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COLUMN

【47都道府県 整骨院マーケットレポート③】京都府の整骨院市場分析

2026.05.27|整骨院マーケットレポート


はじめに――「観光と伝統と大学の街」が持つ独特の整骨院市場

京都府は、観光・伝統産業・大学という3つの顔を持つ特異な都市圏だ。

年間5,000万人超が訪れる「世界的観光地」であり、同時に立命館大学・同志社大学・京都大学など国内屈指の大学集積地でもある。さらに西陣織・京友禅・清水焼といった伝統工芸の職人が今も現役で働く「ものづくりの聖地」でもある。

こうした多層的な産業構造は、整骨院市場に対しても固有の需要構造を生み出している。

一方で、京都府は「南北問題」とも言える地域格差を抱えている。京都市を中心とする山城エリアは競合密度が高く成熟した市場だが、府北部の丹後・中丹エリアは人口過疎・高齢化・医療資源不足が深刻な「整骨院空白地帯」だ。

このレポートでは、京都府の市場を南北の二重構造として捉え、エリアごとの機会と戦略を明らかにする。


第1章 京都府の基本プロフィール——人口構造と地域特性

人口・世帯数の現状

京都府の総人口は約257万人(令和5年推計)。人口は減少傾向が続いており、令和元年に260万人を割り込んだ後も緩やかに減少中だ。

総人口 | 約257万人(令和5年推計) 
世帯数 | 約119万世帯 
65歳以上(高齢化率) | 約29.5%(全国平均とほぼ同水準) 
生産年齢人口比率(15〜64歳) | 約58% 
京都市人口 | 約145万人(府全体の約56%)
市部人口 | 約219万人 
郡部人口 | 約38万人 

特筆すべきは府北部(丹後・中丹エリア)の急激な高齢化だ。宮津市・京丹後市・綾部市などでは高齢化率が40%を超える地域もあり、「医療・ケアへのアクセス不足」が深刻な社会課題になっている。

生産年齢人口の特性

京都府の生産年齢人口は約149万人(推計)。この層に特有の整骨院需要として注目すべき3つの層がある。

① 大学生・若年就労者(18〜29歳)
京都府には大学・短大が約60校(全国有数の集積)あり、学生人口は約10万人超。この層はスポーツ障害・部活・格闘技系需要が高く、若年層の「整骨院デビュー」を促す機会がある。就職後にそのまま通院継続してもらうことで、LTVの高い患者層に育てられる。

② 観光・サービス業従事者(20〜50代)
ホテル・旅館スタッフ、飲食業従事者、観光案内業など——肉体的負荷の高い仕事を抱える現役世代だ。立ち仕事・接客業の職業性腰痛・下肢疲労は整骨院の安定した需要層になる。

③ 伝統工芸職人(30〜60代)
西陣織の機織り作業による腱鞘炎・肩こり、陶芸・漆器の制作による腰痛・頸部障害——伝統産業に従事する職人の身体的ニーズは非常に高く、かつ競合院が少ないニッチ市場だ。


【急所①】
京都府の市場は「南北で別の市場」として設計する必要がある。
京都市圏は競合密度が高く差別化が必須。
府北部(丹後・中丹)は需要はあるが院が少なく、先行者が圧倒的に有利な空白地帯だ。


第2章 施術所数と競合密度——「京都市集中」の競合構造

公式データと施術所数の推計

厚生労働省「衛生行政報告例(令和4年)」によれば、京都府の就業柔道整復師数は2,116人(全国78,827人中・全国6位相当)。

全国の師数と施術所数の比率から推計すると:

京都府施術所数推計:約1,340院

競合密度:約52院/10万人(全国平均40院を上回る)

エリア別競合密度の実態

京都府全体の数字よりも重要なのは、エリアごとの格差だ。

エリア | 主要都市 | 推計人口 | 推計施術所数 | 推計競合密度 
京都市 | 京都市 | 約145万人 | 約750院 | 約52院/10万人 
山城南部 | 宇治市・城陽市・木津川市 | 約60万人 | 約300院 | 約50院/10万人
丹波 | 亀岡市・南丹市 | 約15万人 | 約70院 | 約47院/10万人 
中丹 | 福知山市・舞鶴市・綾部市 | 約20万人 | 約70院 | 約35院/10万人 
丹後 | 宮津市・京丹後市・与謝郡 | 約10万人 | 約20院 | 約20院/10万人 

丹後エリアの競合密度は約20院/10万人——全国平均の半分以下だ。

府北部は人口が少ないとはいえ、高齢化率40%超の地域が点在しており、整骨院のコアターゲット(高齢者・農業従事者)が集中している。それでも整骨院がほとんどない。これが府北部の最大の市場特性だ。


【急所②】
京都市・山城は競合密度50院/10万人超の激戦区。
一方、丹後エリアは20院/10万人以下の「整骨院砂漠」。
同じ「京都府」でも、南北で全く異なる戦略が必要だ。


第3章 京都府特有の3大市場特性

特性① 観光都市特需——「歩き疲れた外国人」まで患者になる

京都府(特に京都市)は年間5,000万人超の観光客が訪れる世界的観光地だ。

整骨院の観点で注目すべき観光需要は3種類ある。

a. 観光客の急性症状
金閣寺・清水寺・嵐山を1日中歩き回った観光客の足底筋膜炎・膝痛・腰痛の急性期対応。特に「歩きすぎて明日動けない」状態になる観光客は一定数存在し、ホテルコンシェルジュからの紹介で来院するパターンが現実に起きている。

b. 外国人在住者・留学生
京都市内に在住・留学する外国人は約4万人。日本語・医療制度への不安から、英語・多言語対応の医療機関を強く求めている。英語対応可能な整骨院は需要に対して圧倒的に少なく、差別化の余地が大きい。

c. 観光・宿泊業従事者
宿泊施設だけで京都市内に1,000施設超、飲食店は全国でもトップクラスの密度を誇る。この業種の従業員(立ち仕事・重い荷物運搬)の職業性疾患は、安定した患者層を形成する。宿泊施設・飲食グループとの法人契約は有効な集患手段だ。

特性② 大学都市特需——「学生×部活×就職後継続」の長期患者育成

京都府内の大学・短大は約60校、学生人口は10万人超(全国3〜4位水準)。

この層は以下の理由で整骨院にとって戦略的に重要だ。

  • スポーツ障害の高発生率:体育会系部活・サークル活動による膝・肩・腰の傷害

  • 長期定着の可能性:学部4年+院2年の最大6年間、同エリアに居住

  • 就職後の継続通院:京都系企業に就職した学生が整骨院通院習慣を持ち越す

  • SNS発信力:Instagram・TikTokでの口コミ発生源になりやすい

特に同志社大学(今出川・京田辺キャンパス)・立命館大学(衣笠・BKC)・京都産業大学(北区)周辺の整骨院は、学生層の集患を主力に据えた経営モデルが成立しやすい。

特性③ 伝統産業×職人需要——競合がほぼいないニッチ市場

西陣織・京友禅・清水焼・京漆器——これらの伝統産業に従事する職人の多くが、慢性的な職業性疾患を抱えている。

  • 西陣織の機織り:腱鞘炎・肩関節周囲炎・頸部障害

  • 陶芸(ろくろ作業):腰痛・膝関節痛

  • 京友禅(染色・刺繍):腱鞘炎・眼精疲労に伴う頭痛

この層の特徴は「仕事が身体を壊している自覚があるが、病院に行く時間がない」という状態だ。職場近くに信頼できる整骨院があり、早朝・夕方の時間帯に対応してもらえれば、継続通院率が非常に高い。

伝統産業組合・職人向けコミュニティとの提携は、競合がほぼいないブルーオーシャンの集患チャネルだ。


【急所③】
京都府の3大特需:
①観光×外国人(ホテル紹介・英語対応で差別化)
②大学生(スポーツ障害から長期患者へ育てる)
③伝統職人(ニッチ高継続率・競合ゼロに近い)
この3つは京都市内限定の需要。府北部は別の需要構造で戦う。


第4章 主要プレイヤー分析——京都市の競合構造と府北部の空白

京都市内の競合構造

京都市内(約145万人・推計750院)は、競合密度が約52院/10万人と全国平均を上回る競争環境だ。

特に人口密度・商業集積が高い以下のエリアは院が集中している。

 エリア | 特性 | 競合状況 
 河原町・烏丸周辺 | 繁華街・ターミナル | 高密度競合 
 京都駅周辺 | 交通の要所・観光玄関 | 高密度競合 
 伏見区(伏見桃山・竹田) | 住宅密集・地域密着 | 中程度 
 右京区(嵐山・太秦) | 観光×住宅 | 中程度 
 北区・左京区(大学周辺) | 学生・研究者多 | 中程度 
 西京区・山科区 | ベッドタウン | 比較的少ない 

山城南部(宇治・城陽・木津川)の特性

宇治市(人口約18万人)・城陽市(人口約7.5万人)・木津川市(人口約10万人)など、京都市のベッドタウンエリア。通勤者(デスクワーカー)が多く、駅前立地での需要は安定している。

京都市内に比べると競合密度がやや低く、「京都市の激戦を避けながら安定した需要を取る」戦略として選ばれやすいエリアだ。近鉄・JRの沿線駅前に良立地が残っている可能性がある。

府北部(丹後・中丹)の戦略的空白

競合密度20院/10万人以下——これが京都府最大のビジネス機会だ。

丹後エリア(宮津市・京丹後市等)・中丹エリア(福知山市・舞鶴市・綾部市)は、人口こそ少ないが高齢化率40%超の地域が点在し、農業・林業・漁業従事者の身体的ニーズが非常に高い。

整骨院が少ない理由:

  • 若年人口が少なく新規開業者が来ない

  • 整骨院学校卒業生が都市圏に流出する

  • 家賃・人件費が安くビジネスとして魅力が低く見える

しかし逆に言えば、一度地域に根付いた院は長期にわたって安定した患者基盤を持てる。競合がいないため、口コミだけで集患でき、マーケティングコストを最小化できる。

舞鶴市(人口約8万人・自衛隊基地あり)や福知山市(人口約7.5万人・府北部の商業拠点)は、府北部の中でも比較的人口規模があり、整骨院経営の採算性が見込めるエリアだ。


【急所④】
京都市での差別化ができるプレイヤーなら都市型戦略。
地域密着・安定経営を望むなら府北部(福知山・舞鶴)の先行取得が現実的。
どちらにせよ「京都府内のどのエリアで戦うか」の選択が、経営の生死を分ける。


第5章 採用市場分析——「大学都市」というアドバンテージ

採用環境の全体像

京都府の有効求人倍率(医療・福祉系)は全国平均と同水準。ただし東京・大阪ほど高騰していないため、採用環境は「中程度」と評価できる。

最大のアドバンテージは柔道整復師・鍼灸師の養成校が多いことだ。

京都府内には複数の医療系専門学校があり、毎年一定数の新卒有資格者が輩出される。都市圏(大阪・東京)に流出する卒業生も多いが、地元志向の人材を早期にアプローチすることで新卒採用コストを大幅に下げられる。

給与水準

 雇用形態 | 月収水準 
 正社員(新卒〜3年) | 月21〜24万円 
 正社員(経験3〜5年) | 月24〜28万円 
 正社員(管理職クラス) | 月28〜35万円 

全国平均とほぼ同水準。東京ほど高騰しておらず、大阪とも大きな差はない。物価・住居費が比較的高い京都市内だが、学生・若手にとっては「京都で働く」という選択に文化的な魅力がある。

採用の勝ちパターン

① 養成校との早期パイプライン構築
府内の柔道整復師・鍼灸師養成校に対して、インターンシップ・施設見学受け入れを早期から行う。3年生の就職活動前にリレーションを構築することで、有望な新卒を競合より先に確保できる。

② 「京都で働く」ブランド戦略
歴史・文化・食・自然——京都は「住みたい都市」として全国的に人気が高い。院のSNS・採用ページで「京都で整骨院師として働く生活」を発信することで、他府県から優秀な人材を引き寄せられる。

③ 府北部での地元採用
府北部エリアで開業する場合、地元出身の柔道整復師を採用できれば離職率が低い。地域愛着を持つ人材は競合に引き抜かれにくく、長期的なコスト優位性がある。


【急所⑤】
京都府の採用最大の武器は「養成校の多さ」と「京都ブランド」。
養成校に早期アプローチして新卒採用を主力に据え、東京・大阪への流出を引き止める。
府北部なら地元人材採用で、採用コストと離職率を同時に最小化できる。


第6章 療養費トレンドと自費化の潮流

保険縮小の影響と京都の自費ポテンシャル

全国的な療養費削減の流れは京都府でも同様だ。ただし京都の市場には、自費移行を後押しする特有の条件がいくつか揃っている。

① 観光客向け自費施術の高単価化
保険を持たない外国人観光客・外国人在住者は、定義上すべて自費施術になる。英語対応可能な院が外国人患者を受け入れる場合、1回5,000〜10,000円の自費設定が現実的だ。

② 大学生の「体験としての整骨院」需要
学生はまず保険で来院するケースが多いが、体験価値が高ければ「友人への紹介→SNS発信→スポーツコンディショニング自費コースへの移行」という流れが起きやすい。若年層の自費移行成功事例は京都でも増えている。

③ 職人・伝統産業従事者の自費受容
「腕で稼ぐ職人」は身体への投資意識が高い。「施術を受けることで仕事のパフォーマンスが上がる」という価値訴求が響けば、月1〜2回の自費コースを継続してくれる患者になる。

自費移行で成功している院のパターン

  1. 鍼灸×整骨の複合自費院
    京都は鍼灸の文化的素地が豊か。整骨院に鍼灸師を配置し、「東洋医学×整骨」の複合メニューで自費単価を上げる戦略は京都市場と相性が良い。

  2. ウェルネス×整骨 複合型
    ヨガ・マインドフルネス文化と整骨院を組み合わせた「心身統合ケア」の自費コースは、京都のカルチャーと親和性が高い。

  3. 外国人特化・英語対応院
    英語でのカウンセリング・施術対応を売りにした完全自費型院。インバウンド増加の恩恵を最大化できる。


【急所⑥】
京都の自費化は「観光×外国人×大学生」が先導する。
全国標準の「慢性疼痛→自費コース誘導」に加え、
「英語対応×インバウンド」「鍼灸複合×東洋医学ブランド」が京都固有の自費化加速装置になる。


第7章 エリア別市場機会マップ

京都市(洛中・洛北・洛西・洛南・洛東)

人口規模:約145万人
競合密度:推計50〜60院/10万人
特徴:観光・大学・伝統産業の複合都市

京都市内での差別化は「誰のための院か」を明確にすることが前提だ。烏丸・河原町周辺のターミナルエリアはすでに飽和に近く、新規参入には強烈なUSPが必要。一方、右京区・北区・山科区などの住宅エリアは地域密着型でまだ先行余地がある。

現役世代需要:観光業・飲食業従事者の職業性疾患、大学生スポーツ障害、外国人留学生の自費需要——3つの現役世代需要が同時に存在する京都市はターゲットを絞れた院が圧倒的に強い。

山城南部(宇治市・城陽市・木津川市)

人口規模:約60万人
競合密度:推計45〜55院/10万人
特徴:京都市のベッドタウン・近鉄沿線

現役世代需要:京都市・大阪市に通勤するデスクワーカーが多い。夕方〜夜間の診療時間設定と、近鉄・JR沿線駅から徒歩5分以内の立地が集患の基本条件。家賃が京都市内より低く、コストパフォーマンスに優れる。

宇治市は「世界遺産・宇治上神社」周辺の観光需要もあり、観光×地域密着のハイブリッド戦略が取れる。

丹波エリア(亀岡市・南丹市・京丹波町)

人口規模:約15万人
競合密度:推計40〜50院/10万人
特徴:農業・農村・京都市への通勤圏

現役世代需要:亀岡市は京都市へのアクセスが良好(JR山陰線で約20分)。農業従事者(野菜・黒豆産地)の腰痛・肩こりと、通勤者のデスクワーク疲労がダブルで存在する。農業の特性上、収穫期に集中する傷害パターンに合わせた診療設計が有効。

中丹エリア(福知山市・舞鶴市・綾部市)

人口規模:約20万人
競合密度:推計30〜40院/10万人
特徴:府北部の商業拠点・自衛隊・製造業

現役世代需要:舞鶴市には海上自衛隊基地があり、自衛官(20〜40代・身体接触を伴う訓練)の需要が存在する特殊市場だ。福知山市は府北部最大の商業都市であり、製造業・物流業従事者の職業性疾患需要が安定している。

丹後エリア(宮津市・京丹後市・与謝郡)

人口規模:約10万人
競合密度:推計15〜25院/10万人(全国最低水準)
特徴:漁業・農業・観光(天橋立)の複合過疎エリア

このシリーズで京都府の「最大の戦略的急所」として位置付けるのが丹後エリアだ。

高齢化率40%超の地域が点在しながら、整骨院がほとんど存在しない。漁業従事者(腰痛・肩関節疾患)・農業従事者(京丹後市はかぶら・里芋等の産地)の需要は確実に存在する。

天橋立を中心とする観光需要もあり、海水浴・マリンスポーツシーズンの外傷対応という特需も加わる。

経営の持続性という観点では人口の少なさがリスクだが、「地域唯一の整骨院」という立場は、競合が生まれにくい強固な地位だ。


【急所⑦】
丹後エリアは「競合ゼロの空白市場」。
高齢化率40%超×漁業・農業従事者の需要×観光特需——3つの需要が揃うのに院がほとんどない。
「地域唯一の整骨院」になれれば、マーケティングコストを最小化した安定経営が実現できる。


第8章 京都府での整骨院経営——成功の方程式

勝ちパターン① インバウンド×外国人特化×完全自費型

対象エリア:京都市中心部(河原町・烏丸・京都駅周辺)
ターゲット:外国人観光客・在住外国人・留学生
強み:完全自費・競合がほぼいない・単価が高い

英語(可能であれば中国語・韓国語)対応を前面に出し、ホテルコンシェルジュ・外国語観光案内所・インバウンド向けアプリとの連携で送客を確保する。保険不使用の完全自費モデルで、療養費削減の影響を受けない院になれる。

観光繁忙期(3〜5月・10〜12月)と閑散期の需要差が大きいため、地元在住外国人・留学生の定期メンテナンス層をオフシーズンの安定収益源として確保するダブル戦略が有効だ。

勝ちパターン② 大学生×スポーツコンディショニング×長期育成型

対象エリア:同志社大学周辺(今出川)・立命館大学周辺(衣笠)・京都産業大学周辺(北区)
ターゲット:体育会系部活・スポーツサークル学生(18〜24歳)
強み:長期顧客化・紹介連鎖・SNS発信力

学生期のスポーツ障害を保険対応でしっかり治し、「この院に来れば競技を続けられる」という信頼を構築する。卒業後に京都系企業に就職した際の継続通院と、在学中の友人紹介——これが「安い単価から始まって高LTVに育つ」モデルだ。

大学体育会のトレーナー契約・試合帯同などのスポーツ支援活動が、採用広告より強力な集患チャネルになる。

勝ちパターン③ 観光×地域ダブル戦略型(右京区・嵐山周辺)

対象エリア:嵐山・太秦・西京区
ターゲット:観光客(急性症状)+地域住民(慢性症状)
強み:季節変動リスクを地域層で補完できる

嵐山周辺は観光客需要があるが、季節変動が激しい(桜・紅葉シーズンに集中)。この季節変動を地域住民のメンテナンス需要で補完する「観光+地域ダブル戦略」が有効だ。右京区・西京区は比較的競合密度が低く、地域密着で安定した患者基盤を築ける。

勝ちパターン④ 府北部先行×地域唯一院型

対象エリア:福知山市・舞鶴市・宮津市・京丹後市
ターゲット:高齢者・農業従事者・漁業従事者・自衛官
強み:競合ゼロ・口コミだけで集患・マーケティングコスト最小

「地域で一番」ではなく「地域で唯一」になる戦略。競合がいない分、集患の苦労よりも「この地域で開業する決断」が最大のハードルだ。

地域の医師・病院との連携(病診連携)を早期に構築すれば、整形外科・内科からの患者紹介というチャネルも生まれる。府北部での「医療のかかりつけ整骨院」というポジションは、一度確立すれば20〜30年の安定経営の土台になる。


【急所⑧】
京都府の勝ちパターンは「都市型」と「過疎型」で全く別物。
都市型(京都市圏):明確なターゲット×差別化×自費化。
過疎型(丹後・中丹):地域唯一×口コミ×医療連携。
「どちらを選ぶか」が、京都府での経営設計の最初の分岐点だ。


第9章 京都府市場の総合評価——投資判断の指標

5軸評価

 評価軸 | 評価 | 理由 
 市場規模 | ★★★☆☆ | 約1,340院・257万人。地方中核県として中規模 
 競合密度 | ★★★★☆ | 52院/10万人。全国平均超だが府北部は低密度 
 需要特性 | ★★★★★ | 観光・大学・職人・農業・漁業と需要が多彩。全国でも特異 
 採用環境 | ★★★☆☆ | 養成校多く新卒確保しやすい。府北部は地元人材活用で安定 
 自費化ポテンシャル | ★★★★☆ | インバウンド・大学生・職人など自費受容度が高い複数層が存在 

市場総合判定

京都府は「特化戦略と立地選択を間違えなければ、全国でも稀なユニーク市場だ」。

観光・大学・伝統文化という他の都道府県にはない複合的な需要構造が、差別化した整骨院に対して強力な追い風になる。同時に府北部の空白地帯という「先行者利益」の機会も残されている。

課題は「京都市内での競合の激しさ」と「府北部の絶対的な人口の少なさ」。これらは戦略的に乗り越えられる課題だが、乗り越える具体的な設計なしには机上の空論になる。

この市場での成功の方程式は、一言で言えばこうだ。

「京都固有のニーズを見つけて、そこを独占する」

観光需要の外国人、スポーツ医療を求める大学生、身体を資本にする職人、医療へのアクセスがない府北部の高齢者——どれも他の都道府県にはない、京都だけのニーズだ。


【急所⑨(最終)】
京都府を一文で総括するなら:
「観光・大学・職人・過疎の4つの顔を持つ特異市場。どの顔に向けた院かを決めた瞬間に、戦略が見える。」
「京都らしさ」を武器にできる院だけが、この市場で長く輝く。


著者プロフィール:宮澤 駿
株式会社ピュアグロース ヘルスケア事業本部 本部長

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社後は12年間、整骨院を中心に治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わりながら、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を実現掲げるピュアグロースの理念に共感しヘルスケア事業本部を2026年4月に立ち上げ。パーソナルパーパスは「業界・企業・人の可能性を信じ、伴走し、未来を共に創る」。

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※本レポートに記載のデータは、衛生行政報告例(厚生労働省・令和4年)、総務省統計局人口推計(令和5年)、各種業界調査・求人媒体の公開情報を基に集計・分析したものです。施術所数・競合密度等は推計値を含みます。

宮澤駿

この記事の監修者

宮澤 駿ピュアグロース株式会社 ヘルスケア事業本部 本部長

株式会社船井総合研究所で12年間、整骨院・治療院業界のコンサルティングに特化し、成功事例企業を多数輩出。業界のM&Aにも携わり、部長として社内マネジメントも経験。「お客様の純粋な成長」を掲げるピュアグロースにて、2026年ヘルスケア事業本部を立ち上げ。

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