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COLUMN

【47都道府県 整骨院マーケットレポート⑥】神奈川県の整骨院市場分析/平均競合密度31院/全国最低水準なのに、横浜の院が苦しい理由

2026.06.01|整骨院マーケットレポート

シリーズについて
このレポートは「47都道府県 整骨院マーケットレポート」シリーズの第6回。ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部が、都道府県ごとの整骨院市場を人口構造・競合密度・エリア特性・勝ちパターンの4軸で徹底分析します。経営判断・出店戦略・差別化設計の実務に直接使えるデータをまとめました。


はじめに:神奈川は「平均値が嘘をつく」市場だ

神奈川県の整骨院競合密度は、約31院/10万人

全国平均が約40院/10万人なので、神奈川は全国で最も競合が少ない部類に入る。大阪(69院)の半分以下、東京(50院)や兵庫(45院)と比べても際立って低い。

「神奈川は競合が少ないから参入しやすいのか?」と聞かれたら、答えはノーだ。

理由は単純で、エリアによって競合密度が3〜4倍異なるからだ。

横浜市内・川崎市内は競合密度50〜70院/10万人に達するエリアが存在する。一方、三浦半島の南端や丹沢・箱根の山間部では20院以下の地域もある。「31院」という数字は、この極端な格差の平均値にすぎない。

つまり神奈川で「どこで開院するか・どんな患者を狙うか」を決めずに「競合が少ないから」と参入すると、気づいたら激戦区の真ん中に立っていた——という事態になりやすい。

このレポートでは「神奈川の平均値に騙されないための地図」を提供する。どこに可能性があり、どこで戦わないべきかを、エリア別・需要別に解剖する。


第1章:神奈川県の人口構造と市場規模

1-1. 基本人口データ

 指標 | 数値 | 備考 
 総人口 | 約924万人 | 全国2位(東京都に次ぐ)
 高齢者人口(65歳以上) | 約238万人 | 高齢化率25.8% 
 生産年齢人口(15〜64歳) | 約586万人 | 構成比63.4% 
 年少人口(0〜14歳) | 約100万人 | 構成比10.8% 

全国2位の人口を誇る神奈川県の最大の特徴は、高齢化率が全国平均(約28.6%)より低いことだ。都市部に若い世代が多く集まる構造により、神奈川は「現役世代が多い市場」として整骨院経営に向いた人口構成を持つ。

逆に言えば「高齢者を中心に診る院」には、他の地方と比べて需要が薄い。現役世代向けの打ち手を持たない院は、神奈川では特に苦しくなる。

主要都市別人口:

 市 | 人口 | 特性 
 横浜市 | 約377万人 | 全国最大政令市・多核分散型 
 川崎市 | 約154万人 | 工業→IT転換・超高密度 
 相模原市 | 約72万人 | 内陸ベッドタウン・自衛隊
 藤沢市 | 約44万人 | 湘南・東京通勤・スポーツ 
 横須賀市 | 約39万人 | 米軍・高齢化・半島 
 平塚市 | 約26万人 | 製造業・湘南西部 
 小田原市 | 約18万人 | 観光・温泉・西湘 

1-2. 生産年齢人口の需要構造

神奈川県の現役世代約586万人は、日本の中でも屈指の規模だ。この層を分解すると:

①東京通勤者層(横浜・川崎・相模原から東京へ)
横浜市・川崎市からの東京通勤者は推計100万人超。東海道線・京浜東北線・小田急線・田園都市線が大量の「電車通勤族」を輩出する。デスクワーク由来の肩こり・腰痛需要は厚く、「駅近・短時間・高単価」モデルが機能しやすい。

②製造業従事者層(川崎・横浜西部・平塚)
川崎市の重工業・化学工業、横浜市の自動車・造船、平塚市のゴム・化学。製造業就業者は約20万人規模。腰痛・肩こり・手首疾患の職業的需要が安定している。

③IT・クリエイティブ層(横浜みなとみらい・川崎・相模原)
横浜みなとみらいのIT企業集積は近年急速に拡大。川崎市(富士通・東芝・NEC)も大企業が多い。長時間PCワーク由来の眼精疲労・頸肩腕症候群・腰痛は、単価の高い自費施術で解決できる。

④スポーツ・アウトドア人口(湘南・相模原・丹沢)
湘南エリアはサーフィン・マリンスポーツ・トライアスロン・ランニングの聖地。相模原・津久井エリアはハイキング・トレイルランの人気エリア。アクティブ系のスポーツ障害・コンディショニング需要は神奈川が全国でも特に高い。

1-3. 市場規模推計

 指標 | 数値 
 施術所数(R4確定値) | 2,846院 
 推計年間市場規模 | 約3,415〜4,098億円 

全国2位の人口に対して施術所数が2,846院というのは、東京(推計7,400院超)や大阪(推計6,075院)と比べると明らかに少ない。この「供給が人口に追いついていない」構造が、神奈川の整骨院市場が持つポテンシャルだ。


📌 第1章の急所
神奈川は人口924万人(全国2位)に対して施術所2,846院(全国平均より少ない)という「需要超過気味」の構造。ただし横浜・川崎の都市部に供給が集中し、郊外・半島部は医療資源が薄い。高齢化率が低く、現役世代向けの戦略が神奈川では特に重要になる。


第2章:施術所数・競合密度の実態

2-1. 神奈川県の競合密度

 指標 | 神奈川県 | 全国平均 
 施術所数(R4確定値) | 2,846院 | — 
 柔道整復師数(R4) | 5,856人(全国3位) | 78,827人 
 競合密度 | 約31院/10万人 | 約40院/10万人 
 人口 | 約924万人(全国2位) | — 

全国3位の柔道整復師数を持ちながら、競合密度は全国平均を大きく下回る約31院/10万人。この数字が意味するのは「神奈川は師数が多いが、1施術所あたりの施術者数が多い(大規模施設が多い)」可能性だ。

2-2. エリア別競合密度(推計)

 エリア | 推計競合密度 | 特性 
 横浜市中心部(西区・中区) | 60〜75院/10万人 | 超高密度・ビジネス×観光 
 川崎市中心部(川崎区・幸区) | 55〜70院/10万人 | 工業×都市混在 
 横浜市郊外(旭区・緑区・保土ヶ谷) | 35〜50院/10万人 | ベッドタウン安定 
 湘南(藤沢・茅ヶ崎・鎌倉) | 30〜45院/10万人 | スポーツ×観光混在 
 相模原市 | 25〜40院/10万人 | ベッドタウン×基地 
 横須賀・三浦エリア | 20〜30院/10万人 | 高齢化・米軍・低競合 
 小田原・西湘エリア | 15〜25院/10万人 | 観光×農業・低競合 
 箱根・丹沢周辺 | 5〜15院/10万人 | 極低競合・高齢化 

横浜中心部と箱根周辺では競合密度が10倍以上異なる。これが「平均31院」という数字の裏にある実態だ。

2-3. 「競合密度が低い」ことの本当の意味

神奈川の競合密度が低い理由を考えると、戦略のヒントが見える。

神奈川は東京と比べて「通過型」の性格が強い。横浜・川崎から東京へ通勤する人が多く、整骨院も「東京で探す・受診する」パターンがある程度存在する。特に症状が重い場合や専門院を求める場合、都心への受診に抵抗感が低い。

裏を返せば、神奈川に住んでいる患者を東京に流出させない「地元定着率」の勝負が、神奈川の整骨院経営の鍵になる。「地元の院で完結できる体験・技術・専門性」を持つ院が、患者を取り戻せる。


📌 第2章の急所
神奈川の競合密度31院/10万人という数字に油断しない。横浜中心部は70院超の激戦地帯で、これは大阪水準だ。「平均が低いから競合が少ない」という解釈は危険。エリアを選び、患者の「東京流出」を防ぐ専門性を持つことが神奈川攻略の基本だ。


第3章:エリア別市場分析

3-1. 横浜市エリア

人口377万人・18区から成る横浜市は「一つの市」ではなく、複数の異なる市場が同居する巨大都市だ。

横浜駅・西区・中区(ビジネス×観光複合型)
横浜駅は1日の乗降客数が約200万人。みなとみらい・中華街・関内・桜木町が集積する横浜中心部は、オフィスワーカーと観光客が大量に行き交う。競合密度は高いが、ランチタイム・退勤後の施術需要は厚い。

インバウンド観光客(中華街目当ての訪日客)の疼痛ケア需要は、英語・中国語対応の院にとって追加の収益機会だ。

横浜郊外(青葉区・都筑区・港北区)
田園都市線・東急東横線が通る横浜北東部は、都内への通勤利便性が高い高所得ファミリーが集まるエリア。たまプラーザ・センター北・新横浜周辺は整骨院の高単価自費化に向いた消費文化がある。

子どものスポーツ障害・産後骨盤・夫婦ともに通える院という「家族需要」に応える設計が、このエリアでは有効だ。

横浜南部(戸塚区・泉区・瀬谷区・旭区)
横浜市内でも高齢化が進む南西部。競合密度は中心部より低く、「地域かかりつけ院」を目指しやすい。保険施術中心だが、近年の保険適正化の波に備えた自費化準備が急務だ。

3-2. 川崎市エリア

「工業都市」というイメージが先行するが、現在の川崎市は日本最先端の「IT・テクノロジー集積都市」へ変容中だ。

川崎市内(川崎区・幸区)
臨海部の重工業・化学工業地帯は工場労働者が依然として多い。同時に内陸部(高津区・宮前区)はIT企業と高所得ファミリーが集積する。川崎市は「製造業BtoB」と「IT・ビジネス高単価」の両方が狙えるという独自性を持つ。

川崎市の昼間人口は夜間人口を上回り、東京からの通勤者流入も多い。ランチタイム・退勤後の需要は横浜に匹敵する。

川崎市北部(多摩区・麻生区)
小田急線が通る多摩・麻生エリアは、高所得・文化的消費意識の高いファミリーが多い。向ヶ丘遊園・新百合ヶ丘周辺は整骨院の自費化に向いた消費文化がある。

3-3. 湘南エリア(藤沢・茅ヶ崎・鎌倉・平塚)

神奈川の中で最も独自の「マーケット文化」を持つのが湘南エリアだ。

スポーツ・アウトドア文化の厚さ
湘南は日本のサーフィン文化発祥地。サーフィン・ウィンドサーフィン・トライアスロン・ビーチバレー・ランニング人口が全国屈指の密度で集まる。

「スポーツのできる身体を維持したい」「競技パフォーマンスを上げたい」という自費施術に積極的な患者層が多く、神奈川で最も自費化しやすいエリアだ。

鎌倉の観光×高所得住宅地
鎌倉は日本有数の観光地でありながら、高所得の移住者・第二の家ユーザーが増加している。観光客の施術需要と地域住民の長期通院需要が共存する。インバウンド対応(英語対応)ができれば、欧米系観光客という単価の高い患者層が取り込める。

茅ヶ崎・平塚(製造業×湘南文化)
平塚は製造業(横浜ゴム・東芝等)の工場が集積する。製造業従事者と湘南スポーツ文化の両方を持つこのエリアは、「BtoB産業保健」と「スポーツコンディショニング」の両方が狙える珍しい市場だ。

3-4. 相模原エリア

相模原市(約72万人)は横浜・東京への通勤者が多い内陸ベッドタウンだ。加えて陸上自衛隊・在日米軍(キャンプ座間・相模補給廠)の関連人口が一定数存在する。

自衛隊・米軍関連の特需
自衛隊員は身体への負荷が高く、整骨院需要が強い。米軍基地内には院を開設できないが、基地周辺の民間整骨院に米軍関係者が通う文化がある。英語対応と料金の透明性(クレジットカード対応含む)があれば、高単価な外国人患者を取り込める可能性がある。

競合密度は推計25〜40院/10万人と全国平均以下。横浜・川崎より競合が少なく、「相模原で専門性を磨く」戦略は現実的だ。

3-5. 横須賀・三浦エリア

戦略的急所——神奈川で最も「隙」のあるエリア

横須賀市(約39万人)・三浦市(約4万人)の半島エリアは、神奈川の中で最も高齢化が進んでいる。横須賀市の高齢化率は34%超(2024年推計)で、神奈川平均(25.8%)を大きく上回る。

競合密度は推計20〜30院/10万人。全国平均を下回り、神奈川内では最も競合が少ない「空白地帯」に近いエリアだ。

在日米軍(横須賀海軍基地)の存在は英語対応院に追加的なチャンスを与える。艦隊勤務の軍人・軍属は身体的負荷が高く、整骨院需要が強い。

「競合が少ない×高齢化需要×米軍特需」の三重構造が、横須賀・三浦エリアを神奈川の「隠れた急所」にしている。

3-6. 小田原・西湘エリア

小田原市を中心とした西湘エリアは、箱根観光・農業・温泉という「リゾート&農村」の性格を持つ。競合密度は推計15〜25院/10万人で、神奈川内では最低水準だ。

小田急ロマンスカーで東京・横浜からアクセスしやすく、週末移住者・別荘利用者の存在もある。観光客向けの施術需要と農業従事者・高齢者需要が共存する。


📌 第3章の急所
神奈川の6エリアで最も「勝ちやすい」のは横須賀・三浦(低競合×高齢化×米軍特需)と湘南(スポーツ自費化)。横浜・川崎の中心部は激戦で、初期投資とブランド構築の覚悟が必要。相模原は「静かに堅実に戦えるエリア」だ。


第4章:高齢者需要の分析

4-1. 神奈川の高齢者市場

 指標 | 数値 
 高齢者人口 | 約238万人 
 高齢化率 | 約25.8%(全国平均28.6%より低い) 
 前期高齢者(65〜74歳) | 約119万人 
 後期高齢者(75歳以上) | 約119万人 

神奈川の高齢者は238万人と絶対数は大きいが、高齢化率が低いために「高齢者依存型の経営」は神奈川では特に危険だ。現役世代への転換を考えずに高齢者一辺倒でいると、患者の高齢化と保険適正化の二重パンチで経営が圧迫される。

4-2. 横須賀・三浦の高齢者特需

前述の通り、横須賀市の高齢化率34%超は神奈川内で突出している。この地域では高齢者向け整骨院が地域インフラとして機能しうる。

「週2〜3回通院する高齢者」をしっかり受け入れる院は、横須賀エリアで安定した経営基盤を作れる。競合が少ない分、「地域で唯一知られた院」になるまでの時間も短い。

4-3. 「保険+自費」移行の現実的手順

神奈川の高齢者患者に自費を導入する際の最大の障壁は「東京・横浜的な消費文化」だ。首都圏の消費者は「価値が見えれば払う」が、「なんとなく高い」には強い抵抗を示す。

高齢者向け自費化の現実的ステップ:

① 「施術前後のビフォーアフター」を必ず見せる(写真・数値・体感で)
② 「保険施術で取れる部分」と「取れない部分」を丁寧に説明する
③ 「お試し自費メニュー」(1,500〜2,000円)から始め、効果で積み上げる
④ 月次の「健康通信(ニュースレター)」でリピートの動機を作る

高齢者への突然の高単価提示は離患のリスクが高い。小さな自費体験を積み上げながら信頼関係を構築する。


📌 第4章の急所
神奈川は高齢化率が低く、高齢者依存経営の安定性が他県より低い。「高齢者で安定、現役世代で成長」の二層設計は神奈川では特に重要。横須賀・三浦だけは例外で、地域の高齢化率が突出して高く、高齢者特化型の経営が成立しやすい。


第5章:生産年齢人口(現役世代)需要の分析

5-1. 神奈川の現役世代3大ターゲット

神奈川の現役世代約586万人は日本でも最大規模の一つだ。この層への訴求が神奈川攻略の核心を占める。

ターゲット①:東京通勤者(横浜・川崎・相模原・藤沢)

神奈川最大の現役世代需要層。東海道線・横須賀線・小田急線・田園都市線で東京に通勤する会社員は推計100万人超。

この層の特徴:

  • 平日は東京のオフィスで過ごすため、通院は帰宅ルートの駅近院が最有力

  • 症状が軽ければ「帰り道で5分立ち寄る」感覚で使える院を好む

  • 土日にじっくり通う「週末通院」パターンも一定数ある

帰宅導線の設計が生命線
横浜・川崎・溝の口・たまプラーザ・藤沢・本厚木——東京からの帰宅途中の乗換え駅・終着駅周辺に立地する院は、通勤者の帰宅動線を集客に使える。

「今日疲れたな」「肩こりが限界だな」と感じた帰宅途中に、駅から徒歩2分以内の整骨院に飛び込む——この行動を設計できる院が、通勤者需要を取り込める。

実行のポイント

  • 夜20〜21時まで対応(通勤者の帰宅時間に合わせる)

  • 当日予約対応(LineやネットでのLast-minute予約)

  • 「短時間で効く」施術コース(30〜45分)の設定

ターゲット②:湘南スポーツ人口

神奈川の最大のセグメントかつ最高単価が期待できる現役世代需要だ。

サーフィン:湘南海岸の波乗り人口は全国最多水準。腰・膝・肩・手首への負荷が大きく、コンディショニング需要は通年で安定している。

トライアスロン・デュアスロン:江の島周辺はトライアスロン大会の定番会場。3種目にまたがる競技は身体への複合的な負荷をかけ、整骨院との親和性が高い。

湘南国際マラソン:年間参加者約2万人。江の島周辺を走る大会で、ランニング人口の象徴的なイベントだ。

ビーチバレー・テニス:湘南・鎌倉エリアのビーチ・テニスコート愛好者も多く、肩・手首・足首の外傷需要がある。

スポーツ人口のニーズは「競技継続・パフォーマンスアップ」。自費施術の高単価に最も抵抗感が低い層で、8,000〜15,000円/回の施術も「結果が出れば」受け入れる。

ターゲット③:川崎・横浜みなとみらいのIT・ビジネス専門職

横浜みなとみらいにはDeNA・LINE(LINEヤフー)・日産など大企業が集積。川崎市には富士通・東芝・NEC・KDDIが拠点を持つ。

この層は:

  • 平均年収が高く、健康投資への意識が高い

  • 長時間のPC作業由来の眼精疲労・頸肩腕症候群

  • 「科学的根拠に基づく説明」「データで見える改善」を好む

説明を重視し、「なぜその施術が効くか」を論理的に話せる院施術者と相性が良い。感覚的な「気持ちいい」だけでなく「身体の仕組みとして理解できる」施術説明が武器になる。

5-2. 神奈川の「高齢者で安定、現役世代で成長」設計

 層 | 比率目標 | 役割 
 高齢者(保険+小額自費) | 40〜50% | 安定基盤・毎月の固定売上 
 通勤者(中単価自費) | 30〜40% | ボリューム×継続 
 スポーツ・専門職(高単価自費) | 20〜30% | 単価アップ・口コミ源 

神奈川の高齢化率が低い分、「現役世代の比率を他県より高く設定する」のが正しい設計だ。東京通勤者とスポーツ人口を取り込むことで、高齢化率の低さをカバーできる。


📌 第5章の急所
神奈川の現役世代需要は「東京通勤者(帰宅動線型)」「湘南スポーツ人口(高単価自費)」「IT・ビジネス専門職(論理型)」の三角形。全国でも独自性が高い市場で、この3層を理解して設計した院が神奈川を制する。


第6章:競合環境の実態と差別化

6-1. 神奈川の競合院タイプ

 タイプ | 体感比率 | 特徴 
 ①保険中心・地域固定型 | 約40% | 古参院・横須賀・小田原多い 
 ②駅近・広告依存型 | 約30% | 横浜・川崎の競合密度高いエリア 
 ③湘南スポーツ特化型 | 約10% | 藤沢・茅ヶ崎・鎌倉周辺 
 ④IT・高単価自費型 | 約5% | みなとみらい・川崎北部 
 ⑤複合型(自費転換済み) | 約15% | 全エリアに分散 

6-2. 神奈川で「刺さる差別化」の3軸

軸①:スポーツ専門性(湘南・相模原)
サーフィン障害・トライアスロン・マラソンランナーの専門院。このポジションは全国的にも希少で、一度確立すれば口コミが県外にまで広がる。「湘南サーファーが通う整骨院」というブランドは院のメディア露出にもつながる。

軸②:通勤者向け効率設計(横浜・川崎・藤沢の駅近)
「夜8時以降対応・当日予約・30分完結」の利便性設計。施術技術だけでなく「予約のしやすさ・待ち時間ゼロ・退勤後に寄りやすい」という体験設計が競合と差別化する。

軸③:地域唯一院(横須賀・三浦・小田原周辺)
競合密度の低いエリアでポジションを確立する。「この地域でここしかない」という希少性は最強の差別化だ。特に農業・漁業・観光業の特性に合わせた施術特化(農業腰痛・漁師の肩・観光客ケア)をうたえば、地域での認知は早い。

6-3. 神奈川でやってはいけない「失敗パターン」

横浜中心部で「何でもやります型」で開院する
横浜駅周辺・みなとみらい周辺は競合が密集している。ここで「肩こり・腰痛・骨盤・スポーツ・交通事故・美容」と並べても、患者には何も刺さらない。全ての競合と戦うことになり、選ばれる理由がない。

湘南でスポーツを無視して保険中心に経営する
湘南エリアで保険中心院を開く判断は戦略的に「もったいない」。自費化のポテンシャルが最も高いエリアで、低単価の勝負をする必要はない。


📌 第6章の急所
神奈川の差別化は「スポーツ専門性」「通勤者向け効率設計」「地域唯一院」の3軸のどれかを取ること。全ての軸を同時に狙うと全て中途半端になる。1軸で「神奈川内でここだけ」と言えるポジションを目指す。


第7章:集客チャネルの現実

7-1. 神奈川の集客で「何から手を付けるか」

神奈川の整骨院経営者と話すと「集客に何をすれば良いかわからない」という声をよく聞く。選択肢が多すぎて、どこから始めるべきかが見えない状態だ。

順番をシンプルに整理する。

集客の優先順位(神奈川版)

Googleマップ(MEO)最適化:今すぐ・費用ほぼ0円
口コミ紹介設計:今すぐ・費用0円
Instagram/YouTube発信:今月から・費用時間のみ
ホームページSEO:3か月かけて・月3〜5万円
スポーツ/地域団体との協定:3〜6か月かけて・費用時間
ポスティング:郊外・競合密度が低いエリアのみ

この順番を守ることが「お金と時間を無駄にしない」最善策だ。①②は費用がかからないにもかかわらず、やっていない院が多い。

7-2. 神奈川特有の集客チャネル

①湘南スポーツコミュニティへのアプローチ
湘南エリアの院にとって最強の集客チャネルは「スポーツコミュニティとの接点」だ。具体的には:

  • サーフショップ・ダイビングショップとの紹介協定

  • 地域ランニングクラブへの「スポーツ障害予防ミニセミナー」提供

  • トライアスロンイベントのメディカルブース出展

SNS(特にInstagram)でサーフィン・ランニング・トライアスロンタグを使ったコンテンツを投稿すると、湘南スポーツ人口に効率よくリーチできる。「#湘南サーフィン」「#江の島マラソン」「#湘南トライアスロン」は投稿に必ず入れる。

②通勤者へのGoogleマップ×SNS連携
通勤者が整骨院を探す行動を再現する。

「駅降りた→スマホ出す→Google Maps で『整骨院 横浜 夜遅い』と検索→マップ上位の院を選ぶ」

ここでGoogleマップ評価が高く・写真が充実していて・夜間対応が明記されている院が選ばれる。「夜21時まで」「当日予約可」の情報はGoogleビジネスプロフィールに明記するだけで集客力が上がる。

③口コミが速く広がる「職場コミュニティ」
横浜・川崎のオフィス街に通勤する人は「職場での口コミ」でサービスを選ぶ傾向が強い。一人の社員が「近くの整骨院が最高だった」と話すと、同僚へ伝播しやすい。

「職場の人を連れてきたら次回割引」という紹介制度は、このコミュニティ文化に合っている。一人の患者を通じて同じ会社の同僚が3〜5人流入するケースが実際に起きる。

④横須賀・小田原の地域密着型広報
競合が少ないエリアでは「地域に知ってもらうこと」自体が集客になる。具体的には:

  • 地域の回覧板・自治会報への広告

  • 地域の農協・商工会のイベントへの参加

  • 地元小学校・中学校の保護者会でのスポーツ障害予防講座

都市部的なデジタル集客より「顔が見える地域コミュニティへの参加」の方が郊外・半島部では効果が出やすい。


📌 第7章の急所
神奈川の集客は「エリアによって最適チャネルが変わる」。湘南はスポーツコミュニティSNS、横浜川崎は帰宅動線Googleマップ、横須賀小田原は地域密着型対面。どのエリアでも①MEO ②口コミ設計は最初にやること。


第8章:神奈川県の勝ちパターン5選

パターン①:湘南サーファー×スポーツコンディショニング特化型

対象エリア:藤沢市・茅ヶ崎市・鎌倉市・逗子市
主要ターゲット:20〜40代のサーファー・トライアスリート・マラソンランナー

コンセプト
「湘南でスポーツを続けるために。サーフィン・トライアスロン・マラソン専門の整骨院」。完全自費・完全予約制・1回8,000〜15,000円。

集客設計
① Instagramで「サーフィン×肩障害の予防法」「トライアスロン×膝ケア」などのReels動画を発信
② 藤沢・茅ヶ崎のサーフショップ(5〜10店舗)と紹介協定を結ぶ
③ 湘南国際マラソンのメディカルスタッフとして参加し、認知を高める
④ 「スポーツ障害予防セミナー(無料)」をトライアスロンクラブで実施

目標数値(12か月後)

  • 月間新患:15〜25名

  • 平均単価:10,000円

  • 月間売上:100〜150万円(完全自費)


パターン②:横浜・川崎 帰宅動線特化型

対象エリア:横浜駅・川崎駅・武蔵小杉・溝の口・たまプラーザ(各駅徒歩3分以内)
主要ターゲット:30〜50代の東京通勤者(デスクワーカー)

コンセプト
「帰り道に寄るだけ。夜21時まで、当日予約可、30分で肩こり・腰痛リセット」。

集客設計
① Googleマップ口コミを3か月で30件超へ(MEO強化)
② 「LINE予約・当日対応可」を前面に打ち出す(ホームページ・マップ共に)
③ 夕方17〜21時の予約枠を重点的に確保する
④ 初診患者に「職場同僚紹介カード」を渡す(初回割引付き)
⑤ Instagramで「デスクワーカーの○○改善法」シリーズを月4本投稿

目標数値(6か月後)

  • 月間新患:20〜30名

  • 平均単価:6,000〜8,000円

  • 月間売上:80〜120万円


パターン③:横須賀 地域唯一院×米軍対応型

対象エリア:横須賀市・三浦市
主要ターゲット:60〜75歳の地域高齢者・在日米軍関係者

コンセプト
「横須賀に根を張る、地域のかかりつけ院。英語対応可」。

集客設計
① 地域の民生委員・福祉関係者・自治会に院の存在を知ってもらう(挨拶回り)
② 地域の整形外科・内科との連携・紹介関係を構築する
③ 英語でのサービス案内(Googleマップの英語説明・英語メニュー表)を整える
④ 横須賀米軍ゲート近くに院内POPとチラシを配布(英語版)
⑤ 高齢者向け「転倒予防・腰痛予防セミナー(無料)」を地域センターで開催

目標数値(12か月後)

  • 月間来院患者:60〜100名(固定患者中心)

  • 月間売上:50〜70万円(安定した地域需要)


パターン④:鎌倉・逗子 高所得移住者×完全自費型

対象エリア:鎌倉市・逗子市・葉山町
主要ターゲット:35〜55歳の高所得移住者・デュアルライフ実践者

コンセプト
「鎌倉ライフに合わせた、プレミアム整骨院。治すだけでなく、整えるために通う院」。

鎌倉・逗子・葉山は近年、東京都心から移住する高所得者・クリエイター・経営者が増加している。「週3回都内に行き、残り4日は鎌倉で仕事・サーフィン・散歩」というライフスタイルを持つ層が増えている。

収益設計

  • 施術料:10,000〜18,000円(完全自費)

  • 月次メンテナンスプラン:月2〜4回 月3〜6万円

  • 対象:姿勢改善・全身コンディショニング・産後ケア・スポーツ障害

集客設計
① Instagram・Notionでの「鎌倉ライフ×身体ケア」コンテンツ発信
② 鎌倉・逗子の人気カフェ・ヨガスタジオとの紹介協定
③ 地域の移住者コミュニティへの参加(移住者向けイベント・マルシェ)


パターン⑤:現役世代特化 川崎IT企業 BtoB産業保健型

対象エリア:川崎市(武蔵小杉・溝の口・川崎駅周辺)
主要ターゲット:IT企業・大手製造業の従業員

コンセプト
「企業の健康経営をサポートする、IT・製造業専門の整骨院」。法人契約で安定集客基盤を作る。

集客設計
① 川崎市の法人向け健康経営サービスのリストに登録する
② 富士通・東芝・NECなど大企業の近隣院として「従業員向け施術優待プログラム」を提案
③ 「腰痛予防・眼精疲労対策のオフィスセミナー(無料)」を企業の総務部門に提案
④ 武蔵小杉周辺の共働きファミリー(産後骨盤・スポーツ障害)も取り込む複合モデルに

目標数値(12か月後)

  • 法人契約:3〜5社

  • 個人患者:月40〜60名

  • 月間売上:80〜120万円


📌 第8章の急所
神奈川の勝ちパターンに共通するのは「誰に・何を・なぜここで」の具体性。「湘南でサーフィン障害を診る院」「横浜帰宅動線の夜間院」「横須賀の英語対応地域院」——名前だけで患者像が浮かぶコンセプトを持った院が選ばれる。


第9章:結論——神奈川で持続する院の条件

9-1. 神奈川市場の本質を三行で

神奈川は「平均競合密度が低いのに、選んだエリアで難易度が10倍変わる」市場だ。平均値で安心するのではなく、目指すエリアの実態競合密度で判断する。現役世代・スポーツ人口・通勤者の層が全国でも特に厚く、自費化のポテンシャルは高い。

9-2. 今日から動けるアクションリスト

今週(費用0円)

  •  Googleマップを開いて「自院の競合半径1km以内の整骨院数」を数える

  •  競合院のGoogleマップ口コミを5件読んで「患者が感謝していること」を把握する

  •  自院の月間来院患者を「高齢者・現役・スポーツ」で分類してみる

  •  自院のGoogleマップ写真が10枚以上あるか確認する(なければ追加する)

今月(費用3,000〜10,000円)

  •  「口コミ依頼カード」を作り、施術後に全患者に渡す習慣をつける

  •  Instagramのプロフィールに「何の専門院か」を明記する

  •  湘南エリアなら近隣スポーツ施設(サーフショップ・ジム)1件に挨拶に行く

  •  横浜・川崎なら夜間対応をGoogleビジネスプロフィールに明記する

3か月(月3〜5万円以内)

  •  Googleマップ口コミ月3〜5件のペースで獲得する施策を継続

  •  SNS発信を月4本以上続ける(エリアの患者が検索しそうなキーワードを意識)

  •  自費メニューを1つ作り、初診患者全員に案内する

  •  月間売上の保険・自費比率を記録し始める

9-3. 神奈川の整骨院が「今すぐ変えるべき1つのこと」

神奈川の多くの院が変えるべき最優先のことは何かと聞かれたら、迷わずこう答える。

「誰のための院かを決める」こと。

「近隣の人なら誰でも」では、東京通勤者に選ばれない。「肩こり・腰痛・何でも」では、湘南のサーファーに選ばれない。

コンセプトを決めることへの恐れは「絞ると患者が減る」という思い込みから来ている。実際は逆だ。絞ると「この症状はここへ行けばいい」という認知が地域に広まり、紹介が起きやすくなる。

神奈川の924万人の人口の中に、あなたの院が「最高の選択肢」になれる患者は必ずいる。その患者像を明確にして、その人に向けて院を設計する。これが神奈川攻略の唯一の入り口だ。


まとめ

神奈川県の整骨院市場を整理する。

市場の基本スペック

  • 施術所数:2,846院(R4確定値)

  • 競合密度:約31院/10万人(全国平均40院を大幅下回る)

  • 柔道整復師数:5,856人(全国3位)

  • 総人口:約924万人(全国2位)

神奈川市場の攻略3原則

  1. 平均値を信じない:全体30院/10万人でも、横浜中心部は70院超。エリアの実態密度で戦略を立てる

  2. 現役世代を主役に:高齢化率が低い神奈川では「東京通勤者・スポーツ人口・IT専門職」が成長の主力

  3. コンセプトで選ばれる院を作る:「誰のための院か」を決めることが、神奈川で患者に選ばれる唯一の方法


次回は第7回・埼玉県の整骨院マーケット分析をお届けします。


著者プロフィール

著者プロフィール:宮澤 駿
株式会社ピュアグロース ヘルスケア事業本部 本部長

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。

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本レポートはR4衛生行政報告例(厚生労働省)確定データ・各種公開統計および業界調査をもとに執筆しています。

宮澤駿

この記事の監修者

宮澤 駿ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

株式会社船井総合研究所で12年間、整骨院・治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わり、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を掲げるピュアグロースにて、2026年ヘルスケア事業本部を立ち上げ。

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