、エリアごとの現実的な戦い方を提示する。


第1章:福岡県の人口構造と市場規模

1-1. 基本人口データ

 指標 | 数値 | 備考 
 総人口 | 約513万人 | 全国9位 
 高齢者人口(65歳以上) | 約142万人 | 高齢化率27.7% 
 生産年齢人口(15〜64歳) | 約315万人 | 構成比61.4% 
 年少人口(0〜14歳) | 約56万人 | 構成比10.9%  

高齢化率27.7%は全国平均(28.6%)をわずかに下回る。ただし、福岡市(高齢化率約21%)と北九州市(約33%超)の格差が大きく、「県平均」はあまり意味を持たない。

福岡市は政令指定都市の中でも特に若い人口構造を持ち、20〜39歳の転入超過が全国トップ水準が続いている。人が集まる都市特有の「若い・活発・消費意欲が高い」市場環境が、整骨院の自費化に追い風を与えている。

主要都市別人口:

 市 | 人口 | 特性 
 福岡市 | 約163万人 | IT・スタートアップ・若い・インバウンド 
 北九州市 | 約93万人 | 工業・高齢化・安定需要 
 久留米市 | 約30万人 | 農業・医療都市・筑後中核 
 春日市 | 約11万人 | 福岡市隣接・ファミリー需要 
 糸島市 | 約10万人 | 移住者・高所得・海辺リゾート 
 飯塚市 | 約12万人 | 筑豊・炭鉱後・高齢化 

1-2. 生産年齢人口の需要構造

①福岡市のIT・クリエイティブ層
天神・博多・薬院・大名エリアに集積するIT企業・スタートアップ・クリエイティブ職。福岡市は「スタートアップ都市」として国家戦略特区に認定されており、若い起業家・エンジニアが集まる。長時間PCワーク由来の頸肩腕症候群・腰痛需要は高く、単価への感度より「効果・体験」を重視する消費文化がある。

②福岡市の観光業・飲食業従事者
博多・中洲・天神は全国でも有数の飲食店密集地帯。立ち仕事・夜遅い就業時間の飲食業従事者の慢性疲労需要は厚い。インバウンド急増でホテル・観光業の従事者数も増加している。

③農業・農村従事者(筑後平野)
久留米・柳川・八女・うきは——筑後平野は西日本有数の農業地帯。農業従事者の腰痛・膝痛需要は深刻で、かつ農村部には整骨院の絶対数が少ない。「農業腰痛専門」というポジションは競合がほぼいない分野だ。

④北九州の製造業従事者
日本製鉄・TOTO・安川電機など大企業が集積する北九州市。製造業従事者の腰痛・肩こり・手首疾患の需要は安定している。BtoB産業保健アプローチが機能しやすい。

1-3. 市場規模推計

 指標 | 数値 
 施術所数(R4確定値) | 2,249院 
 推計年間市場規模 | 約2,699〜3,239億円 


📌 第1章の急所
福岡市(若・IT・インバウンド)と北九州市(工業・高齢化)は別市場。県平均で考えると戦略がぼける。「福岡市で開院する院」と「北九州市・筑後で開院する院」では、ターゲット・施術内容・価格帯の全てが異なる設計が必要だ。


第2章:施術所数・競合密度の実態

2-1. 福岡県の競合密度

 指標 | 福岡県 | 全国平均 
 施術所数(R4確定値) | 2,249院 | — 
 競合密度 | 約43.8院/10万人 | 約40院/10万人 
 人口 | 約513万人(全国9位) | — 

全国平均(40院)を若干上回る43.8院/10万人。大阪(69院)や兵庫(45院)と比べると中程度の競合環境だ。

ただし競合の「中身」が重要で、福岡市内と北九州市・地方では競合密度に大きな差がある。

2-2. エリア別競合密度(推計)

 エリア | 推計競合密度 | 特性 
 福岡市中心部(博多・天神) | 65〜80院/10万人 | 超高密度・ビジネス×観光 
 福岡市郊外(早良区・城南区) | 40〜55院/10万人 | ベッドタウン安定 
 糸島市 | 25〜35院/10万人 | 移住者・低競合 
 北九州市内 | 35〜50院/10万人 | 工業×高齢化 
 久留米市 | 30〜40院/10万人 | 農業×医療都市 
 筑後(柳川・八女) | 20〜30院/10万人 | 農村・低競合 
 筑豊(飯塚・田川) | 20〜30院/10万人 | 高齢化・低競合 

福岡市の博多・天神エリアは80院/10万人に迫る「超激戦」だが、糸島・筑後・筑豊は全国平均を大幅に下回る「空白地帯」に近い。

2-3. 福岡市の「需要の特異性」

福岡市は日本の政令指定都市の中で人口増加率が際立って高い(2010〜2020年で約8%増)。人口が増えている都市では、新規開院に対する「市場の吸収力」が高い。

また、アジアとの近さ(韓国・中国・台湾からのLCC直行便多数)から、外国人観光客数は全国3〜4位の水準だ。英語・韓国語・中国語対応の整骨院には、インバウンド需要という追加収益機会がある。


📌 第2章の急所
福岡県の競合密度43.8院/10万人は全国平均より若干高い程度。ただし福岡市中心部は80院近い超激戦地帯。競合密度20〜30院の「筑後・筑豊・糸島」エリアは、まだ整骨院の「空白」が残っている。


第3章:エリア別市場分析

3-1. 福岡市エリア

博多・天神・中洲(ビジネス×観光×インバウンド)
福岡の中心商業地。日本最大級の地下街・天神地下街を抱え、昼間は会社員、夜は観光客・飲食業従事者が行き交う。競合密度は最高水準だが、それを上回る需要の厚さがある。

インバウンド需要は特筆すべきで、韓国人観光客(福岡市は日本で最も韓国人が多く訪れる都市の一つ)は「整体・マッサージ」への投資意欲が高い。韓国語対応院は差別化として強烈に機能する。

薬院・大名・警固(スタートアップ×クリエイティブ)
福岡市の「おしゃれエリア」。IT企業・デザイン事務所・飲食店が混在し、20〜30代のクリエイター・エンジニア層が多い。健康意識が高く、「なんとなく保険で安く」より「少し高くても効果のある施術」を求める消費傾向が強い。

完全自費・予約制・スタイリッシュな院内空間が、このエリアではブランド価値を生む。

福岡市郊外(早良区・城南区・南区・東区)
福岡市内でも郊外寄りのエリア。大学(九州大学・福岡大学)が多く、学生スポーツ障害需要もある。ファミリー層が多く、産後骨盤矯正・子どものスポーツ障害のニーズがある。

糸島市(移住者エリア)
福岡市西部に隣接する糸島市は、近年の「移住ブーム」で東京・大阪からの移住者が急増している。海・山・農村と都市へのアクセスを両立できる環境として人気が高い。

移住者は健康意識が高く、「地元の良い整骨院」への需要が強い。競合密度が低く(25〜35院/10万人推計)、ポジションが取りやすいエリアだ。

3-2. 北九州市エリア

製造業需要×高齢化の二重構造
北九州市は日本製鉄(旧新日鐵住金)・TOTO・安川電機・コーヨーのお膝元。工場従事者の職業病需要(腰痛・肩こり・手首)は根強い。

一方、高齢化率33%超という数字は、整骨院にとって「安定した高齢者需要」を意味する。製造業からの現役世代と、引退後の高齢者が混在する「二層需要」市場だ。

北九州の「地域密着院」モデル
北九州市は福岡市より競合密度が低く、「地域で顔の見える院」を目指しやすい。地元の祭り・自治会への参加、地域医療機関との連携、在宅ケアとの連絡網——こういった「地域インフラ化」が北九州の整骨院には向いている。

3-3. 筑後エリア(久留米・柳川・八女・うきは)

戦略的急所——農業需要×低競合

筑後平野は西日本有数の農業地帯。久留米市を中心に、柳川・八女・うきは・大川が広がる。高齢化が進む農村部では「農業従事者の腰痛・膝痛」需要が慢性的に存在するが、整骨院の絶対数が少ない。

久留米市は「医療の街」としても知られ(久留米大学医学部附属病院等)、医療への投資意識が比較的高い。競合密度30〜40院/10万人の中で、「農業腰痛専門」「農家さんの腰を守る院」というポジションは圧倒的な差別化になる。

3-4. 筑豊エリア(飯塚・田川・直方)

かつての炭鉱地帯。現在は高齢化と人口減少が進む地方エリアだが、競合密度が低く(20〜30院/10万人)「地域唯一に近い院」が成立しやすい。

九州大学の分校(飯塚キャンパス)が立地しており、若い学生人口と高齢化した地域住民が共存する独特の市場だ。


📌 第3章の急所
福岡の5エリアで最も戦略的価値が高いのは「糸島(移住者需要×低競合)」と「筑後(農業腰痛×低競合)」。福岡市中心部は高需要だが高競合で、初期投資と強いコンセプトが必要。北九州は「地域密着型安定経営」の教科書的市場だ。


第4章:高齢者需要の分析

4-1. 福岡県の高齢者市場

 指標 | 数値 
 高齢者人口 | 約142万人 
 高齢化率 | 約27.7%(全国平均より低い) 
 前期高齢者(65〜74歳) | 約70万人 
 後期高齢者(75歳以上) | 約72万人 

県全体の高齢化率は全国平均より低いが、北九州市(33%超)・筑豊(35%超のエリアあり)は全国水準を大幅に上回る。高齢者需要は地域によって「濃淡が極端に異なる」のが福岡の特徴だ。

4-2. 北九州・筑豊の高齢者特需

北九州市と筑豊エリアの高齢者は「身体を動かして生きてきた世代」が多い。製造業・炭鉱・農業に従事してきた人たちは慢性疼痛を抱えながら働き続けてきた歴史があり、整骨院への敷居が低い。

「保険で通える範囲で診てもらいたい」という経済的制約も多いが、「よくしてくれる先生なら続けて通いたい」という継続意欲は高い。保険施術を基盤にしながら、信頼関係が育ったタイミングで小額の自費を提案するのが現実的だ。

4-3. 高齢者の「口コミ力」を活かす

地方都市・農村部の高齢者は「信頼できる院を友人に紹介する」口コミ文化が強い。「先生に診てもらってよくなった」という体験談は地域の高齢者コミュニティ(公民館・老人会・グラウンドゴルフ)で急速に広がる。

この口コミ構造を意図的に設計することが、北九州・筑後・筑豊での集客の核心だ。高齢者1人が丁寧な施術で満足すれば、その人の繋がりから3〜5人が来院するケースが珍しくない。


📌 第4章の急所
北九州・筑豊の高齢者需要は「安定基盤」として使える。口コミが起きやすい地域コミュニティ文化を活かし、「1人の満足が5人の来院につながる」設計を意識する。福岡市では高齢者比率が低いため、現役世代への比重を高く設定する。


第5章:生産年齢人口(現役世代)需要の分析

5-1. 福岡の現役世代3大ターゲット

ターゲット①:福岡市のIT・スタートアップ従事者

天神・薬院・大名・博多エリアに集積する、20〜35歳のエンジニア・デザイナー・起業家層。

この層の特徴:

  • 健康投資意識が高く、「体感できるなら高くても払う」消費傾向

  • SNSでの情報収集(Instagram・X)を多用する

  • 「科学的・論理的な説明」を好む

  • 施術後の体感が良ければ即レビュー投稿・紹介してくれる

完全自費・予約制・体験型施術の説明をできる院が、このセグメントに刺さる。インスタやGoogleマップでの口コミ拡散力が高く、「口コミが口コミを呼ぶ」サイクルが起きやすい層だ。

ターゲット②:北九州の製造業従事者

日本製鉄・TOTO・安川電機・コーヨーなどの工場で働く30〜55歳の製造業従事者。

需要の特徴:

  • 腰痛・肩こり・手首疾患・膝痛(職業病)

  • 「早く治して現場に戻りたい」という即効性への期待

  • 法人契約(工場との提携)で安定集客ができる

大手企業の工場が複数ある北九州は、法人アプローチの実施価値が高い。工場の総務・安全衛生部門への「腰痛予防セミナー+施術体験」提案は、月間30〜50名規模の安定集客に直結する。

ターゲット③:農業従事者(筑後平野)

久留米・柳川・八女の農業従事者。野菜・果物・花卉農業に従事する40〜65歳の「現役」農業者。

農業の身体負荷は製造業に匹敵する。田植え・農薬散布・収穫時の前傾み作業は腰への負荷が極めて大きく、膝痛・腰痛の慢性化が進みやすい。

「農家さんの腰を守る院」というポジションは、筑後エリアでは競合ゼロに近い差別化だ。農協・JAとの提携や農業イベントへの出展で認知を広げるアプローチが有効だ。

5-2. 「高齢者で安定、現役世代で成長」の二層設計

 エリア | 安定層 | 成長層 
 福岡市 | — | IT・スタートアップ・観光業 
 北九州市 | 高齢者 | 製造業従事者 
 筑後 | 高齢者 | 農業従事者・医療職 
 糸島 | — | 移住者・スポーツ人口 

福岡市は現役世代需要が主役。北九州・筑後では高齢者基盤の上に現役世代を積み上げる二層設計が安定する。


📌 第5章の急所
福岡の現役世代需要は「エリアによって種類が全く違う」。福岡市→IT・クリエイター(高単価自費)、北九州→製造業BtoB、筑後→農業腰痛特化。3エリアで別々の現役世代戦略が必要だ。


第6章:競合環境と差別化

6-1. 福岡の競合院タイプ

 タイプ | 比率(体感) | 特徴 
 ①保険中心・地域固定 | 約40% | 古参院・北九州・筑後に多い 
 ②広告×低価格 | 約25% | 福岡市のクーポン競争院 
 ③特化専門型 | 約15% | スポーツ・産後など専門化
 ④IT系高単価自費型 | 約10% | 薬院・大名・天神周辺 
 ⑤複合自費転換型 | 約10% | 各エリアの繁盛院 

6-2. 福岡でブランドを作る3つの差別化軸

軸①:インバウンド対応(博多・天神)
韓国語・中国語・英語対応の整骨院は福岡市内でまだ希少だ。スマートフォンの翻訳アプリを使うだけでも「伝えようとする姿勢」が外国人患者に刺さる。Googleマップに英語・韓国語の施設説明を記載するだけで、インバウンド患者の来院が増える。

軸②:農業特化(筑後エリア)
「農家さんの腰・膝を診る専門院」。農協・JAのイベントに顔を出し、農村の口コミネットワークに入り込む。このポジションは全国的に見ても競合がほぼ存在しない。

軸③:スタートアップ特化(薬院・大名)
「ITエンジニア・起業家の身体を整える整骨院」。Twitterでの情報発信、スタートアップコミュニティへのイベント参加、「エンジニアの腰痛×肩こりケア」Reels動画——この打ち出しは福岡市固有の需要に刺さる。


📌 第6章の急所
福岡の差別化で最もポテンシャルが高い3軸は「インバウンド対応」「農業特化(筑後)」「スタートアップ特化(薬院・大名)」。どれも全国的に競合が少ない独自ポジションだ。


第7章:集客チャネルの現実

7-1. 福岡市と地方で集客チャネルが逆転する

福岡県の集客戦略で最も重要な原則は「エリアによって有効なチャネルが逆になる」ことだ。

 チャネル | 福岡市中心部 | 北九州・筑後・筑豊 
 Googleマップ(MEO) | ★★★★★ | ★★★★☆ 
 Instagram/SNS | ★★★★★ | ★★★☆☆ 
 口コミ紹介 | ★★★★☆ | ★★★★★ 
 ポスティング | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ 
 地域コミュニティ参加 | ★★★☆☆ | ★★★★★ 
 法人BtoB営業 | ★★★★☆ | ★★★★★ 

福岡市ではデジタル集客(MEO・SNS)が主力だが、北九州・筑後では「顔が見える地域の口コミ」と「法人BtoB」が最も効く。

7-2. 福岡市でのGoogleマップ戦略

福岡市のビジネスパーソン・IT層は「Google検索→マップで比較→口コミを読んで決める」という意思決定プロセスを辿る。

このフローに乗るために:
① Googleビジネスプロフィールに「何の専門院か」を明記(例:「ITエンジニアの肩こり・腰痛専門」)
② 口コミ数30件超・平均4.3以上を3か月で目指す
③ 写真を20枚以上(院内・スタッフ・施術の様子)アップする
④ 「現在の混雑状況・予約可否」をリアルタイム更新する

7-3. 筑後・北九州での「顔の見える集客」

地方エリアでは「デジタル」より「人の繋がり」が集客の主力になる。具体的なアクション:

① 農協・JA・商工会の会合に積極的に参加して顔を売る
② 地域の医師・整形外科・内科との連携(紹介関係の構築)
③ 地域の運動会・祭り・スポーツイベントに参加or協賛する
④ 地元小中学校・スポーツ少年団への「ケガ予防講座(無料)」提案

これは「コンサルが言う地域密着」ではなく、「地域に生きる事業者として当然やること」だ。費用は交通費と時間だけ。効果は半年〜1年で確実に出る。

7-4. インバウンド集客の具体手順

博多・天神周辺の院でインバウンド患者を獲得するための現実的な手順:

① Googleマップの施設説明を日英韓3ヶ国語で記載する
② 翻訳アプリ(Papago・Google翻訳)を院内に常備し、スタッフが使えるようにする
③ 料金表・施術メニューを英語・韓国語版に翻訳してラミネート掲示する
④ 近隣のホテル(コンシェルジュ)・観光案内所に院のパンフレットを置いてもらう

費用:3〜5万円(翻訳・印刷費)
期待効果:月5〜15名の外国人患者(1回8,000〜15,000円の自費施術)


📌 第7章の急所
福岡市中心部はGoogleマップ×SNSが主力。北九州・筑後は地域コミュニティ参加と法人BtoBが主力。「どっちも中途半端にやる」より「エリアに合った1〜2チャネルに集中する」方が効果が出る。


第8章:福岡県の勝ちパターン5選

パターン①:博多・天神 インバウンド完全自費型

対象エリア:福岡市博多区・中央区(博多駅・天神駅周辺)
主要ターゲット:外国人観光客(韓国・中国・台湾)・ビジネスパーソン

コンセプト
「旅の疲れを取る。英語・韓国語対応の整骨院」。完全自費・完全予約制・8,000〜15,000円。

集客設計
① Googleマップを日英韓3ヶ国語で整備し、外国語口コミへの返信を徹底する
② 博多駅・天神周辺のホテルコンシェルジュとの紹介関係を3〜5件構築
③ 韓国人観光客向けに「네이버(Naver)」「カカオマップ」への施設登録を行う
④ 訪日外国人向けアプリ(VELTRA・Voyagin等)への掲載

目標数値(12か月後)

  • 外国人患者比率:30〜50%

  • 平均単価:10,000〜12,000円

  • 月間売上:80〜150万円


パターン②:薬院・大名 スタートアップ特化型

対象エリア:福岡市中央区(薬院・大名・警固)
主要ターゲット:20〜35歳のITエンジニア・デザイナー・起業家

コンセプト
「ずっと座って働く人の身体を、科学的に整える整骨院」。完全自費・完全予約制・6,000〜10,000円。

集客設計
① Instagram・Twitter(X)で「エンジニアの肩こり解消法」「在宅勤務の腰痛予防」コンテンツを発信
② 福岡市内のコワーキングスペース(天神ビジネスセンター等)に紹介パンフを置く
③ スタートアップイベント(Fukuoka Growth Next・福岡市主催イベント)への参加
④ 「企業向けオンライン健康セミナー(無料)」でスタートアップ企業との接点を作る


パターン③:北九州 製造業BtoB安定型

対象エリア:北九州市(八幡・戸畑・小倉周辺)
主要ターゲット:30〜55歳の製造業従事者

コンセプト
「北九州のものづくりを支える、工場労働者の身体専門院」。

集客設計
① 日本製鉄・TOTO・安川電機等の工場周辺に立地する
② 総務・安全衛生部門への「腰痛予防セミナー(無料)」提案を月2〜3社実施する
③ 産業医・健康管理士との連携を構築する
④ 「工場の昼休み時間帯(11:30〜13:00)」に予約枠を重点設置する

目標数値(12か月後)

  • 法人契約:3〜5社

  • 月間来院:80〜120名

  • 月間売上:70〜100万円


パターン④:筑後 農業腰痛特化型

対象エリア:久留米市・柳川市・八女市・うきは市
主要ターゲット:40〜65歳の農業従事者

コンセプト
「農家さんの腰と膝を守る、筑後唯一の農業腰痛専門院」。

集客設計
① JA筑後・JA福岡・農協のイベント(農業まつり・農業セミナー)に出展・参加する
② 「農業従事者向け腰痛予防セミナー(無料)」をJAの集会所で開催する
③ 農業用品店・農機具販売店との紹介協定を結ぶ
④ 地域の農業新聞・農家向けコミュニティ誌への記事提供

このパターンは全国的に競合が存在しないに等しいポジション。「農家の整骨院」は一度認知されれば、農村の口コミで急速に広まる。


パターン⑤:現役世代特化 糸島 移住者×スポーツ型

対象エリア:糸島市・福岡市西区
主要ターゲット:30〜45歳の移住者・健康意識の高いファミリー

コンセプト
「糸島ライフをもっと快適に。移住者・アクティブファミリーのための整骨院」。

糸島市は東京・大阪からの移住者が増加中。海・山・農村が揃い、サーフィン・トレイルラン・ヨガ・農業体験を楽しむアクティブ層が多い。

集客設計
① 糸島の移住者コミュニティ(移住者向けSNSグループ・イベント)への参加
② 糸島のサーフショップ・アウトドアショップとの紹介協定
③ 糸島ファーマーズマーケット(伊都菜彩)周辺でのイベント出展
④ Instagram「#糸島 #移住 #ファミリー」タグでのコンテンツ発信


📌 第8章の急所
福岡の勝ちパターン5つはどれもエリアの文化に根ざしている。「博多でインバウンド対応」「薬院でIT特化」「北九州でBtoB」「筑後で農業腰痛」「糸島で移住者」——コンセプトとエリアの「かけ合わせ」が福岡市場の攻略鍵だ。


第9章:結論——福岡で持続する院の条件

9-1. 福岡市場の本質を三行で

福岡は「一つの県名でくくれない多面的な市場」だ。福岡市(若・IT・インバウンド・高自費ポテンシャル)と北九州(工業・高齢化・BtoB)と筑後(農業・低競合)は、別の市場として戦略を設計する必要がある。「福岡だからこの戦略」ではなく「このエリアのこの患者層のためにこの戦略」が出発点だ。

9-2. 今日から動けるアクション

今週(費用0円)

  •  自院のGoogleマップに英語または韓国語の施設説明を1行追加する

  •  自院から半径1kmの競合院をGoogleマップで全件確認し、口コミ数を比較する

  •  月間患者を「高齢者・通勤者・農業・スポーツ・IT」で分類してみる

今月(費用5,000〜20,000円)

  •  口コミ依頼カードを作成・配布を開始する

  •  「自院が最も得意とする症状」をGoogleビジネスプロフィールの「説明文」に明記する

  •  筑後エリアなら近隣のJA・農協に「腰痛予防セミナー提案」の連絡を1件入れる

  •  北九州なら近隣の工場の総務に「健康経営サポート提案」の連絡を1件入れる

9-3. 福岡の整骨院が一番大事にすべきこと

福岡は「人と人のつながり」が密で温かい文化がある。東京や大阪ほどドライではなく、「いい先生だから友達にも紹介したい」という感情が行動に結びつきやすい。

どのエリアでも共通して言えること——患者に「本当に良くなった体験」を提供することが、福岡市場での最強の集客戦略だ。体験が口コミを生み、口コミが院の評判を作り、評判が次の患者を呼ぶ。この循環を作ることが、福岡で持続する院の唯一の条件だ。


まとめ

福岡県の整骨院市場を整理する。

市場の基本スペック

  • 施術所数:2,249院(R4確定値)

  • 競合密度:約43.8院/10万人(全国平均より若干高い)

  • 総人口:約513万人(全国9位)

福岡市場の攻略3原則

  1. エリアで戦略を変える:福岡市(若・IT・インバウンド)・北九州(工業・高齢化)・筑後(農業・低競合)は別市場

  2. 口コミ文化を設計に組み込む:福岡は人の繋がりが集客の最大エンジン

  3. 「誰のための院か」をエリア文化に合わせて決める:インバウンド・農業腰痛・スタートアップのどれかで「ここだけ」のポジションを取る


次回は第8回・愛知県の整骨院マーケット分析をお届けします。


著者プロフィール

著者プロフィール:宮澤 駿
株式会社ピュアグロース ヘルスケア事業本部 本部長

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。

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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。

宮澤駿

この記事の監修者

宮澤 駿ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

株式会社船井総合研究所で12年間、整骨院・治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わり、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を掲げるピュアグロースにて、2026年ヘルスケア事業本部を立ち上げ。

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